教養学部への進振りを考える二年生へのメッセージfromもりり

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@Moliorchestra

進振りに悩む二年生へ。教養学部に来る時は慎重になりなさい。僕は今教養学部にいるけれど、教養学部の多くはそのDisciplineを確立しきれていない場合が多い。学生にとって専門領域というのはアイデンティティだったり、軸足として指針を示したりするもの。それがないというのはすごく辛い。

2012-06-23 07:58:40
@Moliorchestra

(続き)どういうことかという話をするのは難しいんだけれど、例えば地理学は、「何をしているの?」と言われた時の明確な解答を持たない。専門を問われた時「山形の農業についてです」と答えることはできるけれど、「専攻は地理学です」というのはほとんど何も言い表していないのと同じ。

2012-06-23 08:00:17
@Moliorchestra

(続き)なぜならば一般人にも、学者(学生)側にも、地理学というものは一体何かということを把握できないから。地理学は常に学際的な性格を帯びていて、だから逆に明確な専門領域というものを定義づけるのは難しい。全てが現象に即しがちであるが故に「地理学の教科書」のような聖典はない。

2012-06-23 08:01:58
@Moliorchestra

(続き)経済学や法学のような「学ぶべき指針」がなく、このままでいいのか、自分は何を勉強しているのか、という疑念を持ち続けることになる。地理学を学ぶということは「自分が一体何を勉強しているかを探す」ということで、その他の確立した専門領域をもった学問とは性格を異にしている。

2012-06-23 08:05:17
@Moliorchestra

(続き)また学際的性質ゆえに、地理学の研究は経済地理、社会地理、政治地理といった他学問との結びつきは強く、逆に経済学者との競合、社会学者との競合は常にある。経済学者が地域的視点に即して研究を行った方がよいのか、地理学者が経済的視点に即して研究を行った方がよいのか?

2012-06-23 08:07:23
@Moliorchestra

(続き)その問題は常に地理学者に突きつけられる問題で、一体地理学とはなんなのか、その独自性とはなんなのかという問いは常に地理学者の傍らにある。地理学で学ぶ専門性とは、議論の方法やフィールドワークの手法、GISの使い方などであって、理論として学べることは決して多くはない。

2012-06-23 08:10:06
@Moliorchestra

(続き)そのような中で学生の側から見ると、専門性の希薄さは先に述べたように軸足、アイデンティティを持ちにくいということであり、私たちは「ツールや議論手法でしかない地理学」の存在すら疑いうる。つまり、現在学んでいるのは学問ではなく学問の道具なのではないか、という疑念。

2012-06-23 08:12:43
@Moliorchestra

(続き)以上の話は地理学に限定した話をしたけれど、地域研究学科、総合社会学科、文化人類学科、学際科学科といった多くの教養学部の学科は同じような構造を内に持つはずで、またそれは「教養学部」という学部の性質でもあるのだろうけれど。

2012-06-23 08:15:04
@Moliorchestra

(続き)以前進振りガイダンスに行った時に、「教養学部に行きたいんですけど…」と教授に相談したことがあった。「教養学部はやめておいた方がいい。あそこは専門性を確立した人が行くところで、最初に教養学部に行くと自分の専門性を見失うことになる。」その言葉を今更ながら痛切に実感している。

2012-06-23 08:17:33
@Moliorchestra

(続き)駒場やその学科に思い入れがあるならそれもいいだろうし、文系の学部教育程度のレベルなら自学でも問題なく習得できるだろうけれど、「自分がどのようなDisciplineを持ちたいか」ということは今一度考えてみてもいいのではないか?以上駒場生からのメッセージでした。(終わり)

2012-06-23 08:20:28