幻水散文

椎＠妄想の紋章 @27rune

悲痛にも似た、使命感に燃える瞳。「グレミオも行きます、坊ちゃん！」「駄目だ。留守番してて」窘めるよう告げるが、引き下がらない。頑固な態度に、困惑して怒鳴った。「だってグレミオ、風邪引いてるだろ！」「だって坊ちゃん、鮮度も値段も見ないで買い物するでしょ！？」 #幻水散文

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真っ赤な視界。笑いあう友人達の姿も、何もかもを一瞬にして染める赤。フリックは膝を付く。悲鳴とも怒号ともつかぬ声が喉から漏れた。「誰だ！こんな事…っ！！」響き渡る高らかな哄笑。怒りに燃え、目を拭った。「ピンポイントでトマトジュース投げやがって！！」 #幻水散文

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「テッドってどこ出身？」「故郷？さぁな。もう滅んじまったし」「…ごめん」「いいって。案外、ここかもな？」「は？グレッグミンスターなわけないだろ」「そうだなー」昔、そう笑ってた。だが赤月発祥は、実は村が滅んだ80年も後の事。可能性が絶対ないと、果たして誰に言えるだろう。 #幻水散文

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「キリル君、魚が好き？嫌い？」「え？」「魚人だけ倒さないから。好きで殺せないのか、トドメ刺したくないほど嫌いなのか」「…君、結構えぐい事言うね。ごめん…昔のトラウマで」「へぇ？」キリル君が食べてる揚げ物、魚のすり身なんだけど。黙ってるのと教えるの、どっちがえぐいかな。 #幻水散文

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海の男は何でも食うし、食べる量も人一倍だ。だが…あれだけは、そろそろ勘弁して欲しい。「敵だ！皆、いつも通り！！」「マ、マジか…」「リーダー、さっきも同じ…」「早く！」味方の表情に死相が浮かぶ。戦闘開始と同時に蟹入り肉まん(防御力UP)大会。これで12戦目である。 #幻水散文

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「なぜ君の周りには、そんなに人が集まるんだ？僕の周りからは、どんどん人が去っていく…」1.スノウの魅力。2.スノウの甲斐性。3.スノウの運命。「…ねぇ、ケネス。どれが一番親切だと思う？」「何の事かわからんが、気遣う気があるなら、お前は黙っているのが一番だ」 #幻水散文

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「テッドの馬鹿！」「このわからず屋！」取っ組み合いの末、喧嘩別れ。そして翌日。双方いつもの釣り場にくる。「……」無言で座り、釣りを開始。やがてぽつりと呟いた。「…何で喧嘩したんだっけ？」「さぁ？忘れた」「……そだね」どちらともなく笑い出す。友達とは、そんなもの。 #幻水散文

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偽者を捕まえた。ホイというらしい。「何て事を…」「食い逃げはよくねぇが…許してやれよ」「食い逃げ前科アリの熊さんは黙ってて！つかそんな事じゃなく」「え、軍主詐称の件か？」「違います！！」わからないのか。彼の大罪が！「僕もっと格好いいですよ！？」「お前ひどいな」 #幻水散文

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「体調は万全だって！」「嘘。いいから寝て」熱はないのに何故わかる。俺がベッドに入ると、りんごを剥きつつ笑う。「テッド、変な遠慮するよね。何歳なの？」「何と300歳」「人間と違う種族？」「……や、嘘だぞ？」「嘘なの？」りんごが甘い。ああ、本当に何で…わかるんだろう。 #幻水散文

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「アップル。そこの3枚のカード、1枚ひいてくれ。何と書いてある？」「…火、です」「火か…」少し不安気な顔をする妹弟子を帰し、シュウは机のカードを取った。「よし。軍師には多少の演出も必要だからな」呟いてカードを見る。全部に『火』と書いてある。他の策なぞなかったようだ。 #幻水散文

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「以上が群島解放戦争だ」「宿主の命を…」「罰の期間は終了だが」「それまでの継承者は何故かほぼ一回使っただけで消し炭と化した紋章を連発して戦争終わらせて、よくご無事でしたね！」「改めてそう聞くと酷いな。俺が」群島の英雄が初対面時に引く発言。デュナンの英雄は偉大だった。 #幻水散文

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108星の下、生き返ったグレミオは…無力だった。だが誰より軍主に安らぎを与え、微笑んで『お帰り』と言える存在。戦闘など関係ない。ただ軍主との夜逃げを聞き、人々は思う。一軍のリーダーに、三軍のグレミオがついていけるのか。―願わくば、身代わり地蔵一杯持ってってますように。 #幻水散文

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150年後、テッドの親友君に会った。「目安箱？テッドは何て書いてた？」んー…『俺に近付くな』『俺に構うな』…伝えるべきか。笑みが浮かぶ。「『魚は苦手だけど、マグロは美味かった』…とかな」「へ？マグロ？」「食べに来るか？群島に」「行く！」思い出は、優しくていいよな。 #幻水散文

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炎上し迫る船。響くエレノアの言葉。「あそこに罰の紋章を」躊躇はなかった。「軍師が『想定の範囲』で紋章前提！？」「…物資は無限か？」「え…」「大量の紋章砲とか、他の手もあった。けど一人の命に、戦場で無駄遣いができるか。軍師は正しい」「……」戦争とは、そういうものだ。 #幻水散文

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黒衣の女性は苛立たしげだ。「何も知らないくせに、いつも事態の中心にいるんですね」横でリオンが憤慨する。「王子に無礼な！」「いいよ」「ですが！」「きっとほら、何か知ってても中心にはなれないから。拗ねてるんだよ」「あ、そうですね」フォローしたのに、何故か隕石が降ってきた。 #幻水散文

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「ダ、ダメだ…俺には無理だ」「情けないよ、ロイ。僕の影武者なんだから、もっと根性出す」だが人には出来る事と出来ない事がある。ふらりと立ち、顎を伝う汗を拭いながら戦慄した。「無茶言え！急所攻撃に女性でも顔狙い！！王子さん、容赦なさすぎだろ！？」意外にロイのが紳士らしい。 #幻水散文

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「軍主がそういう真似やめろ。俺に構うな」「テッド、俺の淹れたお茶まずい？」「え、いや」「茶菓子は？」「美味いが」「掃除洗濯」「正直、助かります」「じゃオッケー？」「ああ…って違う！」「服の袖、今日繕っとこうと思ったんだけど」「…茶を淹れてくれ。熱いので」「了解」 #幻水散文

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『俺の策に従えば王国軍を破るなど容易い。だが俺を信じなければ、お前らは敗れ去る』シュウの言葉だ。だが。「あの時、シュウさん交易商だよ？指揮経験皆無。どっから湧いたのあの根拠ない自信！？」「必然だ。何も不思議はない」「……」ナルシー顔負けの自信だった。 #幻水散文

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彼の紋章を操る力は今、ササライより上だ。紋章術の素養は二人等しく同等である。ただ今は、敵わない…。「認めるから、この嵐止めてくれない？」「あんた、大地震を止められるわけ！？」「自然の脅威に敵うわけないだろ。君って馬鹿？」「そっくりそのまま返す！」結構、口ではいい勝負。 #幻水散文

椎＠妄想の紋章 @27rune

戻る所のないフェザーは今でも城を守っている。その顔が少し曇る。「大丈夫、ずっとここにいていいんだ」城主は微笑み、散歩しようと背に乗った。どこかで響く軍師の声。「アキト殿はどこだ！？あのくそガキ、政務放りだしてどこいきやがった！」立ち位置変えようか悩みつつ、風を切った。 #幻水散文

椎＠妄想の紋章 @27rune

テッドは歴史に造詣が深い。書物からの知識だそうだが、その時代を生き抜いていたのなら、まさに歴史の生き字引だったわけだ。たくさん教えてもらったが、興味のない物は聞かなかった。今になって、後悔する。『赤月初代皇帝カルナッハ―独立戦争に散った悲恋』聞いときゃよかった！！ #幻水散文

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燃え上がる赤い炎。すべてを飲み込み、焼き尽くすまで止まらない。赤い炎と黒い煙を呆然と見つめ、ただ立つジョウイの瞳に涙が溢れる。かけがえのない親友が、気遣う声をそっと掛けた。「ね、泣かないでよ。僕の焼き芋半分あげるから」「い、いやこれは煙が染みたんだ！本当なんだ！」 #幻水散文

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軍主となったアキトは、ナナミを置いてぐんぐん強くなる。仲間も多くなり、置いていかれることも増えた。「…仕方ないよね。でも、アキトは私が守るんだから！」「ただいまー」「あ、おかえ…り」本日のパーティ。美女5人。「…そっか。男の子だもんね。私、邪魔だったんだ」「ええ！？」 #幻水散文

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敵の攻撃が脇腹をかすめた。既に仲間の体力は残り少ない。だが、アキトには頼りになる味方がいる！「くっ…協力攻撃、お願いします！」応えて響く頼もしい声。「任せろ！」「え…？」発動。にせもの攻撃！「違うぅぅぅ！ロンさぁぁぁん！？」「あ、ごめん。僕だったのか」指示は明確に。 #幻水散文

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本拠地で肝試し大会だ。お化け役と小道具を備え、あちこちから楽しそうな悲鳴が上がる。盛況だが、最初に入った一般人が真っ青な顔で転がり出てきた。遊びにしては異常だ。「どうしました？」「に、人形が本物の血の涙を！！」「ああ。呪い人形ですから。いつもの事です」「え？」 #幻水散文