NHK・クローズアップ現代「“からだの時計”が医療を変える」書き起こし・ほぼ完全版 #nhk

4月23日に放送されたものを文字起こししています。 急速に進む「時計遺伝子」の研究最前線を紹介しています。 進行:国谷裕子アナ ゲスト:大戸茂弘(九州大学薬学部教授)
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冒頭のVTRが流れます

とし @toshihiro36

<ナレーション> ある男性の肝臓に見つかった巨大なガン。ある治療によって劇的に縮小しました。男性を再び元気にしたのは「時間治療」という新たな医療です。激しい痛みに襲われる関節リウマチ。「時間治療」を行ったところ、4割以上の患者で腫れや痛みが治まりました。

2012-04-23 22:24:01
とし @toshihiro36

<ナレーション> 「時間治療」は細胞の中で統計のように働く「時計遺伝子」の性質を分析、医療に応用したものです。さらに、この研究は病気の予防にも活用されようとしています。夜勤など不規則な生活をする人は、ガンやうつ病、心筋梗塞などのリスクが高まることが見えてきました。

2012-04-23 22:28:11
とし @toshihiro36

<ナレーション> こうした健康のリスクは、ちょっとした工夫で予防できることもわかってきました。広がろうとする「時間治療」。それは一体どんなものなのでしょうか。

2012-04-23 22:31:42

ここからスタジオです

とし @toshihiro36

国谷:こんばんは、クローズアップ現代です。使っている薬はまったく同じなのに、治療を行う時間を変えただけで…例えば慢性関節リウマチの症状が劇的に良くなったり、あるいは抗がん剤でガンが抑え込めたりといった期待が寄せられているのが「時間治療」です。

2012-04-23 22:35:55
とし @toshihiro36

国谷:この「時間治療」というのは、身体のリズムに合わせて最も適した時間に治療を行う。これらは最近の遺伝子の研究が背景にあります。毎日の生活の中で、私たちには例えば夜になったら眠くなる。決まった時間になればお腹が空くといったさまざまなリズムがあります。

2012-04-23 22:40:03
とし @toshihiro36

国谷:それらのリズムが崩れることによって体調が悪化したり、あるいは生産性が低下するといったことが起きると指摘されています。これらのリズム…体内時計とも呼ばれ、これまでは脳の一部でそのリズムが決まると考えられてきました。

2012-04-23 22:43:26
とし @toshihiro36

国谷:ところが最近の研究によって、全身60兆ある細胞の多くの中に「時計遺伝子」という時を刻む・生体のリズムを作るシステムがあり、それらが細胞分裂などの活動をコントロールしているということがわかってきたのです。

2012-04-23 22:47:07
とし @toshihiro36

国谷:全身に組み込まれた「時計遺伝子」。それらが互いに連携し合うことによって、生体のリズムが作られていまして…その生体のリズムに合わせて最も適した時に治療を行うことで、高い治療効果を上げようという「時間治療」。まずはこの治療の最前線からご覧ください。

2012-04-23 22:51:21

VTRが流れます

とし @toshihiro36

<ナレーション> 「時間治療」で長年苦しんだ病気の症状が治まった人がいます。富田喜久枝さん70歳、8年前に関節リウマチと診断されました。富田さんは指などの関節に炎症が起き骨も変形、強い痛みに悩まされてきました。これまで薬を飲んできましたが、十分な効果は現れませんでした。

2012-04-23 22:57:13
とし @toshihiro36

<ナレーション> そこで去年、富田さんは「時間治療」を受けました。使った薬はこれまでと同じ、飲む量も変わりません。ただ飲む時間を朝と夕方から寝る前に変えただけです。しかし、たったそれだけで症状は大きく改善しました。

2012-04-23 23:01:22
とし @toshihiro36

富田:痛みもずっと前からしたら、だいぶ楽になってきましたね。ずっとこんな風に治っていけばいいと思ってますけどね。

2012-04-23 23:03:46
とし @toshihiro36

植木医師:本当に同じ薬の量なのに、飲み方をちょっと変えたりということで…こんなに効果が出てくるのかなというのは実感しましたね。

2012-04-23 23:06:33
とし @toshihiro36

<ナレーション> なぜ薬を飲む時間を変えるだけで効果が高まるのか。この治療法を開発した藤(とう)秀人教授です。藤教授は私たちの持つ「時計遺伝子」の働きに注目しています。「時計遺伝子」は細胞一つ一つに備わっている遺伝子です。

2012-04-23 23:11:00
とし @toshihiro36

<ナレーション> この遺伝子は細胞の中で時計のように規則正しいリズムを刻み、細胞がいつどんな活動をするのかコントロールしています。リウマチの原因物質も時計遺伝子の刻むリズムに従って作られ、そして放出されていると考えられています。

2012-04-23 23:15:47
とし @toshihiro36

<ナレーション> そこで藤教授はリウマチの原因物質が、1日のうちいつ出ているのか調べました。すると朝から夕方に向かって減り、深夜にピークを迎えていることがわかりました。にもかかわらず、これまで薬は原因物質が減り始める朝に多く投与されていました。

2012-04-23 23:22:25
とし @toshihiro36

<ナレーション> そこで薬を飲む時間を原因物質が増えていく寝る前に変えることで、その効果を高めたのです。

2012-04-23 23:25:33
とし @toshihiro36

藤教授:我々の体内時計・生体リズムというものを考えて投薬することによって、今まで薬として眠っていたパワー…潜在能力というものを引き出すことができて、副作用が低減できたり効果を高めたりということが期待できます。

2012-04-23 23:30:08
とし @toshihiro36

<ナレーション> 時間治療によって、命を救われた人もいます。小原大輔さん33歳、3年前強い腰の痛みに襲われました。病院で検査を受けると、深刻な病気が見つかりました。小原さんの肝臓の写真です。大きなガンが二つありました。手術しようにもガンが大きすぎて難しいと診断されました。

2012-04-23 23:36:01
とし @toshihiro36

<ナレーション> そこで手術できるよう、ガンを小さくするための抗がん剤治療が始まりました。ところが効果はなかなか現れません。薬の量を増やすことも検討されましたが、副作用が強く出たためできませんでした。

2012-04-23 23:39:31
とし @toshihiro36

小原:抗がん剤を投与しても、結果がついてこなかった。体調だけどんどん悪くなるという…。先が見えないし、いつ手術ができるかもわからない。

2012-04-23 23:42:31
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