- HayakawaYukio
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この原発事故は、被害があまりに甚大だったために加害者と被害者の利害が一致してしまった希有な事例である。加害者はもちろん東電である。被害者は福島の財産家たちである。
2012-04-30 11:18:53ふつうは、他者が自分の財産の価値を減じた場合は損害賠償を請求する。しかしこの事故による損害はあまりに大きすぎて、加害者が賠償責任に耐えられないようにみえた。財産家は、この事故による財産毀損がなかったことにする道を選んだ。さいわい放射能は目に見えない。
2012-04-30 11:19:11被害がなかったことにすれば土地も家屋も無価値になることがなく、産業を失うこともない。この判断は、加害者である東電の利害とよく合致した。
2012-04-30 11:19:23さて、福島には財産家でないひとも住んでいる。労働者だ。賃貸住宅に住んでパートタイムで働いているような階層の人たちだ。彼らは被害を直視して、福島からすみやかに逃げ出した。小さな子どもを持つ親たちも同様の判断をした。
2012-04-30 11:19:37福島から脱出するひとの後姿を見た財産家はどうするか。そんなことが拡大して福島から人がいなくなったらたまらない。せっかく守ったはずだった財産価値が消滅してしまう。彼らは必死で押しとどめる。行くなと言う。
2012-04-30 11:21:11いま福島で起こっているのは、財産家階層と労働者階層の分断だ。この事故の利害対立(敵と味方)は、加害者と被害者のあいだにあるのではない。被害者のなかにするどい対立がある。
2012-04-30 11:23:31敵・味方の境界はあいまいで、つねに変動している。財産家階層は、自分の陣営にできるだけ多くのひとを引き込もうと、テレビ・新聞・雑誌そしてネットを介して、著名人や学者を利用した広報活動を水面下で繰り広げている。
2012-04-30 11:24:23「東電あるいは政府の工作員」のレッテル貼りは、現実を正確に描写してはいない。そういうひとたちがいるだろうことを否定しないが、東電とは別の集団から特命をおびた工作員がそれとは別にいる。
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