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双子のそれぞれの恋の話 【clum】

岡本樹と岡本玲/並列独白 94.秋 - 95.夏/ 24 tweets × 2 人分 双子が交互につぶやく形での #twnovel 。 双子とはいえ二卵性の男女なので、話はリンクしたりしなかったり。 続きは、「双子のそれぞれの恋の行方」http://togetter.com/li/2957 へどうぞ、。
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@clum_memo

のノートを受け取ったおかげで、また折館くんと話すきっかけができました。また前みたいに話したいと思ってくれてたのかな。何を書けばいいんだろ。悩むのが楽しい。ノートを手渡せるのがうれしい。返事が返ってくるのがうれしい。わたしの毎日が、「うれしい」に満たされていく。 #twnovel

2010-01-07 15:59:25
clum @clum_memo

な予感がして、密かに玲を追う。予感的中。放課後の家庭科室、調理部の活動と称して、折館への差し入れを作っている玲は真剣そのものだ。目立たないよう折館の下駄箱の上にのせて渡してはいるが、男子バスケ部の間ではしっかり有名になっているようだった。外堀が埋まっていく。 #twnovel

2010-01-07 17:00:37
clum @clum_memo

た、わたしの作ったものを折館くんが食べてくれてる。直接話せなくても、今は交換日記もある。片想いでもいいじゃない。わたしがしたくてしてるんだから。そう思ってた。のに、悲しくなった。靴箱で佐野さんと話す声が聞こえる。…そっか、わたしのしてること、迷惑だったの。 #twnovel

2010-01-07 17:02:09
@clum_memo

の前を玲が走って通り過ぎた。一瞬目が合い、反らされる。何があったかはわからない。でも、原因はわかる。折館のせいだ。いや、オレのせいだ。昨日、オレが折館を責めたことが原因だ。「玲のこと、お前自身はどう思ってんの? 」帰る折館を探してつかまえた。離すもんか。 #twnovel

2010-01-07 23:50:12
clum @clum_memo

うか、迷惑かけてたんだ、わたし。こうしてまた彼と繋がったことを喜ぶばかりで、何も考えず一人で舞い上がってた。恥ずかしいなぁ。あの子を好きなことだって、忘れたことなんかなかったのに。それでもいいと思ってたのに。どうしてこんなに悲しくなるんだろう。胸も、痛い。 #twnovel

2010-01-07 23:51:34
clum @clum_memo

館の部屋にあがりこみ、全てを吐かせた。オレを裏切りたくないこと。自分の過去や血、弱さを恥じていること。「で? お前はどうしたいの? オレはそれだけが知りたいんだけど」折館自身の素直な気持ちが知りたい。そこから出した答えなら、オレも受け入れられると思うから。 #twnovel

2010-01-08 15:28:09
clum @clum_memo

の日、わたしは晩ご飯を作れませんでした。お母さんの作ったご飯を食べて、珍しくすぐに二階の部屋へと向かう。隣の部屋はまだ暗かった。珍しく樹の帰りも遅い。話を聞いてもらおうと思ったわけじゃないけど、何だかすごく心細い。いけない。わたし、また樹をあてにしてる。 #twnovel

2010-01-08 15:28:50
clum @clum_memo

しして、折館が口を開く。「俺は…お前のように好きだなんて断言できないけれど、玲と一緒にいる時間が好きだ」そうか。「玲ともっと話したい。玲のことをもっと知りたい。そう思う」うん。それを聞きたかったんだ。それ、そのまま玲に伝えてやれよ。オレのことはいいからさ。#twnovel

2010-01-08 16:16:56
clum @clum_memo

うしよう。涙が止まらない。止められない。こんなのいや。自分のことだから自分でなんとかしたいのに。樹に、優秀な兄に甘えるだけの妹から抜け出せてない。都合のいいときばかり樹を頼ってしまう自分が悔しくて、また涙が出た。樹ならこんなことで悩まないんだろうなぁ。 #twnovel

2010-01-08 16:17:05
clum @clum_memo

レの抱えてるこの玲への想いは、一体何なんだろう。兄妹愛? 家族愛? そんなの当たり前に持ってるさ。それだけならこんなややこしいことしない。玲が恋をしてるからって、胸が痛くなったりしない。他の人間に渡したくない。ずっと自分のことだけ見てて欲しい。それって、 #twnovel

2010-01-08 19:17:04
@clum_memo

たしの抱えてるこの気持ちは、一体何なんだろう。憧れ? 友情? それもあると思う。でも、それだけならこんなに悲しくなったりしない。折館くんに好きな人がいることで、胸が痛くなったりしない。本当は他の人なんか見て欲しくない。わたしの方を向いて欲しい。それって、 #twnovel

2010-01-08 19:17:37
clum @clum_memo

朝、玲は泣き腫らした目で部屋から出てきた。顔色も悪い。そして放課後。すぐに教室を出て行く折館の後ろ姿が見えた。何もせずに見守ろう。それが昨晩出したオレの結論。でも、一つだけ懺悔しなければならないことが、オレにはある。オレも後を追うように家庭科室へと向かった。 #twnovel

2010-01-08 21:50:05
@clum_memo

しぶりに、家庭科室の扉が開くのを内側から見た。彼と目が合った瞬間、視界が白く染まる。いつもの貧血。上と下がひっくり返る。気付くと折館くんの腕の中にいた。あぁ、わたしまた。「ごめんなさい。わたし迷惑なの、気付いてなくて」折館くんの腕を抜け、壁へともたれかかる。 #twnovel

2010-01-08 21:56:31
clum @clum_memo

庭科室から出てきた二人が、帰路につく。時計台の丘を通って帰るようだ。二人の距離がやたらと近い。近過ぎる。寄り添ってる⁉ …心臓に悪すぎるので、少し離れることにした。思った以上に展開が早いぞ⁉ もう和解したのか? 告白済みか? すでに恋人か? 疑惑は尽きない。 #twnovel

2010-01-09 00:41:07
clum @clum_memo

の上の時計台。久しぶりにベンチに並んで腰をおろす。ごめんなさいを何度も言ってしまう。何度謝っても足りない気がして、でもそれしかできなくて。涙が、彼にバレていないといいけど。折館くんが言う。「あれは違う。迷惑じゃない。うれしかったんだ」じゃあ、どうして? #twnovel

2010-01-09 00:48:33
clum @clum_memo

「親友の好きな相手を横取りした挙句、泣かせるなんていい度胸してるな、折館」二人の前に姿を見せる。計算通りの絶妙なタイミング。「まぁ、それくらいの度胸がないヤツに玲は渡せないけど」もう、覚悟はできた。さぁ、オレの懺悔を始めよう。「そろそろ種明かしといこうか」 #twnovel

2010-01-09 16:57:07
@clum_memo

「なんで気付かないかな。こんなに似てるのに」樹!? なんでここにいるの? 急なことに驚いて、わたしは何も言えない。「ほら、そっくりだろ。二卵生だけどさ」折館くんも驚いてる。二人はもう友達だったの? わたしたちが双子だって知らなかった…よね。話してなかったもの。 #twnovel

2010-01-09 16:59:35
@clum_memo

乱も落ち着き、折館が玲に向き直る。…こっ、これはっ…‼ この雰囲気はっ! 姿を消すことさえ忘れ、オレは固唾を飲む。折館の口が開いた。「これからも弁当、作ってくれるかな」え? …えー⁉ ち、違うだろそれ! せめて、今の気持ちを伝えるべきところだろ! ここは! #twnovel

2010-01-09 18:45:06
@clum_memo

が帰ったのを見計らって、返事をしました。「さっきのお願い。考えとくね。食べたいって言ってくれるなら、がんばって作るから」折館くんが、三歩後から訊く。「…何でも?」うん、何でも。折館くんが立ち止まる。夕日に透けて、淡い色の髪が揺れてる。わたしは目が離せなくなる。 #twnovel

2010-01-09 18:45:45
@clum_memo

焼けで赤く染まる道をひとり歩く。何を考えてたんだろうな、オレは。何がしたかったんだろう、玲に。どうなって欲しかったんだろ、あのふたりに。「どうしたい」か己に問う。道に迷ったときに自分の素直な気持ちを解放するための、有効な手立て。でもオレは、解放してはいけない。 #twnovel

2010-01-10 01:25:52
@clum_memo

「玲が」初めて見る。折館くんのこんな表情。夕焼けの空の中、いつもは青い目も、今は何色なのかわからない。作るものなら何でもいい」さっきより近い距離を意識してしまう。息遣いまで聴こえてしまいそう。わたしの胸の音まで伝わってしまいそう。でも、もっと近くに行きたい。 #twnovel

2010-01-10 01:26:33
@clum_memo

レの想いは解放されてはいけない。折館に、双子だという事実を隠し玲を好きだと告げたのは、過保護な兄が妹を守ろうとして吐いた下らない嘘。馬鹿馬鹿しい謀り。無謀な狂言。それでいい。解放してはいけない。玲に伝えてはいけない。お前の兄の心の内が、実はこんなに醜いなんて。 #twnovel

2010-01-10 02:31:29
@clum_memo

館くんの口が、ふっと緩む。もしかして今の、笑ったの? 知らず握り締めていたわたしの手も緩む。これで戻れたんだよね。それが何よりうれしい。いくつかのすれ違いと誤解が解けた。また話せる。あなたと。その日、折館くんは初めてわたしを家まで送ってくれました。 #twnovel

2010-01-10 02:36:50