The Quest to Replace Passwards: A Framework for Comparative Evaluation of Web Authentication Schemes

IEEE Symposium on Security and Privacy の論文 "The Quest to Replace Passwards: A Framework for Comparative Evaluation of Web Authentication Schemes" の概要を連投したものをまとめました。学術的な新規性が高いという論文ではなく、これまでの学術研究の成果や技術などを体系立ててまとめた、という論文なので、まとめて公開すると少しはなにかの役に立つかと思いました。
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Akira Kanaoka (金岡 晃) @akirakanaoka

IEEE Symp. on Security and Privacy の"The Quest to Replace Passwards: A Framework for Comparative Evaluation of Web Authentication Schemes"

2012-06-19 01:05:35
Akira Kanaoka (金岡 晃) @akirakanaoka

SoK論文という位置付け。Systematization of Knowledge Papersのことで、新しい成果という点での貢献はないが、知識の整理や分類立てなど、今後の研究を促進するものをSoK Paperとして採録するとのこと。

2012-06-19 01:06:37
Akira Kanaoka (金岡 晃) @akirakanaoka

でこの論文は、Webの世界でテキストのパスワードに取って代わろうと研究され続けてきたこの20年間での提案手法をまとめて整理して、なんで取って代われていないか、を示すもの、と。

2012-06-19 01:08:34
Akira Kanaoka (金岡 晃) @akirakanaoka

Abstractに書いてある結論部分では「学術の提案は、研究社が現実世界の幅ひろーーい制約条件をほとんど考えずにいたから、牽引することに失敗していたんだね、としている。産学ギャップですな。

2012-06-19 01:12:37
Akira Kanaoka (金岡 晃) @akirakanaoka

パスワードに変わるWeb認証方式を評価。セキュリティとユーザビリティはトレードオフだとずっと言われてきた。でもそれって線形じゃないと思える。ので第3の軸を入れた。それがDeployablity(配置容易性とか、入れやすさとかか)。この3軸で評価。

2012-06-19 01:31:49
Akira Kanaoka (金岡 晃) @akirakanaoka

それぞれの3軸は項目が細分化されて、全部で25項目で評価。Usabilityは8項目。Deployabilityは6項目。Securityは11項目。

2012-06-19 01:32:40
Akira Kanaoka (金岡 晃) @akirakanaoka

Usability8項目:覚えなくていい。(ユーザにとって)スケーラブル。なんも運ばない。物理的な負担ない。覚えやすい。時間が短い。エラー起きない。無くしても簡単にリカバリ。

2012-06-19 01:36:39
Akira Kanaoka (金岡 晃) @akirakanaoka

Deployability6項目:使うことが出来る。ユーザごとのコストが安い。サーバ対応。ブラウザ対応。成熟度合い。非専売。

2012-06-19 01:38:55
Akira Kanaoka (金岡 晃) @akirakanaoka

Security11項目:物理的覗き見。特定標的なりすまし。回数制限下での推測。回数制限なしでの推測。内部監視。他の検証者からのリーク。フィッシング。盗難。信頼できない第3者。明確なユーザ同意。サービス間で繋がらない(unlinkability)。

2012-06-19 01:47:35
Akira Kanaoka (金岡 晃) @akirakanaoka

これら項目にしたがって、11カテゴリ35種類のパスワードに取って代わる候補を評価。評価は、25項目それぞれに「満たす」「まあまあ満たす」「満たさない」の3択、「パスワードより良い」「悪い」「変わらない」の3択、2つで評価。

2012-06-19 01:54:18
Akira Kanaoka (金岡 晃) @akirakanaoka

11カテゴリ:パスワードマネージャ、プロキシ、連携(Federated)、グラフィカル、認識(cognitive)、紙トークン、見える暗号、ハードウェアトークン、電話ベース、生体、リカバリ

2012-06-19 01:56:39
Akira Kanaoka (金岡 晃) @akirakanaoka

結果の表(著者の1人、Frank Stajanoによる研究室のグループブログのポストより):http://t.co/J3WlYKnS

2012-06-19 02:00:24
Akira Kanaoka (金岡 晃) @akirakanaoka

著者4人はそれぞれ別分野で知見を持っている。評価にあたっては、それぞれの自分のフィールド(に近いとこ)の認証方式をスコア付け。で他の著者がお互いにそれをレビューしあう。

2012-06-19 02:04:42
Akira Kanaoka (金岡 晃) @akirakanaoka

表で見ちゃうと、逆にいろんな結論が導き出せちゃうし、今回のスコアは定性的。また評価内容も、たとえば中間者攻撃とかあったらダメだというような脆弱性は入っていない。でも見えることもあるよね。

2012-06-19 02:08:56
Akira Kanaoka (金岡 晃) @akirakanaoka

大体どの方式もセキュリティはパスワードより高くなっている。で、ユーザビリティは高かったり低かったり。で、特徴的なのがどの方式もパスワードより入れやすさ(Deployability)が低い、ってところだね。と。

2012-06-19 02:10:31
Akira Kanaoka (金岡 晃) @akirakanaoka

取るにたらない周辺的なお得さじゃ重大な移行コストに打ち勝つような実行パワーにならないんだよね。それは、パスワードが墓場に行くまでの葬列を見るまで僕らはかなり長く生きることになりそうだ、ってことの一番良い弁明なんじゃないかな。

2012-06-19 02:28:22