大地丙太郎さんによる久里洋二さんの思い出

大地丙太郎 @akitaroh

さすがの先輩もまた来られたら堪らんと思ったのでしょう。宮さんの指示通り撮り直した。宮さんは二度とウチの撮影には顔出さなかった。最終話、空を飛ぶラナの透明感の出し方が問題だった。ダブらしかスーパーかの問題。先輩は楽なスーパーでやってた。あそこはダブらしでないとだもなんだ。

大地丙太郎 @akitaroh

だもなんだしゃなくて、だめなんだ、だ。

大地丙太郎 @akitaroh

ダブらしってのは、二重撮影でも足して100%になるの。スーパーってのは200%になっちゃうの。あのラナの飛翔しーんはね、バックが白い雲なんだよ。白はすでに限りなく100%に近い露光量なんだ。それをスーパーインポーズで撮影したら、ラナは見えないよ。

大地丙太郎 @akitaroh

ラナなしの雲の密着マルチをまずは30%とかで撮る。巻き戻して、今度は雲の密着マルチの上にラナのセルを置いて70%で撮る。コレがダブらし。W-EXPってやつだ。キレイなラナの透けた絵になる。デジタルなヒトにどの位このつぶやきが伝わってるか分からないけど、そんなして撮ったあのシーン。

大地丙太郎 @akitaroh

この感覚は、書いても伝わらないだろうけど、先輩が何故びびって指示通りやらなかったかというと、この緻密な密着マルチを二回、同じ精度で出来ない。雲の絵がズレてしまうと思ったからなんだ。撮影のプライドでそれを避けてたワケだが、避けた方がプライド成立出来てなかったと思うよ。

大地丙太郎 @akitaroh

ごめんね先輩。その先輩はもうこの世のヒトじゃない。

大地丙太郎 @akitaroh

話それまくり。久里さんの話に戻れるのか。

大地丙太郎 @akitaroh

昨日の飲み語り読み返してて「密着マルチ」とか言葉がわからない人も多いだろうなと思った。その説明してるとまた横道に逸れちゃうんだろうなあ。

大地丙太郎 @akitaroh

てか、連続で長いつぶやきを夜中に書かれたらおれだったらフォロー外すけど、ゆうべは宮さんの話だったからか、7777人からずいぶん増えてる。申すワケない。

大地丙太郎 @akitaroh

31日阿佐ヶ谷ロフトＡ「大地丙太郎スタイル11 メイキング・オブ・ポヨ」で、ポヨカルトクイズやるコトにしました。作画、美術、声優、演出部門でそれぞれ出題。賞品用意しなくちゃ。

大地丙太郎 @akitaroh

アニメーターFさんとの相性は抜群に良かったんだけど、われらの最大の弱点は「艶気」がないことだったな。オレのギスギスをFさんは助長しちゃうんだ。それでもよしと思ってたところにあらわれたのが渡辺はじめさんだった。「赤ずきんチャチャ」で、われらの枚数使わぬアニメに、はじめさんのキャラが

大地丙太郎 @akitaroh

入るコトで、艶は出るし、上品になった。渡辺はじめさんをダレも悪く言わない理由がやっとそれでわかった。才能ってのはスゴイもんだ。

大地丙太郎 @akitaroh

本日はあまり語れなし。おやすみ。

大地丙太郎 @akitaroh

「はじめさんのキャラが入ると」というのは「はじめさんのキャラ修正が上に乗ると」ということでした。

大地丙太郎 @akitaroh

大地は「うる星やつら」みたいなアニメが作りたかった。あるいは「ガンバの冒険」「ど根性ガエル」「ルパン三世」。「うる星やつら」は楽しくテレビアニメを見た最後の作品だった。つまり見る側の人としては「うる星やつら」が最後になった。「うる星やつら」以降どんなに待ってもああいう作品はない。

大地丙太郎 @akitaroh

「うる星やつら」の頃は撮影スタッフでした。その「うる星やつら」も、劇場版が出る前までが好きです。OVAも一生懸命見たけどね。嫌いじゃないけどね。でも最初の劇場版の前までのテレビの「うる星やつら」が好きですわ。あ、ちなみに「完結編」は撮影監督でしたね。

大地丙太郎 @akitaroh

あ、まだ飲んでるわけじゃないの。とても単調で難しい仕事に没頭してるもんだから、なんかつぶやきたくなって。

大地丙太郎 @akitaroh

いろいろあって演出家にはストレートにはならなかったんだけど、なった時時点で「面白い」と思える作品がなかった。（僕にとってだよ）。それどころかアニメ界はめちゃ元気がなかった。唯一「セーラームーン」がやってくれてた。ただ、もう見る側を完全にやめてたからたまに見るくらいだったけど。

大地丙太郎 @akitaroh

あ、娘は夢中だった「セーラームーン」。カラオケに連れて行かされて、１時間とか２時間とか「ごめんね〜素直じゃなくて♪」おんりー。最近のオレのヒトカラみたい。

大地丙太郎 @akitaroh

なんか元気なアニメ作りたいなあと思ったそんときは。んで「おぼっちゃまくん」「どろろんぱ」、そして「赤ずきんチャチャ」。「チャチャ」の頃は佐藤順一くんが「きんぎょ注意報!」作ってて、桜井弘明くんと「あれ面白い。アレ真似しよう」って言いながら作ってた。星とかなんかが画面に出てきて

大地丙太郎 @akitaroh

くるくるまわったりするの。今では当たり前にやってると思うけど、あの頃は斬新だった。もう全く真似した。

大地丙太郎 @akitaroh

当時のアニメって噛んで含む様なものすごくゆっくりしたしゃべりばっかりだった。「実際のオレたちの会話ってもっと早いよな」と言いながら、その日常のテンポまで上げたんですよ「チャチャ」で。「聞こえる聞こえる大丈夫」とか言いながら。そのうちに結構エスカレートして行くの。

大地丙太郎 @akitaroh

「赤ずきんチャチャ」は結構僕ら暴走しちゃって・・・。面白くて面白くて。シナリオに書いてあることもぜんぶやらなくちゃいけないんだけど、ほかにもネタがやったら浮かんで、どうしても入れたいからどんどん尺が膨れ上がっちゃう。桜井くんも同様で。ついに3分以上の尺オーバーになっちゃった。

大地丙太郎 @akitaroh

それは桜井くんコンテなんだけど。どうするのかなと思ってたら、桜井くんアフレコ台本にメモした。「通常の1.５倍でしゃべってください」。これが「チャチャ」以降の我々のスタンダードのテンポになるとは、その時は思わなかった。「無茶だよ桜井くん」としか…。

大地丙太郎 @akitaroh

これ、結果オーライだったけど、本当はやってはいけません。良い演出家は真似しないでください。