少年は空を夢見ていた。「いつの日か絶対に飛行士になって、あの大空を飛び回るんだ!」君はいつも眩しい笑顔で私に語ってくれる。 君は、空が大好き。私はそんな君が、 『大好き』 まだ伝える勇気のない、小さな小さな私の声は、風に乗って大空へ。 #8poem 「空」から「声」へ
2012-05-20 23:00:46こゝろに隙間が出来ました。その空白はひどく痛くて。そこにはまっていたピース。同じ形のものはもう見つからないのです。あれやこれやと試しました。けれどもやっぱり無理でした。欠けてしまった僕のこゝろは、バラバラになるのを待つばかり。 #8poem 「喪失」から「パズル」へ
2012-05-20 23:01:51めちゃくちゃ大きく、地球の裏に届くように叫んでやる。枯れたって構いやしない。みんなの声掻き消してでも伝えてやる。君への想い、声にして。 #8poem 『声』から『君』 へ
2012-05-20 23:07:14@null 世の中に美しいものってたくさんあるじゃん?大体の人はそれが好き。でもさ、俺にはもっと他に好きな物があるんだ。なんかこう、好きって言葉だけで表すのは勿体無いくらいに、うん…俺、お前の事が好きなんだ。 #8poem 「美」から「恋人」へ
2012-05-20 23:09:15隣で手を繋いでいたって、きっと見える空のあおは同じじゃなくて。どうしたってぼくら、別の生き物だ。寄り添うたびに、温度を確かめるたびに、遺伝子ごと融けはしないかと祈ってみるけれど。やっぱり泣きたくなるくらい、どうしたってぼくら、別の生き物だね。 #8poem 「空」から「あお」へ
2012-05-20 23:12:31私の言葉を何度でも優しく聞き返してくれる君の声が好きで、私はいつも囁くように語る。時間をかけてゆっくり成立する会話が終わって欲しくなくて、声がますます掠れた。#8poem 「声」から「時間」へ
2012-05-20 23:13:46ねぇずっとみてたよ。君の片想いは、わたしの片想いに変わった。永遠の文字はわたしと一緒に空気のない水に沈んで 一人泳いでいく君と水の中でもがいているわたし #8poem 「君」から「水」へ
2012-05-20 23:15:14青すぎる空は絶望に似ているのだと、彼女は言った。目隠しのように空ろな青。眼窩に、唇に、あの青を詰め込んで、僕は喉をつまらせる。呑み込んだ色彩はひどく熱く、鼓動を伴って僕の胸を叩いた。内側から荒らされて死んでしまいそう。あれはひどく、空ろな熱情。 #8poem 「空」から「空ろ」へ
2012-05-20 23:18:08推理って、パズルみたいですよね。確かな情報のカケラをパチリパチリと当てはめていって、出来上がった物がすなわち真実。それがどんなに信じがたい物でも、決して揺らぐことのない真実。だからほら、もう泣かないで受け入れて。僕に手錠をかけてください。 #8poem 「パズル」から「裏切り」へ
2012-05-20 23:20:00君は変わらないね。でも、背は少し伸びたね。心は無邪気なままなのに。あと少しで寿命迎えそうだけど、今までありがとう。小っちゃい僕を抱いてくれてありがとう。先にイって待ってる。またね。 #8poem 『時間』から『わんこ』へ
2012-05-20 23:20:36にじむ視界で泡沫を見上げた。力なく開く口からこぼれてゆくいのち。感覚を失う四肢。青に黒に揺らぐ冷たさに委ねる。美しいけれど安らぐけれど。(僕が還りたいのは)(この場所だったっけ)(ない)(いない)(君の温もり) #8poem 「水」から「体温」へ
2012-05-20 23:21:43@null 窓から外を見る。この塔から出る事を許されない私は、ただひたすらに外を見る。空の色が変わって、草原は風に揺らされて、命が空を通り抜けていく。それでも何も変わらなくて、嗚呼、毎日毎日同じ朝が巡ってくるだけで、 #8poem 「朝」から「塔」へ
2012-05-20 23:22:24きみの世界にいる僕とぼくの世界にいる僕。それは鏡に映る僕と僕自身のように形ばかりは瓜二つで、けれど熱も意思も持たない彼と僕は全くの別物だ。触れても一枚のガラスが僕らを隔てる。思考、感情、遠い熱。分かり合えない僕ら。きみの見ている僕を教えて。 #8poem 「真実」から「視線」へ
2012-05-20 23:31:25その体は冷たくて。今までを否定されてるみたいに、冷たくて。全ての思い出が消えたように、冷たくて。何してたんだろうね? #8poem 『体温』から『命』へ
2012-05-20 23:35:41真実と嘘とごちゃませにして、飲み込んでしまおう。僕が気づかなければ君の思惑は上手くいく。君が僕に知られたくない真実と、君が僕に囁く嘘。原型もとどめないぐらい混ぜ合わせて綺麗な色のカクテルを飲むみたいにして飲み込んでしまおう。 #8poem 「真実」から「嘘」へ
2012-05-20 23:37:18解を与えよう 解けない方程式も寝酒に溶かして飲んでしまおう 戒を与えよう 罰を欲しがる子羊たちを数えて眠れない夜をやり過ごした モーゼの大嘘を暴いて僕は命になるんだ #8poem 「戒」から「頸動脈」へ
2012-05-20 23:41:51そこらへんにある尖ったモノでも、鋭いモノでも、何でもいいからさ。スパッとイきなよ。辛いんでしょ?しんどいんでしょ?無理するなよ。楽になりな。 #8poem 『頸動脈』から『楽』へ
2012-05-20 23:48:12古い本をめくると、誰のものかわからぬ言葉が聞こえてきた。「あの人はもはや愛してはいないのだ」僅かな齟齬から破局が起こり、皆息絶え、物語の変奏曲のみ残る。後の世に書かれた言葉が誰の唇から漏れたものか、本当にあったことなのか誰も知らない。 #8poem 「嘘」から「唇」へ。
2012-05-20 23:50:29@null 君はもう目覚めない。傍らに転がる錠剤を、二人で飲み干す約束をした。いっしょに旅立つ夢をみた。けれどこれでおしまい。一生一緒にいられないことくらい君も気が付いていただろう?シャツに腕を通し、この部屋を出て僕は生きる。さようなら、君。 #8poem 「朝」から「生」へ
2012-05-20 23:53:38「あなたのその楽しい、は しあわせ?」 不意に問いかけられた言葉に内蔵の裏側からせりあがる吐気、弱弱しかった筈の僕の胃による強気で優しくない生臭い反乱。逆流する排泄行為、現実の蜜は蜂の毒に満たされて酷く痛むから。だから私は、輝く筈だった未来を、を #8poem 「楽」から「密」へ
2012-05-21 23:00:51髪を垂らしたら気づいてくれた?その指先に私を絡めて、無様な我儘まで愛してくれたの?仮定の話ばかり得意になって誰かを待つだけの幼い私。声も上げずに物欲しげな目を散らかして。こんな高い所へでも王子様はきてくれるなんて、馬鹿な夢を見ていたのだわ。 #8poem 「塔」から「プライド」へ
2012-05-21 23:05:10@null 私は笑う。私は話す。私は応える。毎日毎日同じように、誰かが望む「私」を作り上げていく。元々の私がどうだったかだなんて私も誰も覚えていない、今の私は全部嘘。たとえ「本物」が見つかったとしても、今の私が崩れる事なんて、あるわけが無いの。 #8poem 「嘘」から「崩壊」へ
2012-05-21 23:07:17隠してしまいたかった キミという存在を 密やかに 何食わぬ顔で キミを世界から奪いたかった そんな そんな想像だけで満たされるこの心は 嗚呼 なんて軽やかで 愚考ばかりが浮かんでは弾けた(だからキミはまだボクのものにならない。) #8poem 『密』から『不可能』へ
2012-05-21 23:11:28