パパタラフマラ 小池さんの作品解説ツイート

島、春昼、
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小池博史 @koikehiroshi

「春昼~菜の花の森から」④ みんなまだ浮かれていた。危機感を持てなかった。この作品の反応はまっぷたつに分かれた。分かれるのは結構のことだ。だが、分かれ方が不気味だった。一部は強いリアリティに苛まれたようだが、何でこんなフウになってしまったのだ、ともかなり言われたものだ。

2012-03-29 00:41:08
小池博史 @koikehiroshi

「春昼~菜の花の森から」③ この頃から本気でこの国を心配し始めた。もちろんその萌芽は遙か昔からあったのだが、アホではないのだから、気づくだろうと思い続けた。だが、多くは気づかず、漫然とした日常が流れていたように思う。「WD」はちゃんと作り上げなければ、という気持ちが強く働いた。

2012-03-29 00:39:50
小池博史 @koikehiroshi

「春昼~菜の花の森から」② 1998年に制作した作品を2000年に再び稽古をしてみて思うのは、ますます不気味が進んでいた点である。私にとって不気味な感触が東京には強く流れていて、困ったものだという感覚が強かったが、多くは本当にノホホンとして、大きな乖離を感じたのだった。

2012-03-29 00:38:52
小池博史 @koikehiroshi

第二十七回作品「春昼~菜の花の森から」① 2000年7月 アートスフィアにて公演 この作品は「春昼~はるひる」の拡大バージョンである。だから、基本は「春昼」とさほど変わらない。しかし、登場人物は5人から12人くらいまで増えた。

2012-03-29 00:37:20
小池博史 @koikehiroshi

「島&島」③ 次第にヨーロッパに嫌気がさしだして、頭はアジアへと向いた。アジアの混沌が面白かった。ヨーロッパに漂う植民地主義がどうにも好きになれなかった。アジアはまだ大らかだった。しかし、中国人、インド人との付き合いが増えると、こりゃ日本はマズイと思うようにもなった。

2012-03-28 15:11:38
小池博史 @koikehiroshi

「島&島」② 黒テントととの共同フェス参加であったが、パパ・タラフマラと黒テントではあまりに作品傾向が違うが、まあ、そういうことはヨシとして、コンセプトを問う目的があった。この作品は、アジアアーツネットの会議が開かれた、その一環として上演されたものである。

2012-03-28 15:11:03
小池博史 @koikehiroshi

第二十六回作品「島&島」① 2000年5月 香港アートセンター・ショウソンシアターにて公演 「島シリーズ」の一作。この作品は「島~東へ」とコンセプトは同じ。日本と香港、あるいは香港と中国、日本と中国の間に横たわる境界線に焦点を当てていった。

2012-03-28 15:10:06
小池博史 @koikehiroshi

「WD~I Was Born」⑧ この時期から、それまでやってきたことを統合させる試みへと移った。「第七期 統合へ向かう時期」となっていったのである。

2012-03-28 14:50:07
小池博史 @koikehiroshi

「WD~I Was Born」⑦ 本当に悲しくなるような世紀。小川摩利子の歌い出しで始まった「後ろ姿、それは粋だったわね、20世紀ももう終わり、あんた、いつまで待たせるの?・・・もう百年も経ってしまって、私は忘却の地平線に立ってる・・・」忘却する人間の悲しみを描きたいと思った。

2012-03-28 14:46:22
小池博史 @koikehiroshi

「WD~I Was Born」⑥ WDの意味は、What have we Done? から。私たちは何をしたのか?20世紀をどう捉えていくのか?時空間の芸術として、叙事詩として描き出す試みだった。第一章は顔を白塗りした。明るい未来の冒頭からすぐに暗雲が立ちこめていった。

2012-03-28 14:45:37
小池博史 @koikehiroshi

「WD~I Was Born」⑤ 第一章は第一次世界大戦まで、第二章「Love Letter」は第二次世界大戦から戦後の混乱期まで、第三章「So What?」は1970年代~2000年に掛けて、第四章「The Sound of Future SYNC.」は21世紀を展望。

2012-03-28 14:44:33
小池博史 @koikehiroshi

「WD~I Was Born」④ 動き、オブジェ、音、声、光、音楽……こうした要素が渾然一体となりつつ、叙事詩として描き出す。100年以上の時間を描いた。言うまでもなく、「百年の孤独」が念頭にあった。それを自分たち自身の時間に置き換えつつ、身体化させる作業だった。

2012-03-28 14:43:41
小池博史 @koikehiroshi

「WD~I Was Born」③ 各章とも単体の作品として成立するように制作。この章は20世紀初頭に焦点を当てたる。ドフトエフスキーの「悪霊」からアイデアは引用しているが、「悪霊」と認識するのは難しい。何か不気味な悪意、悪霊的なものが乗り移ってきた時代として描いている。

2012-03-28 14:42:20
小池博史 @koikehiroshi

「WD~I Was Born」② この作品は2001年12月に上演した「WD」の第一章に当たる。「WD」自体は21世紀初年の最後の月に上演し、最初に当たる第一章は20世紀最後の年の最初の月に上演。四つの章をまとめて「WD」となった。「I was Born」は世界各地でも上演。

2012-03-28 14:41:35
小池博史 @koikehiroshi

第二十五回公演「WD~I Was Born」① 2000年1月シアタートラムにて上演。一年後に21世紀を迎えることを意識して、20世紀の叙事詩的舞台を作りたいと思った。そして漠然とだが、これはまったく世界にもなかった試みなのではないかと思った。空間が語る詩の世界である。

2012-03-28 14:40:08
小池博史 @koikehiroshi

「春昼~はるひる」⑩ 関口マキエや中村真咲(現あらた真生)、三浦宏之などP.A.I.出身者が増えていった。三浦は怪しい味があって、この作品にはピタリと嵌った。

2012-03-27 19:20:54
小池博史 @koikehiroshi

「春昼~はるひる」⑨ 春の暖かさ、昼の明るさは気分は良いだろう。しかし、その奥底ではどんどん病が進行しているのがその当時の日本であった。ところが一部はともかく、多くは気付かない。まだ我が世の春は続くモノだと思っていた。バブルに浮かれた時代の名残に覆われていた。

2012-03-27 19:20:01
小池博史 @koikehiroshi

「春昼~はるひる」⑧ 面白かったのは、アジアでの反応だった。熱狂的と言っていいほどの迎えられ方をした。どこへ行っても大々的だった。シンガポールのチャンギ空港にまでパパ・タラフマラの垂れ幕が掛かっていたり、台湾では新聞の一面を飾ったりもした。

2012-03-27 19:19:41
小池博史 @koikehiroshi

「春昼~はるひる」⑦ 全灯してしまうと、スライドはまったく映らず、煌々と明るい中では、怪奇性は全部消し飛んでしまった。スライドは全部、部分で全体が見えない写真を用いた。この劇場は2000人くらい入る劇場であったから、空間全体で見せないと何だか分からない作りでもあったのだ。

2012-03-27 19:19:00
小池博史 @koikehiroshi

「春昼~はるひる」⑥ この作品はつくばで開幕したが、公演の多くは海外。アメリカでも大規模ツアーを行っている。ただ、コネチカットで公演したとき、最悪の事態が起きた。照明のコンピューターがバグを起こし、30分以上全灯状態になってしまった。以降、毎年のようにアメリカツアーを実施した。

2012-03-27 19:18:19
小池博史 @koikehiroshi

「春昼~はるひる」⑤ また、この作品では無記名性を感じさせるために、顔のみを白塗りにした。時代はどんどん記号化が進み、この数年後には村上隆はスーパーフラットで世界に打ってでることになる。まさに日本は、どうにも不気味な時代に急速に突入していったのだった。

2012-03-27 19:13:14
小池博史 @koikehiroshi

「春昼~はるひる」④ 泉鏡花もまた、中間領域に漂う人だったと思う。今やろうとしている宮沢賢治もまた同様だ。映像はスライドだけを使用した。スライドの面白さは動かない画だという点である。動かないがゆえに、一瞬の不思議が存在する。

2012-03-27 19:12:05
小池博史 @koikehiroshi

「春昼~はるひる」③ 本作品は泉鏡花の「春昼(しゅんちゅう)」「春昼午刻(しゅんちゅうごこく)」を元にしている。春の暖かさ、昼の明るさに潜む何とも言えない怖さを下敷きにした鏡花の小説であるが、まさしく当時の時代の持つ「気分」に対する違和感と恐怖がピタリと嵌った。

2012-03-27 19:11:46
小池博史 @koikehiroshi

「春昼~はるひる」② ゆえに持参しやすさが一義であった。そもそも「ブッシュオブゴースツ」や「パレード」は40フィートコンテナを船便で送るほどの荷物量があった。「城~マクベス」に至っては2台必要だった。「船を見る」も20フィートコンテナが必要で、要は金がかかりすぎた。

2012-03-27 19:11:11
小池博史 @koikehiroshi

第二十四回作品「春昼~はるひる」① 1998年10月 つくばカピオホールにて公演 本作品は最初からアメリカツアーを考えて制作した作品だった。アメリカ側プレゼンターからは、とにかく小規模の作品で、だが「島~Island」のように極端に小さくない作品を望まれた。

2012-03-27 19:10:21