刑事弁護人が木嶋事件の解説をする 2-「間接証拠だけで死刑にして良いのか？」に答える

高島章 @BarlKarth

木島事件。別の視点からのツイートを書いてみます。

高島章 @BarlKarth

「状況証拠と100日の議論だけでド素人に木嶋佳苗の死刑判決を出させた裁判員制度はクソ」というスレッドが立っているが，議論内容はともかく，スレッドの表題は賛成ですね。

高島章 @BarlKarth

裁判官は，自殺率や精神疾患罹患率が有意に高い職業です。そういうお話です。

高島章 @BarlKarth

私は裁判員廃止論者だし，新潟県弁護士会の「裁判員実施延期決議」の提案者代表で，裁判員制度について，朝までナマテレビにも出演した。その方面では著名人の一人と言っていい。

高島章 @BarlKarth

http://t.co/DmtQxC1L

高島章 @BarlKarth

出演画像はこれ（微調整） http://t.co/2AQ3VKoG

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高島章 @BarlKarth

決議案オリジナルバージョンはhttp://t.co/FI8ekGAp 新潟県弁護士会のサイトにもあるが，それは修文後。

高島章 @BarlKarth

「一生癒えない心の傷」「一生言えない心の秘密」で韻を踏んだのだが，執行部で修文された。

高島章 @BarlKarth

「死刑判決」を書いた裁判官がその後アルコール依存→退職→一家離散という話は前に書いた。「冤罪判決に悩み自殺」という裁判官は知らないが，仕事上の重圧で自殺したり，精神疾患にかかる裁判官は少なくない（太の仕事に比べると有意的に多い）。

高島章 @BarlKarth

木島被告人の死刑判決。裁判官がどれくらい悩んだかは知らない。否認事件で有罪判決（死刑）なのでそれはある程度悩んだだろう。他面において，裁判官は，その種のことに慣れているので，職業的な割り切りもできる。

高島章 @BarlKarth

「間接証拠による事実認定」は，検察官が言うような「目が覚めたら雪景色」という話ではない。ことに木島事件は，そんなに生やさしいものではない。

高島章 @BarlKarth

「間接証拠による事実認定」は財産犯罪における「近接所持」を見るまでもなく，職人技が必要な場合が多い。だから専門論文が書かれ，司法研修所でも教育される。ある意味「専門性」が必要な分野なのだ。

高島章 @BarlKarth

もちろん素人の人も「朝目覚めたら雪景色（証拠）。」寝ている間に降雪したに違いない（推論）」位はできるが，「練炭」「合い鍵」「動機」「自殺の可能性」という複数の推論条件があれば，無理。「どんぶり勘定」的な雑な推論にならざるを得ない。

高島章 @BarlKarth

　本当に精緻に「間接証拠からの推論・有罪認定」をするためには，帰納論理学（JSミル）や演繹論理学（アリストテレス）の素養が必要だ。「疫学」という学問分野にド素人が手を突っ込めないのも同じy理由。

高島章 @BarlKarth

木島事件，3個の殺人をばらして考察すれば，「一つ一つについて無罪」という結論はあり得た。あくまで比喩的だがばらして判断すれば，３パーセントの確率の疑わしさがあり，無罪になる。

高島章 @BarlKarth

そうは言っても３パーセントとしか起こらないことが３回続くのは，８８５２９２８１分の１でこれは「合理的疑い」を越える。

高島章 @BarlKarth

今の比喩を用いれば，以下に手堅い認定であれ，数千万分の１で冤罪の可能性はある。

高島章 @BarlKarth

このたびの事件は，数千万分の１ではなく，（これも雑な言い方だが）数百分の１レベルで冤罪はあり得るだろう。「木島被告人が何らかの陰謀に巻き込まれた」というアナザーストーリーが「立証（これも雑な言い方）」できれば，無罪となる。

高島章 @BarlKarth

　それに，何より被告人がお気の毒だ。「ド素人のどんぶり勘定で死刑」という思いを抱くに違いない。それは被告人が真犯人か否かに関わりない。

杵屋。 @scrivenerLaw

@BarlKarth 検事は検事で、市川先生の「検事失格」を見ると（著者含め）複数の精神を病んだ検事が出てきていて、本当に辛いお仕事ですね。組織としての病弊ゆえに克服が難しいのでしょうが。

高島章 @BarlKarth

私自身，修習生時代，連続嬰児殺で似たような事例を見た。弁護人・被告人は「死産」を主張した。「何人も連続で死産はあり得ない」ということで実刑だった。

高島章 @BarlKarth

@perplex9 弁護士と学者が一番気楽です。ただしお金がアレでして。

高島章 @BarlKarth

「偶然が何回も重なることはない」という経験則（帰納論理学上の論理）はあくまで帰納論理学の世界であって，絶対に０パーセントにはならない。