さきのど ‏@sananaka さん 2012年4月期アニメ評論集

卓越したアニメ評論をつぶやき続ける さきのど ‏@sananaka さん。 2012年4月期アニメについての評論つぶやきをまとめました。(映画などの評論も含みます)
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さきのど @sananaka

咲 物語冒頭で咲は 「楽しんでもらうため」にわざと優希に負け、和に叱責される そして物語のクライマックスでは 衣を圧倒的な力で負かし、それゆえに衣に「楽しかった」と感じさせる この点をめぐってもこの物語はきれいに咲の「成長談」になっている

2012-04-05 23:16:03
さきのど @sananaka

UN-GO この作品では 人は出来事の原因を考え始めることで誤る だがそれは「なまの現実」の肯定ではない 何も考えていない人は単に何も分かっていない人とされるからである むしろそれは 真であったり偽であったりする「現実」とは我々の思考が構成するものだという実在観の表明ではないか

2012-04-05 23:59:39
さきのど @sananaka

SKET DANCE 自分へ向けられた女の子の好意に気づかないという定番のシチュエーションが、ボッスンの場合には不自然に感じられない 例えばそういうところに このアニメの巧みさと厚みが現れ出ていると思う

2012-04-06 10:34:25
さきのど @sananaka

めだかボックス キャラクターの設定、展開、セリフ、あらゆる次元において 「普通の深夜アニメだったら次はこうなる」という予想をひとつずつ覆すことで一本の物語を織り成していく その意味で 「普通はこうなる」という背景知識に基づいた「高度にメタ的」な、意外性の宝箱のような作品 

2012-04-06 10:54:44
さきのど @sananaka

BLOOD-C 数多く登場する古きものたちは 最初はしゃべらず、段々と二言三言「約定」について語るようになる それは各々が少ししか喋らないというより 「大きな一つの古きもの」との一つの会話を時間的に引き伸ばしたのが 各エピソードの小夜と古きもののバトルだということなのではないか

2012-04-06 11:21:00
さきのど @sananaka

一般に、必要条件と本質は混同されるべきではない 例えば京アニ作品における「世界のリアリティ」というとき 背景美術の緻密さや美しさは リアリティの必要条件であってリアリティそのものではない そうした背景美術を「使って」初めてなしとげうる何か別のことが そうしたリアリティのはずである

2012-04-06 11:40:28
さきのど @sananaka

例えばAnotherのカセットテープの絡まりのように 物語の展開に必然的に関わる出来事のほうがリアリティを持つというのは 現実において 最もつじつまの合った証言が真実の証言とみなされたり 複数の科学的仮説の中で最も体系的なものが正しい理論とされたりすることに似ているのではないか

2012-04-07 16:34:01
さきのど @sananaka

あっちこっち 人がたくさんいる教室のなかで友達に囲まれているのに まるで自室に独りでいるかのような静けさ、穏やかさ この、ありそうでなかなかない、画面を支配する奇妙な静けさに惹きつけられる

2012-04-08 13:35:06
さきのど @sananaka

アクセルワールド 一人だけ別の世界のキャラに見える現実のハルの姿 それこそ現実の中で彼だけアバターのように見える それは コンプレックスの元となる容姿を容赦なく描いたものであり かつそうした容赦のなさを仮想空間を思わせるデザインで緩和させるものでもあるという矛盾した機能を担う

2012-04-08 13:42:14
さきのど @sananaka

戦国コレクション 現代に女の子の織田信長が現れる だが信長の時代は明らかに史実と異なるし 作品内の現代にとっての戦国時代が史実と同じなのかも分からない ギャップが問題となるのにその参照点が定まらず、世界の枠組が何重にも曖昧化するなか ただ信長というキャラの強度だけが全てを貫く潔さ

2012-04-08 14:19:57
さきのど @sananaka

この季節、満開の桜が咲いている所だけ、異世界が顕現しているかのように感じられる これを逆手にとったのが まだ春ではないのに少年聖徳太子の傍らの桜だけ開花しているという、『日出処の天子』冒頭の、あの素晴らしいシーンなのだと思う

2012-04-09 16:09:41
さきのど @sananaka

小玉ユキ『坂道のアポロン』 「昔の青春」は なんとはなしに「今の青春」より幾分か輝いて見える それは青春というものが本質的に 離れたところから眺めやるものだからではないか

2012-04-09 18:19:08
さきのど @sananaka

咲・阿知賀編 昔のように和とまた遊ぼうと麻雀を始める阿知賀の面々 だが彼女たちはいままで和と単に会えなかっただけでなく 会おうともしていなかった したがってそれは過去の友人だけでなく 過去の友人への気持をも取り返そうとする よりシリアスな「奪還」の物語  

2012-04-15 15:06:39
さきのど @sananaka

坂道のアポロン 暗く、頭に重たいものがのしかかるような、曇天を思わせる世界 しかしすぐ側には 明るくて広々とした別の世界の存在が 雲の切れ間から刺す光のように確かに感じられる アニメーションにおいて「世界観」を表現するということの 一つの理想的なかたちがそこにはある

2012-04-15 15:15:32
さきのど @sananaka

つり球 釣りをしていて圧迫感を覚え、途端にいつものように周囲が「水」で溢れて 窒息しそうになるユキ しかし魚の強烈な引きにより 彼は「水面」に引っ張り上げられる ユキが釣りに出会ったということは ユキが魚に「釣り」あげられたということなのだろう

2012-04-15 15:21:12
さきのど @sananaka

めだかボックス 相手がやってないと言ったら、それが疑わしかろうがそうでなかろうが信じる 倫理的な意味での「生き方」とは本来、事実や効果と切り離された形でしか示されえないものだからである それは結果を引き起こすのではなく、「場合によっては」範となるという形でしか他人に作用しない

2012-04-15 15:25:34
さきのど @sananaka

宇宙兄弟 宇宙に行きたいという子供の頃の夢が大人になって再び現れるという、繰り返されるモチーフ それゆえにこそ、「子供の夢」と「大人の夢」の違いが、鮮やかに描き取られる 「大人」にとっては 夢を持つことそれ自体が なにかしら清々しく生きること一般を意味しているのである

2012-04-16 00:11:42
さきのど @sananaka

何か面白かった時、「だがこういうのは実写でやればいい、アニメでやる必要がない」とは言うが 個別の作品同士について、例えば「こういうのはAIRでやればいい、CLANNADでやる必要はない」と言うのは不自然である 面白さは個別的なものだから 前者においても同じ理屈は通じないのだろうか

2012-04-20 12:59:31
さきのど @sananaka

咲・阿知賀編 別れてしまった友とまた遊ぶため インハイに置いてきたものを取り戻すため むかし入れなかったグループに今度は入るため 彼女たちの動機は「失ったもの、かつての過ちを取り返すこと」として何度も重ね書きされる その意味でこのアニメは「ハードボイルド」でもあると思う

2012-04-20 13:46:42
さきのど @sananaka

さんかれあ 独特の光沢を放つ静謐な画面 落下して激しく損傷した美少女の身体 この作品における美しさとむごたらしさの組み合わせは 美しいのにむごたらしいのでも、むごたらしさが美しいのでもなく 美しいからむごたらしいということであるように思える

2012-04-23 13:05:02
さきのど @sananaka

戦火の馬 たとえば南北戦争でも、第二次世界大戦でもなく まさに「第一次世界大戦」という戦争の固有性を 馬という「小道具」一つを使うだけで これほどまでにくっきりと描きだす それはもちろん史実的な正確さなどではなく、まさに「映画的なまなざし」のなせるわざ

2012-04-23 13:08:35
さきのど @sananaka

戦火の馬 幕開けにおいて 雄大で豊かな自然と人間は 馬という中間者を得ることで、一体となった何かに見える それゆえに 物語を、戦場をまっすぐに貫く馬の疾走が まるで戦争が大地そのものから生まれてきた、禍々しく巨大な何ものかであるように感じさせる

2012-04-23 13:14:29
さきのど @sananaka

ゼーガペイン この作品世界の完璧なまでの調和は 何度も繰り返される過去とその季節 すなわち「思い出」と「夏」の密かな近しさでもある 夏の光が明暗のコントラストによって対象の輪郭をくっきりと与えるように 思い出は振りかえる我々の眼差しが与える「意味」によって出来事の輪郭を際立たせる

2012-04-23 17:27:43
さきのど @sananaka

謎の彼女X よだれを介した二人の関係は 一見もっと一般的な絆の比喩であるように思えるが 一方でストレートに「付き合う」という言葉の意味を特定の身体的反応の成立へと変更してみるという思考実験にも見える そしてどちらにも見えるということが この作品の魅力の一つなのだと思う

2012-04-24 10:49:46
さきのど @sananaka

シャイニングハーツ 嵐の夜 一人で留守番をする子供を主人公たち大人がみなで気遣うというエピソード そしてこのアニメの世界そのものが それこそ子供のとき特有の、親や大人に「守られている」という気分のような、独特の居心地のよさに満たされている

2012-04-24 10:55:08
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