ネット上のプライバシー侵害についての考察

TAKASHIMA Hidehiroさん @TAKASHIMA724のツイートをまとめました。
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TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(1)以前に,ネット上の名誉毀損について簡単に述べました。

2012-04-20 00:34:51
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(2)今回は,名誉毀損と並んでネット上で問題になりやすいプライバシー侵害について考えてみましょう。

2012-04-20 00:35:28
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(3)プライバシーという言葉はよく使われますが,実は,法律の条文の中に「プライバシー」という言葉が使われている訳ではありません。

2012-04-20 00:35:49
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(4)しかし現在では,プライバシーが民法709条の「権利」とされる人格権のひとつとして法的に保護されることは,裁判例と学説により広く認められています。そこで以下では,分かりやすさを考えて,「プライバシー権」と述べることにしましょう。

2012-04-20 00:36:06
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(5)プライバシー権が侵害されて損害が生じた場合,民法709条に基づき,これによって生じた損害の賠償が認められます。また,プライバシー情報が第三者に拡散されるおそれがある場合には,拡散行為の差し止め請求が認められることもあります。

2012-04-20 00:36:30
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(6)では,プライバシー権とはどのような権利でしょうか。必ずしも一致した見解はありませんが,「私生活をみだりに公開されない権利」とか,「自己に関する情報をコントロールする権利」とか表現されています。

2012-04-20 00:36:49
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(7)従来の裁判例では,私生活上の事実又は私生活上の事実らしく受け取られる恐れのある事柄であり,一般に公開を欲しないだろう事柄であり,一般に公開されていない事柄であることを前提として,他者への公開で個人が不快,不安の念を感じた場合にプライバシー権の侵害が認められます。

2012-04-20 00:38:24
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(8)このような基準からすれば,個人の日記や私信(私的な手紙),病名,病歴などの情報がプライバシーに属することはいうまでもありません。

2012-04-20 00:38:44
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(9)また,近時の判決では,より広い範囲でプライバシー権が認められています。

2012-04-20 00:39:01
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(10)最高裁平成15年9月12日判決では,学籍番号,氏名,住所,電話番号のような個人情報も「本人が,自己が欲しない他者にはみだりにこれを開示されたくないと考えることは当然のことであり,そのことへの期待は保護されるべきものである」として保護対象にされています。

2012-04-20 00:39:48
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(11)また,最高裁平成元年12月21日判決でも,氏名,年齢,電話番号は人格的利益に属するとされています。

2012-04-20 00:40:06
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(12)さらに,東京地方裁判所平成15年9月12日判決は,次のように,メールアドレスもプライバシー権に含まれるとしています。

2012-04-20 00:40:23
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(13)「個人の氏名、住所、電話番号及びメールアドレス…を一般に公表するか否かについては…当該個々人において自ら決定すべきものであることは明らかである。また、年齢、職業についても、個人的な事柄であるため、これを無関係な第三者には知らせないのが一般的である。」

2012-04-20 00:40:39
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(14)「そうすると、本件個人情報が、一般人の感覚を基準にして、原告らの立場に立った場合において、自ら同意しない限り、公開を欲しないであろう事柄であり、これらを公開されない利益が、いわゆるプライバシー権として、法的に保護されるべきものであることは明らかというべきである。」

2012-04-20 00:40:53
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(15)なお,注意すべきは,名誉毀損の場合と異なり,プライバシー権の侵害は,無関係な第三者への公開だけで足りることです。たとえば,先の最高裁平成15年9月12日判決では,個人情報の警察への提供が違法と評価されています。

2012-04-20 00:41:08
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(16)名誉毀損の場合には,社会的な評価の低下が必要ですから公衆への公開が必要ですが,プライバシー権の侵害は,第三者への公開で足りるのです。

2012-04-20 00:41:36
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(17)以上の裁判例の枠組みを,具体例で考えてみましょう。手紙が勝手に持ち出されて第三者に開示されていた,という場合はどうでしょうか。私信(個人的な手紙)がプライバシーとして保護されることはいうまでもないでしょう。

2012-04-20 00:41:53
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(18)同様に,仲間うちで回していた日記帳がその1人により勝手に持ち出されて第三者に開示されたという場合はどうでしょうか。仲間うちの日記は公開を予定していませんから,この場合にも,第三者に提供された時点でプライバシー権が侵害された可能性が大です。

2012-04-20 00:42:14
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(19)また,日記帳を手に入れた人が,その日記帳が本物である可能性を認識しつつ,その一部をネットなどで公開したり,別の第三者に日記のコピーを渡したりしたとしましょう。

2012-04-20 00:42:41
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(20)この場合,公開者は,民法719条の共同不法行為者として,当初の個人情報流出者と連帯して,日記を書いた人全て(流出者を除く)に対して民事責任を負う可能性があります。

2012-04-20 00:42:59
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(21)この場合,公開した情報だけでは個人が特定されないとしても同様です。

2012-04-20 00:43:55
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(22)無断で大量の個人情報を流出する行為自体がすでに違法と評価されうるとすれば,その場合に,無断で流出した個人情報である可能性を認識しつつ,これを拡散したりさらに別の第三者に提供したりする行為は,実質的に,当初の不法行為に助力していると評価される可能性があるからです。

2012-04-20 00:44:07
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(23)この場合において,日記を現在所持している人が,さらに別の第三者に開示するおそれがあるときには,さらに,開示行為の差し止めをも請求できる可能性が高いと言えます。

2012-04-20 00:44:22
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(24)上では,私信や仲間うちの日記帳を例に挙げましたが,電子メールや,メーリングリスト内のメールの場合でも類似の問題が生じると考えられます。電子メールは特定の相手方にしか開示を予定していませんし,メーリングリスト内のメールもメンバー以外には公表を予定されていない情報だからです。

2012-04-20 00:45:14
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(25)とりわけ電子メールには,個人情報であるメールアドレスが含まれますし,これ以外にも個人の氏名や職業,住所,政治的信念,家族関係などの様々な個人情報を含むことが少なくありません。

2012-04-20 00:45:33