「胆管がん 相次ぐ謎の死」書き起こし・ほぼ完全版 #nhk
- toshihiro36
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母親:それまでに2人ほど、お葬式に行ってるんですけどね。「会社行ってるけど、怖いんや」ってことを言ってたらしいです。とにかく会社をポッと辞めてきて、何の手続きもせんと…
2012-06-16 08:24:09<ナレーション> 全国の職場で使われている化学物質は6万種。その危険性は、どのように確かめられているのか。国の指針を作るため、化学物質の発がん性を検査している日本で唯一の研究所です。試験はマウスとラットを使って国際的に決められた方式で行っていて、結果が出るまで最低5年かかります。
2012-06-16 08:32:42<ナレーション> 実験装置の数も限られているため、同時に4つの物質しか検査できません。30年前に研究所ができて以降、検査が終わった物質は47種類しかありません。
2012-06-16 08:35:29厚生労働省・半田課長:問題はすでに出回っている、何万という物質をどうするかという話で。これは私どもでも調査をやってますけれども、我々だけでやりきれるものじゃない。だから民と官の共同でやっていかねばならないと考えている。そういう仕組みを作ろうと、検討会を進めている。
2012-06-16 08:42:13<ナレーション> 印刷会社で使われた1-2ジクロロプロパン、その発がん性が確認されたのは去年のことでした。なぜ若くして胆管がんで死ななければならなかったのか。職場との因果関係がわからない中、労災の申請ができなかった遺族もいます。労災の申請は、死後5年までしかできないのです。
2012-06-16 08:48:25姉:同じ作業をしている人間が次々とそのがんで亡くなっているというのは、十分この溶剤がおかしいのではないかとわかっていたと思うんですね。どうして(溶剤の使用を)止める決断をしてくれなかったのか。もっとちゃんと調べてくれなかったのか。なぜそのままだったのかと思います。悔しいです。
2012-06-16 08:56:42スタジオに戻ります
野村:この問題を当初から追っています、立岩記者とお伝えしてまいります。印刷機の洗浄に使われていた薬品と胆管がんの関係、今の時点でどこまで明らかになっているんでしょうか?
2012-06-16 09:01:01立岩:現在、厚生労働省が調査に入ってますが、今の時点で原因が特定できるという状況ではありません。しかしこの調査には化学物質の専門家も入っていますので、国としても化学物質が何かに起因した疑いがあるとみているわけです。会社の側はこの厚生労働省の調査に対して協力していると話しています。
2012-06-16 09:06:57野村:いずれにしましても、薬品に含まれていた2つの化学物質が発がん性物質であると厚生労働省が確認したのは、一般に広く広まってからずいぶん後のこと。それまでは、みんな知らずに使ってたわけですよね。なぜこんなことが起こるんでしょう?
2012-06-16 09:15:29立岩:我々も取材をしていて驚いたんですね。化学物質というのは、安全が確認されたあとに市場に出回っているわけじゃないんですね。ですから、使う側・作る側の自主性に任されていたというのが実態なんですね。
2012-06-16 09:20:32立岩:いまの日本の職場環境において、どのくらいの化学物質が使われているかというと…6万あるといわれているんですね。これがその図ですけれども、そのなかで明確な規制をしているのは1500なんです。
2012-06-16 09:26:16立岩:あとは2万の化学物質については簡易検査がされて、それなりに有害性についてのデータがあります。ところが厚生労働省の課長も言っていた通り、不明…安全かどうかわからないものが4万ぐらいあるんです。これが検査を待っているというのが現状なんです。
2012-06-16 13:36:25立岩:厳しい対応をとっている国もあるんですね。例えばEUなんかはデータがなければ、市場に流通させないという厳しい対応をとってます。一元的に化学物質を管理するような機関を作って、そこにデータを集めてデータのないものは市場に流通させない。
2012-06-16 13:47:36立岩:そういう原則を作って、安全のもとに化学物質を使おうという対策をとっているんですね。ですから専門家の中には、「日本もEUのような厳しい対応をとるべきだ」と言ってる人もいますね。
2012-06-16 13:52:39立岩:そうですね。我々が取材して思うのは、遺族の方々…息子さん・旦那さんが胆管がんで亡くなった。この原因が会社にあるなんて、全然思っていないんですよ。ですから我々が取材に行ってみなさん驚かれる。実際に国が調査を始めた。ところがもう労災の5年を過ぎてますから、労災さえ申請できない。
2012-06-16 14:08:37立岩:考えてみますと…アスベストという大きな被害がありましたよね。この時に日本の化学物質について考えるいいチャンスだったんですけど、この時は対策法というものが作られてしまったがために、そのチャンスを逸してしまったんです。
2012-06-16 14:12:41立岩:ですから今回は化学物質に対する規制、それと労災を含めた被害者の救済ですね。本当に我々は何をしなければいけないのか、もう1回大きなくくりで見直すいいチャンスだと思うんですね。それを我々はこれから議論しなきゃいけない。そういうきっかけにするということが大事だと思います。
2012-06-16 14:25:13