ツイッター小説 お気に入りセレクト 2012/05/24

今日読んだついのべの中から個人的にお気に入りの作品を選んでみました。 ついのべ #twnovel とは140文字以内で書かれた短いお話です。
1
tokoya @tokoya

#twnovel あの人が死んでしまった。だから言ったのに、世界は以前とは違うのだと。原因は分からない、分かっているのは死者が生者を襲い始めた事。逃げるべきだと何度も訴えたのに、聞こうとしなかった。そして最後まで私の側にいた。私は彼のはらわたを食い千切りながら、部屋の中で泣いた。

2012-05-24 00:11:13
七歩 @naholograph

壊れたロボットは収容される。ここで修理点検されて、再び前線へと送られる。なんて穏やかな暮らし。そもそもこの戦いはなんのためか。ロボットの幸せのためだ。幸せってなんだろう。戦いのないこの日々とは違うものか。癒えたロボットは前線へ帰る。再び壊れることを夢見て戦う。#twnovel

2012-05-24 06:31:41
銭喰 @zeniqui

#twnovel 長年墓守りをやっていたが、年々増える死者のために穴を掘り続けるのが嫌になり、革命に参加した。しかしすぐ捕虜となってしまい収容所で穴を掘る強制労働を課せられた。なんとか隙を見て塀に穴を掘り逃げ出し、国外に逃亡。今は日本で道路工事のアルバイトをして幸せに暮らしている

2012-05-24 07:38:58
彩杜 @kizashi_iro

わたしが線路に転がっていた。黒く落ち窪んだ目が弓形に微笑んでいるのが見える。電車が滑り込んでくる、私は目が離せない。乗り込む人の背を見送って、安堵したのも束の間、わたしは変わらず線路に転がったままだった。 ねえ、来ないの。呟いたのはどちらか。 じきに電車が来る。#twnovel

2012-05-24 08:35:53
紺屋 @ysga1002

倉庫掃除で見つけた箱に入っていたのは手紙の山。送り主はパパ、宛名は旧姓のママだ。「あら懐かしい。パパに貰ったラブレターよ」恥ずかしげもなくママは言う。「全部取ってるの? 恥ずかしくない?」するとママは微笑んで、「あなただって彼氏からのメールを保存してるでしょ?」 #twnovel

2012-05-24 10:33:34
かなりひこくま @kanarihikokuma

丸く広がる街だった。街は複雑化し巨大な迷路と化した。住人は街の中の町で暮らした。文物は隣町から隣町へと伝わるのだった。街の真ん中に塔が建てられた。塔は竹の子のように高く高く伸び。その影は真っ直ぐに街を横切った。この一本道を駆け抜けるのが勇者の仕事となった。  #twnovel

2012-05-24 10:53:40
とおる7th @windcreator

「夏をお届けにあがりました!」ショートカットの少女がビキニの水着とショートパンツの出で立ちで玄関に立っていた。浮き輪と麦わら帽子まで装備している。確かに、見るだけではっきりわかる。夏だ。だが、「頼んだ覚えはない」彼女は首を横に振る。「頼まれずとも季節は巡るの!」 #twnovel

2012-05-24 12:12:47
添嶋譲 @literaryace

明日、世界が終わる。どうやって終わるかわからないけれど。僕たちは記念にバーベキューをやった。食って飲んで話して笑って。悔いはない気がした。「俺はー! こいつとー! 結婚するぞー!」叫ぶタナカ。みんなが騒ぎ出す。即席の式が始まる。わけわかんないけど、幸せに見えた。 #twnovel

2012-05-24 12:41:28
♍≠様♍ @XavierCohen

「だあるまさんがこおろんだ!」振り向くと無数の達磨が白目を剝いて転がっていた。/「ぼんさんが屁をこいた!」異臭がした。/「あっち向いてホイ!」「俺はホイじゃねえ。チェンだ」/「後ろの正面だあれ?」知らない女の子達は手に手に蝋燭やナイフを持って僕を取り囲んでいた。 #twnovel

2012-05-24 12:58:18
すわぞ @suwazo

#twnovel 四つ葉のクローバーを探していると、ふいに傍らに巨大な猫が現れて正座した。正座である。「三毛猫ならぬ四毛猫というものを知っておるか」喋った。「出会った者に多大な幸運を与えるという」まさかお前が。「儂もずっと捜しておる」お前じゃないんかい。ところで四色目は何色だ。

2012-05-24 18:23:45
銭喰 @zeniqui

#twnovel 禁酒法が布かれたある国で、二人の男が城の酒蔵に忍び込んだ。目当ては勿論、酒。一斗樽を一人一つ抱えたが、欲深な方の男がもう一つ持ち上げた。「無理するな」「大丈夫」しかし二斗抱えた男は帰りに警備兵に捕まってしまった。二斗負う者は一斗も得られず、打ち首となったそうな。

2012-05-24 18:30:10
七歩 @naholograph

僕の触れた物達が名前通りの姿をとるようになった。金魚草には金魚が咲いて、蝶々結びは蝶となって空を舞う。きつねうどんの中には狐がいい湯だなって浸かってる。僕の隣、可愛い君のポニーテールに触れると一体どうなるか。好奇心と愛が戦う。揺れては誘うポニーテール。僕は。#twnovel

2012-05-24 18:34:19
layback @laybacks

コーンスープは自販機の中で孤独を感じていた。誤補充のせいで仲間とは離ればなれ。不人気なおしるこの列に収まっている。すっと身体が落ちた。気がつくとコーンスープは自販機の外に出ていた。売れたわけではない。商品の入れ替えだった。季節はもう夏。プルタブを開ける音がした。 #twnovel

2012-05-24 20:04:08
二月大笑 @unpeu_G

よく磨かれたテープルの上を小鉢がひとつ滑ってきた。私の前でピタリと止まる。見ると中身は肉じゃがだった。「あちらのお客様からです。」カウンターの向こうに妻がいる。「やめなさいお行儀悪い。」バーテンダーは娘に戻る。「なるほどひとついただこうか。」三人で食卓を囲んだ。 #twnovel

2012-05-24 20:18:09
@_140

#twnovel このソフトで古い写真をレタッチしてください。メニューから[編集]→[世界線を変更]を選ぶと選択範囲に適用されます。通常は[自動思い出補正]が最適です。[カット]でも多くの場合に悪くない結果が得られます。注意して欲しいのは、このソフトに[取り消し]がないことです。

2012-05-24 20:22:16
いでゆのまち @ideimachi

#twnovel 出張から帰ると彼女が倒れていた。ミイラのように干からびて。少し前から具合が悪そうだった。無理に都会へ連れてきた僕が悪いんだ… 無残な姿を抱いて泣く。「やだそれ、抜け殻よ」声に驚いて振り向くと、いつもの笑顔。「脱皮したの。ほら、お肌すべすべ」おお、麗しの蛇姫さま。

2012-05-24 22:11:20
鈴々@物語る鳥 @re_rhythm

桜が咲く頃に彼に恋心を抱いた。桜が散る頃に彼に想い人がいることを知った。花の命は短い。けれど桜の木は花こそなくとも青々と美しい葉を茂らす。見上げれば木漏れ日がきらきらまるで宝石みたいに煌めく。いいなぁ、桜に生まれたかった。これから赤い実をつける桜が羨ましかった。 #twnovel

2012-05-24 22:41:21
@mimimdr

神さま、わたしをたんぽぽの綿毛にしてください。風に乗り遠くへ飛んで、何も成せずに土の上で絶えるだけの一生だけど、それでも、母のもとから発つその一瞬だけ、他の子たちと同じように太陽の光できらきら輝いて春の美しい景色の一点になる、そんなたんぽぽの綿毛になりたいのです。#twnovel

2012-05-24 22:42:52
塩中 吉里 @shionaka_kiri

#twnovel 閻魔は一度だけ亡者にあまねく慈悲を与える。とはいえそれは百年休まずに墓石を磨き続けた者を現世に転生させる定款なので、亡者の男は定めの通りに勤めていたが、あるとき、隻眼の子鬼から、百年後の姿を映す鏡があるぞと囁かれ、目をやった。一瞬の明るい風景。あとは永劫の闇。

2012-05-24 22:54:01
雨音 @candypeal

孤独と二人で旅にでた。寂れた温泉宿で日本酒を舐めながら、孤独は上機嫌に政治批判をし、私は上の空で彼の事ばかり考えている。そういえばあの錆びた自転車はどうなったかな?彼と乗った赤い奴。孤独はニヤリと笑い、もう捨てられたさと言う。私は頷き、きゅっとお猪口を傾けた。 #twnovel

2012-05-24 22:54:54
夢名 七志 @mumei7c

目覚めると逆さまの部屋だった。つまり天井に寝ていた訳だ。カーテンが屋根側に落ちていて朝日が眩しい。階下、つまり上階から声がしたとたん遠ざかっていった。天井を歩き窓から顔を出すと、空、つまり地面が頭上に拡がって伸し掛かっていた。慌ててバランスを崩して青空へ落ちた。 #twnovel

2012-05-24 22:58:18
歌種 @PM23564

#twnovel 小屋には沢山の白星がいた。星飼いの老人は陽の気配が去るのを待って戸を開け、未だ幼い星達を庭へと放す。庭には虹色に輝く池が点在し、星は思い思いに池へ飛び込んでは光を浴びる。そうして四度季節を越え、綺麗に色付いたものは売りに出される。少女の髪や夜空を飾るのだそうだ。

2012-05-24 23:56:00