美学校特別講座「中ザワヒデキ文献研究番外篇」第三回

美学校にて2012年6月より毎月第一、第三水曜日に開催されている「中ザワヒデキ文献研究番外篇」の第三回。 開催日:2012年7月4日 前半で読み進めた文章↓ 続きを読む
5
前へ 1 ・・ 3 4 ・・ 11 次へ
ひらま @qwertyu1357

”アンデパンダン展は出品料さえ払えば誰でも参加できる無審査自由出品が原則ですから、数年前から増えてきた受付拒否事件や会期中の撤去事件は由々しい問題でした。” #番外

2012-07-04 20:07:11
ひらま @qwertyu1357

”1962年12月、会場を提供している東京都美術館は「陳列作品規格基準」を制定し、不快音または高音を発する作品、悪臭を発しまたは腐敗のおそれのある作品、刃物等を使用した作品、公衆衛生法規にふれる作品等々の出品を拒否するとしました。” #番外

2012-07-04 20:07:27
ひらま @qwertyu1357

中ザワ「この辺は先週アップしたものはもう少し長かったのですがカットしました。」 #番外

2012-07-04 20:08:08
ひらま @qwertyu1357

”1963年の第15回展には、次に列挙するような作品が出品されました。中西夏之の「洗濯バサミは攪拌行動を主張する」は、観客の行動を誘発するタイプの作品。” #番外

2012-07-04 20:08:35
ひらま @qwertyu1357

”高松次郎の「カーテンに関する反実在性について」は、会場の美術館から上野駅の線路のレールまで紐が延ばされた作品*3b3。赤瀬川原平の「梱包」は、クリストの同様の試みとたまたま同時期のシリーズ。” #番外

2012-07-04 20:08:55
ひらま @qwertyu1357

”*3b3 本作は、高松次郎が当時展開していた「紐」のシリーズの一つでした。東京都美術館のそばにある上野駅は東京から全国の地方に向かう列車の主要な起点駅であるため、上野駅のレールに紐が接続されるということは、全国の津々浦々まで「紐」が一次元的に延伸されることを意味しました。”

2012-07-04 20:09:20
ひらま @qwertyu1357

中ザワ「この辺は裏がとれていないところでもあります。」皆藤「今泉さんが言っていますね」中ザワ「それも高松次郎がいったのかどうかはわからないわけですね」 #番外

2012-07-04 20:11:39
ひらま @qwertyu1357

”同じく赤瀬川原平の「模型千円札」は、のちに通貨偽造として起訴されることになるもの。ゼロ次元のメンバー、加藤好弘の「ある入滅式マンダラ」は、布団に集団で横たわっているパフォーマンス。” #番外

2012-07-04 20:12:11
ひらま @qwertyu1357

”風倉匠の全裸パフォーマンスは「事物」と題されることによって、自身の行為(事)と肉体(物)をともに作品へと回収しようとするもの。「グループ・音楽」のメンバー、小杉武久は、ファスナーのついた大きな布袋に自身が入って会場を這う作品。” #番外

2012-07-04 20:12:43
ひらま @qwertyu1357

中ザワ「これは後にスモールビレッジセンターで僕がやった作品でもあります」 #番外

2012-07-04 20:13:48
ひらま @qwertyu1357

”これは調理の音をマイクで増幅して会場に鳴り響かせ、カレーライスや目玉焼き等の食券を市場と同価格で観客に販売、しかし食券を買った客に実際にふるまわれたのは子供のママゴト用の容器にごく少量盛られたもので、(つづく”

2012-07-04 20:14:12
ひらま @qwertyu1357

”つづき)たとえばカレーライスは親指分くらい、目玉焼きはウズラの卵、調理の火力は煙草のライターでした。そうとは知らずに食券を買った人たちがいました。” #番外

2012-07-04 20:14:42
ひらま @qwertyu1357

”1964年1月、読売新聞社企画部長名で、同展の廃止通達がなされました。同社としては、同年3月の本展のためにすでに会場を美術館から借り上げており*3b4、作家たちもすでに出品の準備を始めていました。” #番外

2012-07-04 20:15:04
ひらま @qwertyu1357

”この突然の廃止は、出品者である作家たちと、会場すなわち東京都美術館とのあいだで、板挟みとなった主催者内部の混乱を物語っています。もちろん、「陳列作品規格基準」制定にもかかわらず相次いだ作家たちの暴走が原因でした。” #番外

2012-07-04 20:15:20
ひらま @qwertyu1357

中ザワ「海外ではそういう概念はないんですね。箱貸しではなくて、収蔵作品がきちんとあると。国立新美術館は収蔵作品がありません。名前は公募で決まったのですが、英語訳ではミュージアムとは言ってないんです。アートセンターなんですね。」 #番外

2012-07-04 20:17:01
ひらま @qwertyu1357

”同展廃止を承けて、評論家の針生一郎らの呼びかけによって、作家たちの自主管理によるアンデパンダン展が急遽1964年6月、東京都美術館で「アンデパンダン64」として実現しました。” 別名針生アンパンといわれていました。 #番外

2012-07-04 20:17:41
ひらま @qwertyu1357

”しかしネオ・ダダの元メンバーを中心に、それには参加しない一群もいました。赤瀬川原平は著書の中で、「自主的なアンデパンダンをやろう」というメッセージを受け取ったときに、頭ではそれを正しいと思いながらも、心の底ではいっこうに気乗りしなかったと告白しています” #番外

2012-07-04 20:17:58
ひらま @qwertyu1357

”篠原有司男はより積極的に「(作品規格を定めた)東京都美術館は会場芸術の墓場として絶縁するべきだ」と主張し、ネオ・ダダの元メンバーを含む35名による「オフ・ミューゼアム展」を東京新宿の椿近代画廊で開催しました。” #番外

2012-07-04 20:18:24
ひらま @qwertyu1357

”同展はたまたま「アンデパンダン64」と同時期だったため、主催者の意図を超え「アンチ・アンデパンダン」とみなされたとのことです。” #番外

2012-07-04 20:18:48
ひらま @qwertyu1357

”その理由は、企業主催の「読売アンデパンダン展」が、19世紀末のフランスの作家たちが自主的に始めた本来のアンデパンダン展とは根本的に異なるものだったからでしょう*3b6。” #番外

2012-07-04 20:20:11
ひらま @qwertyu1357

”つまり本来のアンデパンダン展の出品者たちとは異なり、読売アンデパンダン展の出品者たちは運営の責任を何ら負っていませんでした。そして、逆にいえばそれゆえにこそ、世界に類例のない自己破壊的な熱気を帯びることができたのだという言い方も可能となるでしょう。” #番外

2012-07-04 20:20:28
ひらま @qwertyu1357

”芸術が社会的存在でありかつ芸術的存在であるためには、「社会のための芸術」と「芸術のための芸術」の両面を併せ持たなくてはなりません。” #番外

2012-07-04 20:22:07
ひらま @qwertyu1357

”読売アンデパンダン展では読売新聞社という企業が前者を受け持ってくれる格好となったため*3b7、出品作家たちは後者にのみ邁進できました。ところが「芸術のための芸術」のラディカルな追求は、本来的に、反社会的で自己破壊的な方向に傾いたとしても仕方ありません*3b8。” #番外

2012-07-04 20:22:26
ひらま @qwertyu1357

”主催の読売新聞社は単なる企業でなく新聞社でした。すなわち資金繰りや会場確保といった運営面で芸術の社会的側面を担っただけでなく、自前の新聞紙上で大々的に告知を行い、展評も豊富に載せ、つまり広報面で芸術を社会に還元するという役割においても強力でした。” #番外

2012-07-04 20:23:22
ひらま @qwertyu1357

”それゆえ同展のエッセンスを凝集したネオ・ダダはマニフェストで殺戮者を自任し、美術館の爆破を企て、「ミニチュア・レストラン」は詐欺であり、「模型千円札事件」には有罪判決が下されたのです*3b9 *3b10。” #番外

2012-07-04 20:24:45
前へ 1 ・・ 3 4 ・・ 11 次へ