辺境の町の娯楽

非人 @Im_Weltkriege

ここ辺境の町の娯楽は少ない。日曜になると、プリキュアの公式掲示板に書き込んでいるもののうち、何割が大友（の偽装）かを見抜く賭けが行われる。

非人 @Im_Weltkriege

今日もその賭けが行われていた。おおむね半数程度を前後する予想が飛び交うなか、今まで黙っていた見慣れぬ男が呟いた。「10割だ」。

非人 @Im_Weltkriege

「10ぅ？　ありえねえよ」。「プリキュアの見過ぎだ」。「ヨソモンは帰りな」。プリキュア・グッズを身にまとった町人たちが口々に彼を嘲笑する。すると、男は再び重い口を開き、こう宣言した。「もし俺が負けたら、お前らをプリキュアに会わせてやろう」。

非人 @Im_Weltkriege

「ハッ！　物狂いか」。「前にもいたぜぇ、そういう馬鹿がよ」。「確か宇宙賢者とかケッタイな名前だった」。町人の口調は激しくなる一方であり、中には着物の裏地のプリキュアを翻らせるものまでいた。

非人 @Im_Weltkriege

「では証拠を見せてやろう」。男は不思議な動作をした。すると、公式掲示板の書き込みのIPアドレスが次々と表示される。それは、すべて同じアドレスだった。

非人 @Im_Weltkriege

「なんでえ、そういうカラクリか」。「おめえさんが前もって書き込んでたってわけか」。「これじゃ賭けになんねえ」。場の雰囲気は一転して冷め、帰り支度を始めるものもいた。しかし、男は慌てずこう言い放つ。「アドレスをよく見ろ」。