#勝義方便メモ まとめNo.4 再考「公害企業主呪殺祈祷僧団」について

「公害企業主呪殺祈祷僧団」についての再考です。
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川口英俊@往生院六萬寺@副住職@仏教 @hide1125

97)また、理趣経における調伏に関する内容も興味深いところであり、「金剛手よ、もしこの理趣を聞いて受持し読誦することあらば、設い三界の一切の有情を害すとも、悪趣に墜せず、調伏をもっての故に、疾く無上正等菩提を証すべし。」の内容考察も実に重要となります。 #勝義方便メモ

2012-06-21 10:40:22
川口英俊@往生院六萬寺@副住職@仏教 @hide1125

98)更には、ドルジェタクの呪殺肯定論理の背景には、唯識思想の影響が否定できないところがあるのではないかとの指摘も誠に一考せねばなりません。ここは、先に挙げましたサムイェの宗論後のチベット仏教における中観思想と唯識思想の変容・発展のありようの考察も必要となります。 #勝義方便メモ

2012-06-21 10:47:14
川口英俊@往生院六萬寺@副住職@仏教 @hide1125

99)サムイェの宗論で勝利したカマラシーラ論師はシャーンタラクシタ論師の高弟で、中観派と唯識派の統合を試みた瑜伽行中観学派であるとの定説があります。ただ、唯識を中観理解に取り入れたのか、中観理解のために唯識を批判的に取り入れたのか、学説が分かれるところもあります。 #勝義方便メモ

2012-06-21 10:53:41
川口英俊@往生院六萬寺@副住職@仏教 @hide1125

100)ドルジェタクの「勝義においては、殺すということもなければ、殺されるということもない。幻化による幻化の殺はありえないのと同じである」との主張は、空性と勝義諦の理解を誤って捉えている二重の誤謬があるとの正木晃先生の指摘も誠に正鵠を得ているものであると言えます。 #勝義方便メモ

2012-06-21 10:59:39
川口英俊@往生院六萬寺@副住職@仏教 @hide1125

101)8世紀末のサムイェの宗論から14・15世紀のツォンカパ大師の登場まで、実に600年ほどの間のチベット仏教における中観と唯識、密教の変容・発展を理解するのは容易ではありませんが、この間のドルジェタクの存在は一つの指標になると言えるのは確かでありますでしょう。 #勝義方便メモ

2012-06-21 11:17:58
川口英俊@往生院六萬寺@副住職@仏教 @hide1125

102)とにかく、ドルジェタクの「勝義においては、殺すということもなければ、殺されるということもない。幻化による幻化の殺はありえないのと同じである」との主張は、存在の縁起としてのありようの理解が足りていない「悪取空見」の典型例であると言えるでしょう。 #勝義方便メモ

2012-06-21 12:05:45
川口英俊@往生院六萬寺@副住職@仏教 @hide1125

103)龍樹(ナーガールジュナ)大師は、「空」を示唆するために、存在を「幻のようである」とは表現するものの、「幻である」と断定的な表現はされてはいなかったと確信できます。「存在は幻である」との捉え方は明らかに誤解で、悪取空見、断見、虚無論に陥ってしまうでしょう。 #勝義方便メモ

2012-06-21 12:25:35
川口英俊@往生院六萬寺@副住職@仏教 @hide1125

104)密教が成立していく過程における、唯識思想、如来蔵・仏性思想の展開と、衰退するインド後期仏教のヒンドゥー教思想の受容とその苦悩、インド仏教退廃後のチベット仏教の抱えざるを得なかった難問の数々。また空思想の変容・展開も当然に見過ごすことができません。 #勝義方便メモ

2012-06-23 12:48:06
川口英俊@往生院六萬寺@副住職@仏教 @hide1125

105)更には、仏教が、世俗的な様々な覇権・利権・権益争いに巻き込まれていく中で、その思想が、どのような過程を経て、変遷していったのかという理解においても、チベット仏教・密教には示唆に富む内容があり、その解釈が大きくねじ曲げられたものも当然にあるわけであります。 #勝義方便メモ

2012-06-23 13:09:48
川口英俊@往生院六萬寺@副住職@仏教 @hide1125

106)今回の再考においては、特に、仏教思想の解釈のねじ曲げが生じたのには、結局のところ、独善的自己満足や保身、利権・権益確保などにおいて、仏教における思想を大義名分として使いたいがために、解釈のねじ曲げが行われていったと言えるのではないだろうかと考えています。 #勝義方便メモ

2012-06-23 13:18:23
川口英俊@往生院六萬寺@副住職@仏教 @hide1125

107)これまでの考察において概観したところ、密教に見られるような殺人・呪殺や性ヨガの肯定論理の背景には、独善的自己満足や保身、利権・権益確保などのために、仏教思想が歪曲・利用されただけで、無明・煩悩の域を全く出るものではないと言えるのではないかと考えます。 #勝義方便メモ

2012-06-23 13:34:38
川口英俊@往生院六萬寺@副住職@仏教 @hide1125

108)別にこのことは、インド仏教やチベット仏教だけでなく、中国や日本仏教においても、もちろん言えることではありますし、おおよそ宗教全般につきまとうものでもあります。宗教も結局のところは人間の利害関係を無視して成り立つものではないということであります。 #勝義方便メモ

2012-06-23 13:45:34
川口英俊@往生院六萬寺@副住職@仏教 @hide1125

109)チベット仏教教学を大成したゲルク派の開祖ツォンカパ大師でさえも、最終的には密教をいかにして受容するかに苦慮し、尚かつ顕教よりも上位に密教を位置づけて体系を整備し、決して密教を否定することがなかった点は、熟考しなければならないところであります。 #勝義方便メモ

2012-06-24 07:12:34
川口英俊@往生院六萬寺@副住職@仏教 @hide1125

110)それは、密教を否定しては、もはや仏教が仏教として存立し得ないまで、密教が深く社会に浸透していたため、現世利益や祭司儀礼、祈祷を求める信者・信仰者の支え無くしては、仏教は成り立たなくなってしまっていた情勢も顧慮しなければならないというところであります。 #勝義方便メモ

2012-06-24 07:23:51
川口英俊@往生院六萬寺@副住職@仏教 @hide1125

111)宗派教団の基盤を確保していくためには、信者・信仰者たちの宗教的な現世利益や祭司儀礼などの要請だけではなくて、政治・商業など社会的な面での願望・要請にも応えていかねばならず、それが密教を否定しては成り立たなくなってしまっていたというところでもあります。 #勝義方便メモ

2012-06-24 07:31:24
川口英俊@往生院六萬寺@副住職@仏教 @hide1125

112)新たな宗派・教団の創設を図って、既存の宗派・教団とも渡り合って、勢力を拡大し、寺院建立、僧団組織整備、布施信者の獲得と、広く支持基盤を確保していくためには、社会の要請に応えていかねばならなかったわけでもあり、密教の受容も必然的であったと言えます。 #勝義方便メモ

2012-06-24 07:40:43
川口英俊@往生院六萬寺@副住職@仏教 @hide1125

113)しかし、ツォンカパ大師以後のチベットにおいても、結局は仏教界における覇権争い、更には仏教を巻き込んでの政治・商業の利権・権力争いは絶えず、血を血で洗う悲劇が繰り返されてしまい、その混乱期には密教の負の側面もしばしば顔を出して問題を生じることとなります。 #勝義方便メモ

2012-06-24 08:11:41
川口英俊@往生院六萬寺@副住職@仏教 @hide1125

114)その典型例が、ゲルク派とニンマ派との抗争においてしばしば取り上げられる「シュクデン崇拝」論争であります。「シュクデン崇拝」(ウィキペディア http://t.co/IIwHrXpR )は、まさに密教の呪術的負の側面が強い信仰の観が否めないところであります。 #勝義方便メモ

2012-06-24 08:22:18
川口英俊@往生院六萬寺@副住職@仏教 @hide1125

115)いずれにしても、つまるところにおいて、密教の負の側面が顔を出し始めるのは、独善的自己満足や保身のため、覇権・利権・権力争いを巡る中におけることなど、所詮は無明・煩悩の域を全く出るものではなく、本来の仏教の目指すべきところとの隔たりは確然としています。 #勝義方便メモ

2012-06-24 08:35:43
川口英俊@往生院六萬寺@副住職@仏教 @hide1125

116)さて、そろそろ「菩提心」に関しての考察にも入ろうと存じますが、真言宗の開祖・弘法大師空海が、密教の理解を誤った方向へと陥らせないように相当に配慮するために重要視した論書に「菩提心論」(龍猛〔龍樹〕菩薩造・不空論師漢訳)があります。 #勝義方便メモ

2012-06-27 11:28:55
川口英俊@往生院六萬寺@副住職@仏教 @hide1125

117)「菩提心論」は、同じく龍樹大師著とされる「釈摩訶衍論」(大乗起信論の注釈書)と共に弘法大師空海が相当に重要視した二大論書であります。実際に龍樹大師がお書きになられたのかどうかは疑問視されているとはいえ、その内容の理論の精緻さのレベルはかなり高くあります。 #勝義方便メモ

2012-06-27 12:14:37
川口英俊@往生院六萬寺@副住職@仏教 @hide1125

118)その「菩提心論」を理論基盤として、真言密教教学体系を弘法大師空海は「秘密曼荼羅十住心論」や「秘蔵宝鑰」にまとめ著されている次第でもあり、密教の扱いの前提としての確たる「菩提心」の重要性がそれらに大いに示されていると言えるわけでもあります。 #勝義方便メモ

2012-06-27 12:51:50
川口英俊@往生院六萬寺@副住職@仏教 @hide1125

119)さて、「菩提心」には、「智慧」の獲得と「慈悲」の実践の二方面から捉えて理解される流れが基本としてあります。前者が「空性」の了解、後者が「方便」の実践と言えるわけであります。そして、菩提心修習のための体系が整備されつつ大乗仏教は発展していくわけであります。 #勝義方便メモ

2012-06-28 14:17:50
川口英俊@往生院六萬寺@副住職@仏教 @hide1125

120)「智慧」と「慈悲」により、菩提心修習は体系化されていくわけですが、インド・チベット仏教においては、やがてそれぞれが「勝義の菩提心」と「世俗の菩提心」と二つの観点から理解していく流れが密教においても主流となり体系化されて調えられていくこととなります。 #勝義方便メモ

2012-06-28 14:56:17
川口英俊@往生院六萬寺@副住職@仏教 @hide1125

121)「世俗菩提心」とは、大いなる慈悲の心を起こして、迷い苦しみにある一切衆生を利益(りやく)させて、悟り・涅槃・仏国土・浄土へと至らしめんとせんがためにこそ、悟り(菩提)を目指して、菩薩修行の実践道・方便行に進まんとする一大重要決意のことであります。 #勝義方便メモ

2012-06-28 15:20:19
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