ツイッター小説 お気に入りセレクト 2012/07/02

今日読んだついのべの中から個人的にお気に入りの作品を選んでみました。 ついのべ #twnovel とはツイッター小説、つまり140文字以内で書かれた短いお話です。
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よしのちほ @chiho_yoshino

やりたいことを書き出そうと思った。だけど何にも思いつかない。彼のために我慢していたこと、山ほどあったはずなのに。考えたあげくに書いた。会いたい。自由帳に、決して叶わぬ想いを。表紙に一文字足して、不自由帳にした。「ふ」と声に出したらちょっと笑えて、そして泣けた。 #twnovel

2012-07-02 01:10:47
@kissmint_xxx

朝、髪を梳かしていると、もこもこと白い羊が櫛に絡んでくる事がある。夢の世界に帰り損ねたドジな羊だ。朝の光の中で眩しそうにめぇと鳴くので、金平糖(彼の好物なのだ)を食べさせてやる。大人しく留守番する様伝えると、ベットに潜り込んだ。やれやれ、今晩帰さなければ。 #twnovel

2012-07-02 07:45:55
高山 環 「ふたりの余命 余命一年の君と余命二年の僕(宝島社文庫)」より発売中 @Takuya11

#twnovel 「結婚しよう」「できないわ。私と貴方は全然違う」「コンクリートの原料を知ってる?石灰と水だよ。違う物質を混ぜても強固な物ができる。結婚も同じだよ」「私離婚したことあるの。前の夫とは固まった結婚生活を作れなかったのよ」「それは水の分量を間違えたんだよ」僕は微笑む。

2012-07-02 08:51:23
birdboiled @birdboiled

#twnovel 腹筋弱くって、体育座りが苦手なの、といっては彼女は俺の背にもたれ、足の爪を磨いたり、マニキュアを塗ったりした。腰のあたりを通して伝わる体温はむしろ熱く、俺はうちわを持ち出して、やたら自分を扇がずにはいられなかった。海からの風は凪ぎ、四畳半はやたらと蒸す。…夏だ。

2012-07-02 14:19:27
七歩 @naholograph

「トイレでご飯が流行りなの?」背後からの声に驚く。「私、花子」トイレの花子さんが現れた。便所飯を説明すると難しい顔をして「出てく時悲鳴あげてね」と言った。#twnovel きゃー。どうしたの?同級生に囲まれる。花子さんの事を話すと友達ができた。お礼したいのに花子さんに会えない。

2012-07-02 16:19:00
木菟みるく @golddaybreak

毎日が同じことの繰り返し。朝起きて夫と子供を送り出し、家事をしてテレビを見て、子供が帰って来て、ご飯を作って夫を迎えてーー夫も私も年を取らず、子供たちは成長しない。それでも、平穏が壊れるくらいならこのままで良い。今日もまた昨日を呼びつつ眠りに落ちる。 #twnovel

2012-07-02 17:13:26
すわぞ @suwazo

#twnovel 僕は川を流れている。(乗せてやろうかえ?)舟の上から女が誘う。川を流れるのは水ではない。虫が蝶が獣が魚が鳥が人が花が、あらゆる生物の命が、あらゆる時に在った命が、輪郭を溶け合わせながら混じり合いながら流れてゆく。(乗せてやろうかえ?)女の手を拒み僕は流れてゆく。

2012-07-02 19:59:31
茶屋 @chayakyu

あの人は遠近感をどこかへやってしまった。近くと遠くの区別がつかないのだ。だからやたら人とぶつかったり、初対面の人に馴れ馴れしく話したり。かと思えば、普通は抱かないような大望を抱いたり。それも良し悪しではあるのだが、僕としては巻き込まれないようにするのが精一杯だ。 #twnovel

2012-07-02 20:47:37
@mimimdr

最初に、神があった。神は宇宙を作りブラックホールを作り銀河を作った。あるとき偶然に、ひとつの惑星で命が生まれた。意思を持ってコミュニティを作っている。神は自分も家族がほしくなり、一人の老人を拾った。一人じゃ寂しそうなので他にも人や動物を拾った。あの世が生まれた。#twnovel

2012-07-02 21:11:10
いでゆのまち @ideimachi

#twnovel 森をさ迷ううち、灯りをみつけた。山小屋の主は着物姿の少女。「道に迷って…」うなずいて彼女は僕を招き入れた。質素だが温まる食事の後、柔らかな体がふれた。「私を…抱くといいです」めくるめく夜が明け、僕は山頂に登った。身を投げるはずが、絶景に涙が出た。僕は生きている。

2012-07-02 21:56:00
layback @laybacks

ロボットの心は振り子のようにできている。当然揺れる。失恋したロボットは博士の元を訪れる。僕の心を外して下さい。博士は断る。では今だけ固定して下さい。ロボットは懇願する。博士は今だけだぞと念押しして処置をする。博士の心にもギプスを取り付けた痕がある。千年も昔の話。 #twnovel

2012-07-02 22:02:28
ショウ @SHO_Y

男は泥棒。存在感を消す薬を飲むことで楽に仕事ができた。が、ある時へまをして捕まってしまう。(存在感がないから、すぐに抜け出せるだろう)事実、男のことなど誰も気に止めなかった。男の牢には誰も近寄らず、食事も忘れられ、すでに餓死していることさえも気付かれない。 #twnovel

2012-07-02 22:39:57
竹田康一郎 @tahtaunwa

#twnovel「鏡よ、鏡。世界一美しいのは、勿論、私よね」「残念ながら王女様ではございません」「どこのどいつよ?」「十年前の貴方です」「昔が良かったなんて言うようになったら、あなたもおしまいね。今日は昨日の自分に勝つ!」その後、彼女は前向き女王として幸せに暮らしましたとさ。

2012-07-02 23:13:09
roardel @roardel

施設の子に絵本を読み聞かせた。私の担当はシンデレラ。ガラスの靴がぴたりと合ったシーンで、子供たちの歓声が大爆発。でも、視界の隅で、ポツンと1人そっぽを向いている女の子がいた。「こんなの嘘だよ」小さくつぶやく。「みすぼらしい娘なんて振り向いてくれるはずないもん」 #twnovel

2012-07-02 23:26:54
橘 颯 @so__w

縁日の娯しみと云えば金魚糖。紅玉に似て透ける魚の形した塊を銀の匙でざらりと一拯い、袋に入れて貰う。其の儘舐れば、吐息が虹色の泡沫と化す。火を燈さば、揺々と焔の鰭にて、空を悠々泳ぎ出す。次々に舞う金魚燈と虹玉に、ほーらいほーらいと呼ばわりて、稚子皆後を追うて行く。 #twnovel

2012-07-02 23:33:08
雪月 @setugetufuka

彼女が「この世で一番綺麗なのは誰?」と問う。私は人に作られた身。聞かれたことに正直に答えることしかできない。ある娘の名を答えると彼女は激怒し、その娘を殺すよう部下に命じた。あぁ、神様。彼女が次は「私は綺麗?」と聞きますように。私が彼女への想いを口にできるように。 #twnovel

2012-07-02 23:51:50