「五つの古傷」の克服、そしてその先へ - 遠衛このえ( @tonoe_konoe ) さんの映画『ウルトラマンサーガ』をめぐるつぶやきのまとめ
よく言われることだが(http://t.co/mUW9U2qh http://t.co/4i2ucCUy) ダイナ最後の敵、グランスフィアは人類補完計画(エヴァ)を思わせる。人類補完計画が明確に描かれた『Air まごころを君に』は97年7月 ダイナは97年8月からスタートである。
2012-04-08 21:00:18エヴァがウルトラマンを意識しているのは知られた話で、それはたとえば庵野監督の帰ってきたウルトラマンや、新劇場版の4人の光の巨人(ゾフィー・マン・セブン・ジャックを意識したデザイン)、通信音が科学特捜隊のそれと同じであることなどからわかるだろう。
2012-04-08 21:03:51逆に、ウルトラもエヴァを意識しており、エヴァのTVシリーズとティガの比較は当時よく語られたテーマの一つだった。そして、ダイナ最終回と人類補完計画についても。
2012-04-08 21:04:5798年当時の戦いでは、人類補完計画(そしてトラウマ語りを中心とする心理学ブーム。セカイ系的想像力の発端)に対して、父親の死というトラウマを乗り越えた熱血青年=アスカ・シン=ダイナは相打ちに終わった。それは古傷となり残り続け――『ウルトラマンサーガ』はそのリベンジである。
2012-04-08 21:08:00『ウルトラマンサーガ』の舞台は、はっきり言ってしまえば、『CROSS†CHANNEL』とほとんど同じである。主要登場人物以外誰もいない世界、まず鳥や犬から消え、やがて人が消えていく…… 登場人物たちは無人のマーケットからものを取ってくる。そのことを置手紙していく。
2012-04-08 21:11:27そして通信機から響く、「生きてるひと、いますか」の声。 これで『CROSS†CHANNEL』を意識していないといったら嘘である。むしろ意図的なものであろう。ゼロ年代当時、セカイ系のひとつとして『CROSS†CHANNEL』は挙げられてた。
2012-04-08 21:14:09さらに言えば、今回の敵、ハイパーゼットンはグランスフィア(=人類補完計画 セカイ系的想像力)を吸収している。 ダイナのときは相打ちに終わったセカイ系的想像力との戦いを、今再び行おうとしているのである。
2012-04-08 21:17:31ちなみにウルトラがセカイ系を意識しているのは、ダイナやサーガだけではない。ネクサスもである。むしろこっちのほうがより直接的。 参考:http://t.co/3fHi6ExD セカイやらゲンジツやらニチジョウやらをモノローグでよく語りたがる孤門くん。
2012-04-08 21:21:31ただ、ネクサス(もとい N PROJECT)は不本意な中断を余儀なくされたからね。エヴァに始まりゼロ年代前半に広がったセカイ系的なものをウルトラは乗り越えられないでいた。『サーガ』でそれをなんとかしようとしたわけだ。
2012-04-08 21:23:53これも気づいた人が多いと思うけれど、『サーガ』最後のサーガVSハイパーゼットン戦は、『ネクサス』最終話のノアVSザギのリメイクだからね。(ついでに、公式ページのゼロの姿――砕ける岩の中を走る――は、ネクサスOPのリメイク)
2012-04-08 21:26:37セカイ系の定義といえば、「「主人公(ぼく)とヒロイン(きみ)を中心とした小さな関係性(「きみとぼく」)の問題が、具体的な中間項を挟むことなく、「世界の危機」「この世の終わり」などといった抽象的な大問題に直結する作品群のこと」だけど、ネクサスはまるっきりそれだったからね。
2012-04-08 21:32:274つめの古傷。それはコスモスという作品が不本意な中断に遭ってしまったこと。(主演のひとにいろいろあったのよね……) そのせいで、どのウルトラマンよりも長い放映期間と映画化回数を誇りながら――当時人気はあったのに!――評価されづらい、内容を省みられない作品になってしまった。
2012-04-08 21:37:59ウルトラマンコスモスというと、”怪獣の共存とか言い出した甘ちゃんw” ”杉浦太陽逮捕ww” ”区切り方によっては放送禁止用語w” という醜聞が先にたち――そこで終わってしまう。そんな現実がある。
2012-04-08 21:40:52だがしかし、ディスコミュニケーション全盛のゼロ年代前半において、思いっきりその逆を張って成功を収めたウルトラマンコスモスは評価されてもおかしくないし、むしろ評価すべきものである。ちなみに”同期”は龍騎とファイズ。
2012-04-08 21:43:44さきほど述べたとおり、『サーガ』の地球、そしてハイパーゼットンとはセカイ系的想像力やディスコミュニケーション――ゼロ年代前半的なものの象徴である。なればこそ、それに立ち向かう一員としてコスモスが選ばれたのは必然である。当時、そういったものの逆を張って成功していたのだから。
2012-04-08 21:53:085つ目の古傷。それはULTRA N PROJECTの挫折である。ネクサスの打ち切りといってもいい。『ウルトラマンゼロ THE MOVIE』におけるノアの登場、『ウルトラマンサーガ』における「あきらめるな!」はネクサスに由来する。
2012-04-08 22:09:57さらにいえばサーガの姿はN PRIOJECTのはじまり『ULTRAMAN』に登場するウルトラマンのリファインであり、ハイパーゼットンの姿はザギを意識している。(むしろザギ完全体といってもいい。ハイパーゼットンの背中の翼は、本来あるはずだったザギの翼である)
2012-04-08 22:11:50さらに先ほど指摘したとおり、サーガVSハイパーゼットンはノア(=ネクサス=ULTRAMAN)VSザギのリメイクである。あの市街地に見覚えはないか。何度となく放たれる拳、地球を左下に見下ろす場所での光線の応酬。「ウルトラマン がんばれ!」と叫ぶ、声を取り戻した子供。
2012-04-08 22:13:46以上の5つの古傷について『ウルトラマンサーガ』は挑んだといえる。初代ゼットンの壁、セブンを3度殺したこと、セカイ系・ゼロ年代と相打ちになったダイナ、セカイ系・ゼロ年代の逆を張って成功したにもかかわらず省みられないコスモス、不本意に中断されたN PROJECT。
2012-04-08 22:16:51だがしかし、『サーガ』は単に過去の古傷を乗り越えるだけの物語ではない。冒頭に出てくるショッピングセンターは、あちこちで「地元のアピタかと思った」という声を聞いた。アピタは新潟・福島から関東、中部、そして滋賀・奈良に広く展開するショッピングセンターである。その店構えはほぼ同一。
2012-04-08 22:20:04僕などは松阪のアピタで撮影したのではないかと思うほどだった。 均一化された郊外、というものを思いかけず感じた瞬間だった。(もっとも、新潟・福島以北、滋賀、奈良以南以西の方はどうなんだろうという気がするが かといってマックスバリュ・イオンでは店構えはそれほど均一化されてない……)
2012-04-08 22:23:17