「五つの古傷」の克服、そしてその先へ - 遠衛このえ( @tonoe_konoe ) さんの映画『ウルトラマンサーガ』をめぐるつぶやきのまとめ

映画『ウルトラマンサーガ』についてのいろんな方のツイートを検索して斜め読みしていた中で、特に印象に残ったのがこの方の一連のツイートでした。これだけの内容だから誰かまとめているかな?と思ったのですが見つけられなかったので。
3
ろく @malonbalon

ウルトラマンサーガを見てきた。それに関連していくつか。

2012-04-08 19:12:46
ろく @malonbalon

ウルトラマンという作品はいくつかの古傷を抱えている。それはたとえば、ウルトラセブンを3度殺したことであり、ULTRA N PROJECTが志半ばで終わったことであり、ダイナを遥か彼方に葬りさってしまったことである。

2012-04-08 19:15:02
ろく @malonbalon

サーガに関連していくつか古傷をあげていこう。まずは、ゼットンという存在について。アルファベットと五十音の最後の文字を組み合わせた(Z+ん)のが名前の由来、というのは有名な話。”ウルトラマンを倒した最強の怪獣”というイメージが強い。(ペンシルロケットで倒れたことは忘れられがち)

2012-04-08 19:25:03
ろく @malonbalon

”最強の怪獣”というイメージゆえに、それ以降のゼットンたちは苦難を強いられる。二代目ゼットンの養殖よわばりに始まり、パワードゼットン、マックスのゼットン、大怪獣バトルのゼットン、EXゼットン……まるで平成ライダーのごとく、新しいゼットンが出るたびコレジャナイと言われていく。

2012-04-08 19:30:37
ろく @malonbalon

かろうじて評価されているのはメビウスのゼットンくらいだろうか。といっても「再現データのゼットン とう設定だから許してやろう」という、ひどく上から目線の評価であるが。

2012-04-08 19:32:34
ろく @malonbalon

『ウルトラマンサーガ』において挑んだひとつめのことは、初代ゼットンの壁を打ち破ることである。”最強怪獣”のイメージの刷新。幼体のあの巨大な姿も、成体のクロックアップも、世界の終わりという背景もそのためにあるといって過言ではない。

2012-04-08 19:40:07
ろく @malonbalon

ちなみにハイパーゼットン幼体(ギガント) http://t.co/74pyQ6Wf は漫画『ウルトラマン The First』でも登場している。成体(イマーゴ)は超闘士に出たハイパーゼットンのアレンジといわれているが、翼の意匠や前後の演出を考えるとまた別の見方が生まれてくる。

2012-04-08 19:47:21
ろく @malonbalon

それはひとまずおくとして、二つ目の古傷に行くとしよう。それは、ウルトラセブンを3度殺したことである。ウルトラセブン本編で1度、ウルトラマンレオで2度、平成ウルトラセブンで3度目である。さらに平成ウルトラセブンでは、アンヌの子供(父親はダンではない!)まで登場させている。

2012-04-08 19:52:22
ろく @malonbalon

そのセブンに対する贖罪が、『ULTRA SEVEN X』ラストシーン――湖畔で再会するダンとアンヌであり、『ウルトラ銀河伝説』におけるゼロの存在、そしてセブン4度目の死とラストシーンでの復活である。

2012-04-08 19:54:47
ろく @malonbalon

(さらにいえば、平成ウルトラセブンという作品はウルトラセブン=モロボシ・ダンということすらも殺しにかかっている。作中でセブンは最終的に カザモリという青年と一体化する)

2012-04-08 19:56:45
ろく @malonbalon

さて、『ウルトラマンサーガ』との関連だが、先ほど述べたとおり『ULTRA SEVEN X』は セブン=ダンが異世界から帰還し、浜辺でアンヌと再会するシーンで終わる。 一方で、『ウルトラマンサーガ』はゼロ≠タイガが異世界にとどまることを決め、浜辺で地球防衛隊の皆と再会して終わる。

2012-04-08 20:01:16
ろく @malonbalon

そもそもセブンは何度となく地球に帰還し、何度となく酷い目にあっている。ゼロは、映画三作、いずれも異なる宇宙で戦っている。 まるで羹にこりて膾を吹くように、ゼロはセブンの逆を張り続けているのである。

2012-04-08 20:03:18
ろく @malonbalon

次世代の最強のウルトラマン=ゼロ をセブンの息子においたのは、間違いなくセブンに対する”贖罪”であろう。だがそれゆえに、新人の光の戦士ウルトラマンゼロの成長物語は難しくなってしまった。特に、初登場の『ウルトラ銀河伝説』でベリアル(>光の国)を倒してしまったがために。

2012-04-08 20:06:22
ろく @malonbalon

さらに次作『ウルトラマンゼロ THE MOVIE』では、仲間との絆も手に入れてしまった。こうなると、もう、ゼロ本人には成長の余地はない。あとはドラゴンボールのごとくパワーインフレの道を歩んでいくしかない……ように見えた。だが抜け道はあった。

2012-04-08 20:10:32
ろく @malonbalon

なぜならウルトラマンは地球人と一体化するキャラクターだからだ。 ゼロに成長の伸びしろがないなら地球人の方を伸ばせばいい。タイガ・ノゾムの”軽い”人柄はとてつもなく意図的だ。

2012-04-08 20:12:22
ろく @malonbalon

だが次はどうなるのだろう。”セブンの息子”、そう、子供という位置づけである限り(作劇上)永遠に成長を強いられる。どこかのタイミングで完全に父親離れをしなければならないのだ。(あるいは、セブンの裏を張るようなゼロの行動は父離れを意図してのものかもしれない)

2012-04-08 20:14:29
ろく @malonbalon

たかだが異世界に行ったくらいでは親離れとはいえまい。親元を離れても経済的精神的に親に依存しているものはいくらでもいる。『サーガ』冒頭の”ゼロを案じるセブン”のシーンはいまだ親離れがなされてないことを感じさせる。ゼロはいまだにセブンの息子であり、独立したウルトラマンではない。

2012-04-08 20:16:08
ろく @malonbalon

ちなみに『ウルトラマンレオ』ではレオを独立させるためにセブンを殺している(シルバーブルーメを思い出すこと) 同じ手法でゼロを独立させることはするまい。(それは陳腐であるだけでなく、セブンについてさらなる傷を負うことになる) 

2012-04-08 20:18:35
ろく @malonbalon

そして”親”離れはウルトラマン全体の問題でもある。マックス・メビウス・大怪獣バトル・ウルトラ銀河伝説・ウルトラマンゼロTHE MOVIE・ウルトラマンサーガのウリの一つは懐かしの怪獣・ウルトラマン(+α)の登場だった。それは親世代に対するアピールである。

2012-04-08 20:21:07
ろく @malonbalon

横を見ればライダーも戦隊も、先達たちを引っ張り出してきている。誰が一番最初に親離れを行うのか。それはウルトラマン・ライダー・戦隊共通の問題である。

2012-04-08 20:22:30
ろく @malonbalon

ここで、”セブンの息子”を擁するウルトラシリーズがうまいこと一歩先に出れる可能性はあるだろうけれど、さて、どうなるか。

2012-04-08 20:25:35
ろく @malonbalon

そもウルトラマンじたい”いずれ離れるべき親”というモチーフを背負っていた。昭和シリーズの最終話は「ウルトラマンに頼らず自力で地球を守ろう」で占められがちだった。それが消失したのはティガ以降である。(ダイナ除く) 

2012-04-08 20:29:28
ろく @malonbalon

メビウス~ゼロの流れはその”揺り戻し”であろうが、さて、メビウスを独立した一人のウルトラマン(成人)というイメージを持てているひとはどれだけいるだろう。先輩に助けられて成長する若者のイメージのままではないだろうか。 

2012-04-08 20:34:12
ろく @malonbalon

最初に”成長する若者”というイメージを植えつけられたキャラクターは”独立したひとりの成人”になれるのか。ゼロはメビウスの遺志も背負わされてる。(メビウスはOVAやウルトラ銀河伝説でそのテーゼに挑んだが…… 一方で、タロウはメビウスの教官という設定でもってそのテーゼを達成している)

2012-04-08 20:36:17
ろく @malonbalon

三つ目の古傷。それはウルトラマンダイナを宇宙の彼方に消してしまったことである。最終回において彼はどことも知れぬ彼方に消えてしまう。『ウルトラ銀河伝説』においてひとまずの帰還はなった。だが、製作側にとっては不十分だったのだ。

2012-04-08 20:54:37