野分の話と文字遣いの話
- lotus_sodoh
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昨日の台風で小枝や葉が道の隅へ吹き寄せられている。今はよく晴れているが、こうして飛ばされた物を見ると夢ではなかったと知らされるなァ。
2012-06-20 16:36:11瓦が飛んだなどと言う呟きも見かけた。本当に凄まじかったな。そしてまた別の台風が近付いているのだったか……この時期は仕方無いとは言え続かれると困るなァ。大風大雨の翌朝ほどホッとするモンは無い。
2012-06-20 16:38:17西瓜ひとり野分を知らぬ朝哉、なんて若い頃に詠んだなァ……。草は皆折れて根本から倒れている様な暴風雨の翌朝、西瓜だけは元のままソコに有ってな。不思議と頼もしく思ったモンだ。
2012-06-20 16:40:49東門子の所から出された本では知の字は平仮名だったな。一応今の世の者が読み易い本文の一つは東門子版だろうから訂正しておくぞ。
まァ今回の台風は西瓜がじっと耐えるには少しばかり早過ぎたかも知れんが。……そしてつまり西瓜がズッシリと重くなる季節まで台風はやって来るんだよなァ(苦笑)
2012-06-20 16:43:00ズッシリと言えば俺の句合でこの句と番えた句に使われている言葉だァな。コレは季節と時間が対になった、南瓜やずつしりと落て暮淋し、と言う奴だ。西瓜の句も南瓜の句も今の時代とそう変わる言葉は使っていない、意味は分かるだろうよ。
2012-06-20 16:46:53送り仮名が違うって? 確かに今は落ちて、と書くのが普通だったな。だが俺が脱字をしたと言う訳ではないぞ。俺が物を書いていた頃ってのは今よりも送り仮名の表記揺れに対して寛容だったんだ。
2012-06-20 16:50:33漢字そのものについても同様だな。同じ旁や同じ音の別の字を使うことも珍しくなかった。俺が官兵衛だの勘兵衛だの色々と書かれているのもそんな理由だな。どちらにしろカンベエだってんで呼ぶのに苦労は無いだろう?
2012-06-20 16:52:46……話が逸れた。そう言う事だから落てと書きオチテと読む事に不思議は無いんだ。この手の書き方の違いってのは今出版されている本だと読み易く改めてあったりもするそうだ。どこがどう変わったか比べてみると面白いかもな。興味が湧いたら原典……とは言わんが影印や翻刻にあたってくれ。
2012-06-20 16:57:06影印と言うのは元の本を撮影してそのまま印刷した、言わばコピイの様な物だ。景印と書く事も有る。
翻刻は崩した字の原本を楷書で書き直したり活字に起こしたりして出版する事だ。場合によっては読み易く所々改めるものの、基本的に原文通りの文字にするぞ。
先程も上でチラリと述べたが、今挙げた二つの句は共に東門子版と呼ばれるとくとくの句合の版本から採ったぞ。コレは今でも残っている。山梨県立博物館甲州文庫の所蔵だ。
関心を持って貰えたら嬉しい。