homesick

*腐注意* *近親相姦注意* 連載していたついのべをまとめたものです。 弟×弟だけ忘れた兄。
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長月笹良 @sasa_sep

#twblnovel 俺はまだ頼りない学生で、愚かな己を飲み込む度量もない。いつかそれを克服しても、血を分けたつながりの濃さはまるで影のように付き纏う。それでも。一緒にいようよ、俺達は兄弟だから、ずっと家族でいられるんだよ。躊躇いがちに歩み出した足が、落ちた涙の痕を靴下で踏んだ。

2012-06-23 16:40:36
長月笹良 @sasa_sep

#twblnovel それ、プロポーズみたいだな。なんなら宣誓でもしようか。おどけると泣き顔が歪んだ。公園のブランコの時とはあべこべに手を伸べる。あんたが俺を家に帰してくれたんだ、忘れられても俺は覚えてる、大好きだよ。薄っぺらい肩に重い荷物を背負ったままの、兄貴の体が落ちてきた。

2012-06-24 01:43:30
長月笹良 @sasa_sep

#twblnovel 額を寄せられた手の甲を温かい滴が伝い、指先から零れた。忘れても何をしても、俺達は兄弟だ。求め合うには相応の覚悟がいる。その腹が漸くできたと、しゃくりあげる背中を眺めながら思った。例え何かの拍子に兄貴の記憶が完璧なものになって、それで俺から離れるのだとしても。

2012-06-27 01:30:27
長月笹良 @sasa_sep

#twblnovel その夜は久しぶりに自分のベッドに入った。遅れて階段を登ってきた足音がそっとドアを開け、湯上がりの体温が隣に寄り添う。繋いだ手を何度も握り直しているうちに、いつの間にか微睡んでいた。重たい瞼に、柔らかな感触が触れる。誰にも邪魔されない、ふたりきりの閉じた家族。

2012-06-27 18:05:39
長月笹良 @sasa_sep

#twblnovel 数週間後、みつおの第二子は恙無く誕生した。祝いを渡したついでに聞けば、孝介は赤ん坊を抱いた母親の傍を片時も離れず、甘えているのかと思えば恐々と妹の頬を突つき、こそばゆそうに笑うのだという。いつも素っ気ないみつおの声も弾んでいる。なあ。兄貴が不意に口を挟んだ。

2012-06-28 17:22:19
長月笹良 @sasa_sep

#twblnovel もし、孝介があかねを好きだって言い出したらどうする? そりゃぶん殴るよ。見かけによらず武闘派のみつおは即答し、兄貴は苦笑した。でも茜も孝介が好きだっつうなら俺が反対してもどうもならんだろうし、まあ、俺の目の黒いうちはじゃないけど、親としては知りたくないわな。

2012-06-29 00:06:48
長月笹良 @sasa_sep

#twblnovel …可笑しいか、あんなこと訊いて。閉じたドアに向かって兄貴は呟く。自分達では正当性を証し立てられないから、誰かの保証が欲しい。おかしくないよ。項垂れた肩に腕を回した。メシは? 後で。顎を捉えて首をねじらせ、唇の隙間で夕食の算段をする。応える吐息が恍惚に溶ける。

2012-06-29 13:06:38
長月笹良 @sasa_sep

#twblnovel したいとねだられ初めて思い知る。早く貶めたくて与えるばかりで、俺は奉仕された経験がない。拙い舌遣いと、温かな口腔。喉を突いて苦しませてしまいそうで声を漏らすと、降参かと意地悪く笑われた。熟れた器官を引き抜き、能動的な官能に火照る体に宛がう。繋がる。ひとつに。

2012-06-29 22:01:33
長月笹良 @sasa_sep

#twblnovel 夜通し睦み合い半分眠りかけて用を足しに行ったら、引いた戸が開ききっていなかった。部屋に戻り、自損事故だと顛末を話すと額に口づけられる。バカ、俺の二の舞になったらたんこぶじゃ済まないぞ。瘤なんかできてない、反論しかけて息を飲む。兄貴が、小さく舌を出した。【終】

2012-06-30 13:00:41
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