クローズアップ現代「スペース・ベンチャー 加速する民間宇宙開発」書き起こし・ほぼ完全版 #nhk
- toshihiro36
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<ナレーション> しかし当初は失敗の連続でした。6年前スペースXが初めて挑んだ打ち上げ実験。発射直後に燃料が漏れてロケットは制御不能になり、墜落しました。その2年後、今度は宇宙空間に到達しましたが、1段目を切り離した直後に2段目と衝突ふたたび失敗に終わりました。
2012-06-27 21:23:02マスク:当時はうまくいかないことばかりで、会社もほとんど死にかけていました。しかし私はやれることがある限り、絶対にあきらめない覚悟でした。
2012-06-27 21:30:02<ナレーション> 先月22日、スペースXの宇宙船ドラゴンは、無事高度400キロの国際宇宙ステーションに到達。民間企業として初めて宇宙に物資を送り届けるという、歴史的な偉業を成し遂げたのです。
2012-06-27 21:36:25<ナレーション> NASAはスペースXと今後3年間、総額16億ドルで国際宇宙ステーションに物資を運ぶ契約を結びました。マスク氏の次の目標は、有人宇宙飛行の実現です。
2012-06-27 21:41:09スタジオに戻ります
森本:スタジオにはJAXA・宇宙研究開発機構の理事の長谷川義幸さんにお越しいただきました。長谷川さんは今年1月にスペースX社の視察もされているということなんですが、まずスペースXの成功をどうご覧になりましたか?
2012-06-28 09:10:44長谷川:いや、ビックリしました。民間会社が難しいランデブーという技術を獲得して、10年間という短期間でやり遂げたことにすごいなと思いました。
2012-06-28 09:13:26長谷川:技術がある程度成熟したこともあるんですけれども。ひとつの工場の中でロケットと宇宙船を作っていくということと、共通部品を一つの中で一貫生産をすることができているので…その内容をうまく進めたことにスペースXの素晴らしさがあったと思います。
2012-06-28 09:22:31長谷川:従来は国家プロジェクトでしたので、ロケットはロケットの企業を育成し、宇宙船は宇宙船の企業を育成してきた。それがある程度成熟すると、だぶっている機能がありますので…それを一つの工場に統合するというのは素晴らしい発想なんですが、いままではそのレベルになっていなかった。
2012-06-28 09:30:27長谷川:はい、そうですね。ベンチャーだと国のしがらみがありませんので、自分たちが集めたお金とNASAの補助金を使って、民間の柔軟な発想と知恵と工夫ができる。規制としばりが少し薄くなりますので、より洗練された製品ができるということだと思います。
2012-06-28 09:39:56長谷川:最初は実際に宇宙ステーションをやることによって、実績と積むと。そうするとロケットと宇宙船それぞれの分野を、民間産業とか防衛産業で世界で売っていくことができる。スペースXが素晴らしいということはこのドッキングで明らかになりますので、それで収益が出ると踏んだと思います。
2012-06-28 09:49:11森本:実績がビジネスになっていくということなんですね。この背景にあるアメリカの戦略、国から民間へということなんですが…どうご覧になってますか?
2012-06-28 09:51:54長谷川:従来からアメリカという国は、世界のリーダーシップをとっていこうというときに、民間の力を借りていこうという傾向があります。航空機もIT産業の育成も。今回、宇宙自体がアメリカの財政事情の都合があって額が増えない。
2012-06-28 09:57:19長谷川:そうすると成熟したものについては、民間にやってもらうことによってコストが下がる。コストが下がった分を、次の新しい先端技術の方に投資する。それによってアメリカの国としての力を維持・発展させるという方法だと思います。
2012-06-28 09:59:42