ツイッター小説 お気に入りセレクト 2012/05/18

今日読んだついのべの中から個人的にお気に入りの作品を選んでみました。 ついのべ #twnovel とは140文字以内で書かれた短いお話です。
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紺屋 @ysga1002

敵と対峙した魔術師は、まず始めに喉を潰される。術の詠唱を妨げるためだ。「喉が命なんてディーヴァみたいね」悪友が茶々を入れるが無視。「だから僕は、新しい術を構築したんだ」特殊な羽ペンで宙に術式を書くと、突然火の玉が現れた。世界初の無声魔術はひっそりと産声をあげた。 #twnovel

2012-05-18 00:13:12
塩中 吉里 @shionaka_kiri

#twnovel こんにちは、初めまして、私の名前は「あなたの渾身の叫びを容易い言葉に変えるもの」です、あなたは? 初めまして、私の名前も「あなたの渾身の叫びを容易い言葉に変えるもの」です、それから、またの名を「希望」といいます、あなたは? 私は、またの名を「絶望」といいます。

2012-05-18 02:56:33
佐々木匙@やったー @sasasa3396

寝つけない夜は、枕元にミルクとクッキーの欠片を用意して、じっと目を閉じているといい。運が良ければ眠りうさぎがやって来るだろう。物音もにおいもしない。でも、そっと布団に潜り込む、小さなあたたかい綿毛のぬくもりと、とくとくという心臓の鼓動。おやすみ、おやすみ。 #twnovel

2012-05-18 05:22:57
浅葉積木 @tsumiki_a

#twnovel 真夜中に彼女のアドレスから理解不能のメールが着信するということが何度もあった。彼女は憶えがないという。彼女の部屋に泊まった日の夜中、例のメールが着信した。彼女は、と見ると…眠ったままメールを送っていた。…つまり、寝言だな。今日のは解読できた。晩ご飯の感想だった。

2012-05-18 07:04:37
jazzztop @jazzztop

いつものカフェに入ると、窓際の席に彼がいる。一週間ぶりだろうか? もう二度と会えないかもしれない。そう思っていたので頬がゆるんだ。私はミルクティを注文し、さりげなく彼の横顔を拝める席に座る。マグを包む彼の左手が朝陽を跳ね返した。薬指にきらきらと指輪が輝いていた。 #twnovel

2012-05-18 07:37:30
銭喰 @zeniqui

#twnovel コンプ石積みが社会問題となっている。コンプ石積みとは三途の川岸で提供されているの刑罰で、指定された複数の石を積むと極楽に行ける仕組みだが「最後の石が見つかる確率を操作している」「途中で鬼が崩しにくる」「むしろ極楽より楽しい」などの問題点がかねてから指摘されていた

2012-05-18 07:45:04
すなお @Svnao

#twnovel 路上占い師に声を掛けられた。「あなた、先週フラれましたね?」「えっ」「それに先程財布を落としたばかりだ」「当たってる!何か良いアドバイスありませんか?」「ツイッターのアイコンをプリクラから別の物になさい」「そうします!あなた何者なの?」「あなたのフォロワーです」

2012-05-18 11:40:54
すわぞ @suwazo

#twnovel 僻地にある観測所の職員は、遠い未来が、とんでもない速さで近づいてきていることに気づいた。最初は数値ミスかと思われた。本部には正しいデータを送り直せと電話で怒鳴られた。だが数値は正しいのだ。やがてある朝、遠い未来にとうとう追いつかれた。窓の外には果てしない、虚無。

2012-05-18 13:43:54
いでゆのまち @ideimachi

#twnovel 焼却場を始めたら評判になった。怒り。嫉妬。恨み。自分で処理できない思いをきれいに燃やしてあげる。ある日、かつての同級生が訪れた。依頼は愛するひとを失った悲しみ。私は密かに自分の思いもいっしょに投じた。釜をあけ、ため息でそっと胸に戻す。実らぬ恋心って燃えないのね。

2012-05-18 20:12:17
ゆえ @sakuyue

空が夕焼け色に染まる頃、星灯りの職人たちは動き始める。硝子細工の街灯ひとつずつに星を入れ、つついて瞬かせてやる。簡単な仕事と思うだろう。だが、このつつき具合が実に難しいのだ。強すぎては星が砕けてしまい、弱すぎては夜を照らせない。柔らかな灯りは彼らに守られている。 #twnovel

2012-05-18 20:29:28
Shinichi Sugiyama @chez_sugi

季節が冬秋夏春の順番だったら、秋の訪れとともに枯木に紅葉がはえて、それが鮮やかな緑に変わると夏で、やがて春の花々や葉がその色彩を保ったまま散り、地面を極彩色で染めると、再び冬がきて、地面は徐々に色あせて切れ目なく雪の白さへと移り変わる。 #twnovel

2012-05-18 21:18:09
23時の夢物語 @23novel

#twnovel 宇宙船に乗っている。特に目的地はない。気ままな休日の散歩のようなものだ。食糧も燃料もたっぷりあるし、ごきげんな歌もたくさんある。ただ、戻るべき星が消えてしまっただけだ。話し相手に、他の知的生命体でも見つけに行こうかな。宇宙は広いな、大きいなっと。

2012-05-18 23:23:20