若者の離職率に関するNHKの事実誤認とそれに関する解説 by 上西充子・法政大学准教授
15:河合薫氏の【「この仕事は合ってません!」と1カ月で辞める新人の“事情”】http://t.co/j47bVDdfは、「今や2年で35%が離職」と、NHKと同じ事実誤認を含みつつ、1か月で辞める新人の事例などを紹介して、上記のような曲解の普及に貢献する。
2012-05-29 10:27:0117:6月2日放送予定のNHK「日本新生」テーマは「働き方」のページにも、「一昨年、大学を卒業した人の52%が就職できない、または離職」という同じ事実誤認。http://t.co/R245FlsK
2012-05-29 10:27:4418:で、先ほど9時過ぎにNHKの電話による問い合わせ先「NHKふれあいセンター」に電話。WGの委員であることも名乗り、応対してくれた女性の方に説明したところ、「上司に変わります」と一旦言われたが、その後、メールフォームに書いてください、と。
2012-05-29 10:28:0519:メールフォームだと字数の制限もあるし、双方向のやり取りができないし、意見がスルーされてしまう(過去に経験あり)ので、大事な問題だからと食い下がって上司の人(イデさんという方)に電話をかわってもらった。
2012-05-29 10:28:2820:2年の実測値ではなく3年の推計値だという点については、「おっしゃることはわかりました、伝えます」的な対応。離職については「自己都合退職以外も含んでいるとは言っても、自己都合退職も含んでいるわけですよね(ですから、間違いとは言えないですよね)」的な対応。
2012-05-29 10:28:5221:「限られた文字数の中で伝えているわけですから・・」と言われたので、「ならば、『早期に自分の都合で勤め先を辞めたり』ではなく『早期に勤め先を辞めたり』が客観的に公平な表現だ」と指摘。
2012-05-29 10:29:0722:2点それぞれについて、NHKは雇用戦略対話WGに取材して書いているはずだからその担当者に伝える、「日本新生」も担当者に伝える、と。ただし、「日本新生」はもう土曜日の放送なので、カンペも出来上がっており対応できるかは不明と。
2012-05-29 10:29:1923:私からは推計の出所である上記の資料4の所在を示し、それぞれの担当者に実際にこの資料4を読んで、その資料4と読み合わせながら私の指摘を検討してほしい、とお願いした。自分の電話番号も伝えておいた。
2012-05-29 10:29:3024:さてどうなるか。以上、報告でした(もう10:20じゃないか・・)。川村さんの迅速なご指摘と、稲葉さんのRTによる応援に感謝。濱口桂一郎さんも読んでくださるかな?
2012-05-29 10:29:53補記
もしかしたら内閣府の担当者の記者レク時点ですでに誤解して発信されているのかも、という懸念も浮上。WG発足時にNHKでこの推計がどう伝えられていたか、確認したいが、にわかには探せず。
2012-05-29 10:48:15若者について語られる際には、枕詞のように「フリーター・ニートの増加」「早期離職の増加」が語られることが多い。しかし、早期離職は長い期間で見ると傾向的に増えているとは言えない。ニートについては本田 由紀・内藤 朝雄・ 後藤 和智『ニートって言うな!』(光文社新書)が詳述。
2012-05-29 11:00:35「2年で52%」「2年で2人に1人」という事実誤認が、急速に一人歩きすることが懸念される。生活保護受給問題の推移などを見ていると、特に。
2012-05-29 11:02:13なお形としては「自己都合」でやめていても、実際にはその背後に違法な働かせ方がある場合も多いことはPOSSEが指摘している通り。『これが論点!就職問題』所収の今野晴貴論文にも確か指摘されていたと思う。
2012-05-29 11:15:39土曜日のNHK「日本新生」の番組製作者の方からお電話いただく。「日本新生」のHPの「一昨年、大学を卒業した人の52%が就職できない、または離職」という表現はこれこれの理由から事実誤認であると直接お話しした。
2012-05-29 12:19:51HP上の表現については内閣府の資料に基づき再検討していただけるとのこと。また、放送の中でこの数字が紹介される予定はない、とのこと。「2年で半数が辞める」といった印象を与える放送とならないようにお願いした。
2012-05-29 12:21:00