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コシノ:「洋服が自分の人生を変えてくれたの」って言われた時に、これは私は本当にね…やっぱり私なりのクセというか、私的な生き方があったんですね。それが一つの憧れでいらっしゃって、どんどん私がデザインして提供していくうちに…それがどんどん影響されたって言うんですけれども。
2012-06-14 13:28:02コシノ:ですからねファッション・デザイナーっていうのは、単に洋服を作っているだけじゃダメなんだという気持ち。これは本当に感じました。ものすごく責任があると思ったんです。ですから洋服っていうのは他人の生き方につながっていくっていうのが、私にとって絶対的なものなんです。
2012-06-14 13:35:22<ナレーション> 1978年コシノさんはローマのファッションショーで、世界的に注目されました。そのころから常に追い求めてきた、基本コンセプトがあります。それは東洋と西洋の融合です。
2012-06-14 13:47:34<ナレーション> 今年3月19日東京で開かれた最新のファッションショーでも、その基本コンセプトが斬新な切り口で紹介されました。なんとシチリア島と日本の花札を融合させたデザインです。発想のヒントを求めてシチリア島に旅行に行った際、独特の丸いドームに強く惹かれました。
2012-06-14 13:51:39<ナレーション> そして、なぜか花札の絵柄が浮かんできたのだといいます。 東洋と西洋の融合というデザインの原点は、呉服屋を営んでいた祖父にあるといいます。コシノさんが祖父から受けた影響とは、いったい何だったのでしょうか。
2012-06-14 13:55:08コシノ:おじいちゃんが私を寝かしつける時に謡いを歌う、そして時間があると歌舞伎に連れていく、そして文楽に連れていく、夜はお茶屋に連れていく…かわいくて自分のそばから離したくなかった。それくらい私を猫っ可愛がりみたいに。
2012-06-14 17:42:05コシノ:とにかく歌舞伎に連れてってもらったら、退屈しないでずっと見てるんですね。あの美しさというか…まず着物の美しさ・色がきれい、かんざし・お化粧の仕方、そして言葉・バックに流れる邦楽…すごくあれが憧れで。3つ4つぐらいから憧れちゃって。
2012-06-14 17:49:29コシノ:いや、それが…いつの間にやら私に中に、デザインをするときに必ずその「和の要素」が出てくるんです。新しいものにはどんどん興味を持って、自分のものにしていくんだけれども。どうしても外せないのは「和の要素」なんです。自然に塊になっちゃったの。
2012-06-14 17:58:36野田:なるほどね。でも、それが魅力だと思うんですよ。一方でですね、「和」のものにすごく興味があって憧れもあったけれども、進んだ洋服という道はいってみれば西洋のものですから…やっぱりハンディキャップになっちゃうんじゃないかなと思うんですけれども。
2012-06-14 18:05:35コシノ:いや、世界の舞台で戦うときは…私たちが足元にも及ばないような、長い歴史を持ってやってきてる人たちに…戦おうったって、それは無理ですよ。逆に私たちが持っている歴史は「和の文化」ですよね。
2012-06-14 18:44:02コシノ:「和の文化」という大きな武器を、どのように洋服にシンクロさせるかで…世界で太刀打ちできるんじゃないかしら。これからの服っていうのは、決して洋服という歴史で作られたものだけじゃなくて、やっぱり新しいフュージョン的な感覚の今までになかった新しさを我々が作り上げていかないと。
2012-06-14 18:47:33<ナレーション> 東日本大震災があった去年、コシノさんが次の作品のヒントを求めて選んだ地はメキシコでした。町にあふれる光と色彩、そこで得たインスピレーションをもとに服をデザインしました。およそ1年経ったいま、その服が店舗に並んでいます。
2012-06-14 18:56:50<ナレーション> メキシコをテーマに生まれたカラフルで楽しい服です。 ファッション・デザイナーの仕事は、常に1年先の服を作るサイクルで成り立っています。先を読む力が必要なこの仕事で、コシノさんはどのように感性を磨いてるんでしょうか。
2012-06-14 18:59:24野田:服のデザインっていうことを...やっぱりビジネスの側面もあるとするわけですから…当然、1年先に世の中に受け入れられるようなものを、先に想定しなければならないという…これがすごく難しい。先を読む力とでもいうんでしょうか、これは難しいんじゃないかと思うんですが。
2012-06-14 19:05:04コシノ:実はね去年の春夏のときに…その前に東日本大震災がありまして、なんていうんですか全体的に暗くなっていたんですよ。ああいう暗い状況の中で、なんか気分的に元気になりたいなっていう気持ちになったの。それで考え方を変えて、メキシコに行ったんです。
2012-06-14 19:54:30コシノ:そして街並みを見ると、ものすごくきれいな色。考えられないくらいすごく。建物もクリエイティブで。これが旅をする上での面白みっていうのかな。気持ちを変えたいな、デザインを変えたいなって思っても、簡単に変えられるものじゃないですよ。とにかく、空気感を変えないとダメです。
2012-06-14 19:58:20コシノ:生活習慣も違う、食べ物も違う…そういう所にポーンと自分の身を置いて、根本的にそこの中で、なんか冒されるみたいなところがあってはじめて出てくるものが違ってくる。
2012-06-14 20:09:09野田:私なりに勝手に解釈しちゃったんですけれども、私も去年の震災のあとすごく気持ちが落ち込みました。ですから去年買ったスースの色は、2着とも黒でした。でも気持ちの中では、もうそろそろ明るくなりたいなという気持ちが。でも、一般の人はなかなかそれを行動に移せないんですね。
2012-06-14 20:14:01野田:でもコシノさんは同じ気持ちを行動に移して、ちょっとだけ早い気分になって、その気分で服を…だから一歩、半歩ぐらいのリードぐらいになるのかもしれないですね。
2012-06-14 20:17:19コシノ:いってみれば、流行という一つの現象を我々が常に追うというのが私の仕事ですけれども。やっぱり性格が新し物好き…こういう性格を持ってないと、ファッション・デザイナーってやっていけないよね。
2012-06-15 13:45:27