オウムの熱狂はどこに行った―Nスペ「未解決事件オウム真理教」を観て

 オウム真理教が最初からテロリズムを秘めていたことや麻原の主導性を描いていたのはいいが、組織の背後の闇や、あの時の異様な宗教的熱狂は感じられなかった。再放送するそうなので未見の方はどうぞ。  「Arisanのノート」、金明秀教授のツイは似つかわしくないので削除。  大田俊寛「オウム真理教の精神史」、竹岡俊樹「オウム真理教事件 完全解読」から引用。  ああしんど。決定版。
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takayamitsui @takammmmm

「オウムが何だったか」にきちんと向き合い、議論が尽くされていないからこそ、世間の常識に背くような活動が盛り上がったら、「オウムみたい」「カルト」とレッテルを貼っておしまいにするのもそれ。「反原発はカルト」とか。

2012-06-03 01:01:59
takayamitsui @takammmmm

にもかかわらず、注目されたのは麻原と弟子の法廷対決や元信者の社会復帰、洗脳からの脱却といった周辺の話題であり、団体規制法制定・オウムへの適用という政府の権限、治安の強化だった。

2012-06-03 00:59:01
takayamitsui @takammmmm

近代国家は政教分離原則ゆえ、国家のための死や天上世界に関する観念をうまく処理できない。それゆえ、「近代社会は根本的に、歪んだ「宗教」が数多く発生するような構造を備えているのである」。「オウム真理教の精神史」

2012-06-03 01:09:47
takayamitsui @takammmmm

「これまでのオウム論ではしばしば、オウム的な世界観や教義は、1970年代以降の日本において初めて生み出されたと考えられてきた。しかし世界的に見ればその全体的輪郭は、すでに20世紀の初頭には、神智学によって整えられていたのである」。「オウム真理教の精神史」

2012-06-03 01:18:24
takayamitsui @takammmmm

万人が根無し草的な状態で平等の立場に置かれる近代社会は実は特権的指導者やカリスマを生み出しやすい構造を備えており、そのとき指導者は、神秘的なオーラをまとって登場する。…カリスマ的な指導者に対して万人が盲目的に服従する政治体制は一般的に全体主義と呼ばれる」「オウム真理教の精神史」

2012-06-03 01:23:02
takayamitsui @takammmmm

「彼は幻想的な充溢感のなかで、自分自身が新たな存在に生まれ変わったかのように錯覚する。そして彼は、かつて自分がそうであったような生のあり方、すなわち、生きていようが死んでいようがさして実感のない淀んだ生、無用な生のあり方に鋭い敵意を向け…」。「オウム真理教の精神史」

2012-06-03 01:26:05
takayamitsui @takammmmm

「…その存在を抹消するために、歯止めの利かない暴力性を発動することになるのである。そしてオウムの場合にも、その暴力性の根源に潜んでいたのは、ナチズムと同じく「人間以下」の生き方に充足した存在に対しては、その生命を奪っても構わないとする考え方であった」。「オウム真理教の精神史」

2012-06-03 01:27:57
takayamitsui @takammmmm

「オウムの教義にはキリスト教の終末思想が積極的に取り込まれており、この意味においてオウムの運動は実は、キリスト教原理主義の一つでもあったわけである」。「オウム真理教の精神史」

2012-06-03 01:30:42
takayamitsui @takammmmm

「ある意味でオウム事件とは、数十年にわたって続いたノストラダムスをめぐる狂騒の極点に生まれた現象であると見ることもできる」。「オウム真理教の精神史」

2012-06-03 01:31:41
takayamitsui @takammmmm

驚くべきエピソードも。藤原新也が「黄泉の犬」で、麻原と同じく視覚障害の兄に、障害の原因が水俣の水銀被害によるものではないかと尋ねている。麻原の故郷は水俣近傍で、視野狭窄は水俣病の主な症状だったため。すると彼は自分も麻原も子どもの頃は普通に見えていたと。先天性の障害ではなかったと…

2012-06-03 01:42:01
takayamitsui @takammmmm

「…八代海で釣った魚をよく兄弟で食べていたが、次第に手足に震えが出始め、目が見えなくなっていったこと、役所に対して自分たち兄弟を水俣病患者として認定するよう申請を出したが、八代は水俣から離れているという理由で却下されたことを(麻原の兄は)告白する」。「オウム真理教の精神史」

2012-06-03 01:45:30
takayamitsui @takammmmm

ついでに、というにはあまりにも重要な竹岡俊樹「オウム真理教事件 完全解読」から引用。竹岡氏は歴史人類学が専門で石器分析などをする学者。「文化分析」という手法でオウムを分析。彼はオウムを超克する倫理の構築を真摯に訴えている。

2012-06-03 03:15:35
takayamitsui @takammmmm

「自分自身に価値を見出すことのできない不安な私たちは、金やものに限らず、学歴や社会的地位などの他人との差異を表示する記号的な価値を求めて優越感と劣等感を車の両輪として競争してきた。この日本的自己実現のパラダイムを受け入れなければ他にいかなる道も残されてはいなかった…」

2012-06-03 03:20:09
takayamitsui @takammmmm

「そこには人々の中で、人々とともに自分の存在の意義や価値をみいだすことのできる本当の社会はどこにもなく、利他的に人道的に生きることや社会に貢献して生きることはいかなる価値も持たなかった。それが今日までの日本社会であったことは認めなければならない。」

2012-06-03 03:22:51
takayamitsui @takammmmm

「…彼らが創り上げたのはまさに「反」日本的自己実現のパラダイムに外ならない。…そしてこの日本社会に対する憎悪と、自分の使命という相矛盾するように見える二者を共に満たすのが現実社会を浄化(救済)するという思想だったのである」。

2012-06-03 03:26:29
takayamitsui @takammmmm

「彼(麻原)は人間の脳を薬物や機械によって捜査することによってオカルト的「反世界」の中に取り込んで日本社会を滅亡させる軍隊を作り上げるという「戦争」の方法を実践し、そして、その反世界の中では、確固たる存在であるように見える自己も現実も人間の尊厳も社会のルールの何もかもを…」

2012-06-03 03:29:22
takayamitsui @takammmmm

「…『観念』、つまり滅すべき既成的概念として消し去ることができるということを証明してみせた。それが彼(麻原)によって開けられたパンドラの箱の中から出てきたものなのである。」

2012-06-03 03:32:24
takayamitsui @takammmmm

「地下鉄で一般市民を殺すためにサリンという軍事兵器を用いたのと同じように、彼は私たちのもつ人間としての暗黙の禁忌を躊躇することもなく、軽々と超えてしまったのである」。「オウム真理教事件 完全解読」

2012-06-03 03:34:06