ツイッター小説 お気に入りセレクト 2012/06/12

今日読んだついのべの中から個人的にお気に入りの作品を選んでみました。 ついのべ #twnovel とはツイッター小説、つまり140文字以内で書かれた短いお話です。
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☯️青山藍明&トトちゃんとラブちゃんとリズさん @rangming

月が食べたいと、背負った我が子が指をさす。私はにゅる、と首を伸ばして、薄いラスクみたいな月の表面をひとくちかじって、我が子に舐めさせる。首を戻して、月にゴメンネと謝った。イイヨ、満ち欠けのメジルシさ、と月は気前よく笑った。背中では、我が子が寝息をたてていた。 #twnovel

2012-06-12 00:18:30
silf⛩️ @athene1020

「そうなんですよ。」白い日差しの中で男はへらりと笑う。「旦那も、いかがですか、一茎。なぁに高いもんじゃありませんよ。男が手にする白菊は毒々しく青い。「それでは、買おう。いくらだい」「お代は銭じゃあ頂きません。そのかわり、旦那の物語を頂きましょうか」 #twnovel

2012-06-12 01:20:11
ガラクタ★ぽんこつ丸 @shun_kitashiro

ついに世界チャンピオンになった。「下町のオンボロジムからの奇跡」とマスコミは大きく報じた。俺が必死にボクシングを頑張ったのは、幼い頃に捨てた母親を見返すため。いや、本当はもう一度会いたかったからだ。ジムの電話が鳴った。「私が母親です」これでもう53人目の母だ。  #twnovel

2012-06-12 03:34:39
浅葉積木 @tsumiki_a

#twnovel まだ50年も経っていないが使う人間があまりに多いので、パソコンの付喪神が出現した。まずは持ち主を驚かせてやろうと突然話しかけてみた。ウイルスに感染したと勘違いされて廃棄された。悔しいので次は周辺機器を勝手に動かしてやろうと思っている。やめといた方がいいのに。

2012-06-12 07:06:12
猫春雨@ものがたる屋 @nekoharusame

ご飯をよそおうとしたら、茶碗の中で幼児が眠っていた。これは困ったぞと驚きよりも米が食べられない心配の方が先立つ。思案をしていると、幼児が起き出して腰に帯びていた針を抜き、襲いかかって来た。しかし、痛いどころか逆に刺された箇所が気持ち良くなって、筋肉痛が吹っ飛んだ。#twnovel

2012-06-12 07:57:58
すなお @Svnao

#twnovel 世界に絶望した男がいた。あてもなく彷徨っていると、空から白い紐が垂れて来た。「世界を終わらせる権利をやろう」天の声が言う。気取った言い方だがつまり首吊り用だろ、こんな電気の紐みたいなので死ねってか。やけくそで紐を掴み引いた瞬間、カチッと音がして、世界が暗転した。

2012-06-12 11:43:30
せにょおる☆ @z3senor

全ての電力供給が終焉を迎え、街中から電気製品が姿を消す。人々は打ちひしがれ何百年も前の生活に戻る。 #twnovel 暫くして煙突から盛大に煙を上げ、力強く大地を突き進む機関車が復活を遂げる。歓声に何度も汽笛で応え、運転士は炭で真っ黒の顔を綻ばせる。ああ、なんて素敵な汚れだろう。

2012-06-12 14:06:41
@vonbaum

面接はできるだけお昼どきに入れている。 終わったら、お昼を食べるんだ!って直近の楽しみができるから。それにアガリ屋の私だけど、お昼時は空腹がまさって緊張が程よく抑えられるのだ。でも、面接中にお腹がなったらどうしようと気が気でないのも確か。自然と声が大きくなる。 #twnovel

2012-06-12 14:55:35
七歩 @naholograph

その風鈴は錆びていた。けれどいつもの夏と同じく窓辺に吊すお爺さん。最近視力が落ちているから錆に気づけてないのかも。その風鈴は大切だよね。死んだお婆さんの形見だものね。風が吹いてもならない風鈴。悲しむ顔など見たくなくて、風が吹く度「にゃあ」と鳴いては誤魔化す俺。#twnovel

2012-06-12 15:54:18
layback @laybacks

セックス発電が考案された。腰を振れば振るほど世の中が明るくなる。これも敏捷性に富む日本人男性の高速な腰振りあってこそ。早速輸出が決まった。ところが意気揚々と旅立った精鋭たちは数日も経たぬうちに帰国した。言われたのです。too little 余りにも小さすぎると。 #twnovel

2012-06-12 16:32:51
楠樹 暖 @kusunokidan

#twnovel 「二次元に行ける方法を見つけた。これから本の世界に行く」その電話を最後に友人は行方不明になった。あれから七年、友人の死亡届が出された。でも私は確信している。彼はまだ生きている。鬼籍に入ったのではなく、書籍に入ったのだ。 #百

2012-06-12 21:05:59
@lanatus

愛しすぎたら死んじゃった。君って思ってたよりも脆かったんだね。私は大丈夫って言ってたじゃないか。いや、僕が悪いのか。そっと首筋の噛み後をなぞる。途中で止めるつもりが、どうにも上手くいかない。いつも全部吸ってしまう。それでお終い。さよならのキスをして僕は飛び立った。#twnovel

2012-06-12 21:10:55
咲良 潤 #言の葉の点綴 @sakura77_sosaku

#twnovel とある西洋の魔女に呪いをかけられた。あなたへの想いを呟くごとにあなたの寿命が縮んでいく。あなたは私を好きでいてくれるのに、あなたは私への愛をこんなにも雄弁に語ってくれるのに、私は想いを告げられない。なんで縮む寿命が私のじゃないの?それならいくらでも愛を叫べるのに

2012-06-12 22:17:01
藍 真史 @shin1960

#twnovel 深夜、書斎で物音がした。寝室から廊下に出た。確かに物音は書斎からだ。大勢の人間が囁き合っているように聞こえる。そっとドアを開ける。無数の声。蔵書から抜けだした文字たちが呟いている。殺という文字がこちらを見た。急に静まりかえる。全ての文字が一斉に鋭い目を向けた。

2012-06-12 22:21:06
@KizukCQ

#twnovel 寝室の扉の隙間から光が漏れていた。覗くと娘を寝かしつけてるはずの主人が眠り、逆に娘が父親の髪を撫でていた。娘は私に気付くとしーっと口に小さな指を添える。パパ疲れてるの。幼いながら気遣う優しさは父親譲りなのか。おいで。私は娘を呼んだ。ママと一緒にミルクを飲もう。

2012-06-12 22:33:54
咲良 潤 #言の葉の点綴 @sakura77_sosaku

#twnovel 自分はもう十分生きた。全てを捧げられる人に出会えた。忘れられない恋もした。もうこの世に未練はない。銀色の杭も手に入れた。あとは心臓を貫くだけ。でも死ねば彼女を思い返すこともできなくなる。こんな葛藤を繰り返し今日も死ねないでいる。彼女は300年前に死んだというのに

2012-06-12 22:45:54
いでゆのまち @ideimachi

#twnovel 「殺せれば誰でもいい」そんな方に最適のアトラクションです。遺伝情報を読みこんで一時間で準備完了。お好きな武器を手に、ステージへどうぞ。10体のコピーがあなたを迎えます。存分に殺戮をお楽しみ下さい。最後の一人だけが外へ戻れるのです。生き残るのはあなたか。コピーか。

2012-06-12 22:59:33
23時の夢物語 @23novel

#twnovel 「結婚しよう」と言ってほしかったのに、彼は決して言わなかった。胸が張り裂けそうになりながら、日々を過ごし、やがて戦争が終わって、彼が帰ってきた。笑うより前に約束がなかったことをなじると、彼は「死亡フラグになるだろ」と笑った。二人で泣きながら抱き合った。

2012-06-12 23:36:53
tokoya @tokoya

#twnovel 飲食店での生レバー提供禁止に端を発した法規制は、やがて食品全般へ拡大し、数年で生食文化は終焉を迎えた。だが、それが結果的には良かったのだ。数十年後にあのゾンビ事件が発生した時、犠牲者がゾンビになっても生食を忌避したおかげで、感染がほとんど広がらなかったのだから。

2012-06-12 23:45:29