下で待ってるからはやく落ちて来てね。隣の家から伸びる枝についた蜜柑。その下で息子は口を開けて待っている。やだもうあなたも何とか言って?「待ってたって無駄だぞ」そうそう。「ほら、これで狙って落とすんだ」家の中からボールを持って来た。「男にはやるべき時があるんだ」阿呆。#書き出し
2012-05-14 17:16:10もう気にしないことにした。ひたすらご近所への体面を気にする母の言動も、仕事仕事で家のことにはひどく無関心な父親の素振りも、何もかも気にしないことにした。すると肩から力が抜けて、全てがどうでも良くなった。画用紙に垂れた絵の具がじわりと滲むような、静かな家庭崩壊だった。 #書き出し
2012-05-13 23:24:44小指を結んで約束を交わしたのは、もう何年前になるでしょうか。「おとなになったら、けっこんしよう!」なんと稚い誓いでしょう。しかしそれでも、わたしにとってはかけがえのない約束でした。彼が失踪してもう七年。わたしにとって、それは約束などではなく、呪い、なのかもしれません。 #書き出し
2012-05-14 06:50:13「それで?」訊ねると、彼女は露骨に不機嫌な表情を作った。「話聞いてなかったでしょ」何、こいつエスパー?「あんたバカ?」また心読まれた。俺って一世を風靡したサトラレだったのか?それともこいつ、まさか妖怪のサトリってやつ?「何年一緒に居ると思ってんの」そりゃあごもっとも。 #書き出し
2012-05-14 12:34:53青く澄みすぎてる空/羽があれば、空を飛べるのに/白い空、青い雲/空と海を繋ぐ/朝は太陽、夜は月/同じ空を見上げている/真空が、空間に生まれた/この世界には空がない/この空はどこまでも〇〇 #この書き出しいかがですか #この締めいかがですか
2012-05-14 15:00:55この感覚には覚えがあった。止まらない血液、冷えていく身体。ガタガタと震えながら記憶を辿る。君の叫び声もちゃんと聞こえない。周囲の音が煩すぎるんだ。「……!……!!」ああ、そっか。またなんだね。また、俺は君を置いて逝く。……大丈夫。何度繰り返したとしてもまた出会えるよ。 #書き出し
2012-05-14 22:48:21この感覚には覚えがあった。止まらない血液、冷えていく身体、薄れる視界。死ぬのかな。そう呟くと、君が微笑んで居た。視線が合うや否や神妙な顔に変わり、死なないで、と涙ながらに訴える。そうだね、君を残して死ねないものね。まるで愛の告白のようにそう思った。 #書き出し
2012-05-15 03:01:33@sousakuTL この感覚には覚えがあった。止まらない血液、冷えていく身体…。「申し訳ありません…わたしは、もう…」「死ぬな!」悲鳴にも似た叫び。「お前は私を残して逝くつもりか!?」「…葬舞(そうま)…さん…」「私の妻に…なるのではなかったのか?!」 #Chrys #書き出し
2012-05-15 20:33:06