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――第一日。プロローグ。
KITE @KITEis
手の中にあった一枚のコピー用紙に小さく印刷された以下の文字を目にしたのが、私の最初の記憶だ。 システム1:君には名前がある。名前が必要な時には「海人」と入力すること。 意味がわからない。そもそもここはどこなのだ。そんな疑問を覚えた時、轟音が聞えた。 #ゾンビサバイバル
KITE @KITEis
私が目を覚ました小さなプレハブ小屋は、音に耐える事が出来ずにビリビリと震えている。こちらの腹にまで響いてくる。 引き戸を開けると一台のヘリコプターが飛び立っていった。中にはパイロットともう一人、『この地獄から脱出』したらしい人間が乗っていた。 #ゾンビサバイバル
KITE @KITEis
この音で声などは聞えないだろうが、私は大慌てで腕を振り叫んだ。しかしヘリが戻ってくることはなかった。 システム2:「クリアフラグA」「クリアフラグB」が揃っていれば、君はこの地獄から脱出出来る。 気がつけばコピー用紙には、その一行が追加されていた。 #ゾンビサバイバル
KITE @KITEis
バカな。紙に文字が増えているなんて、そんな事があるはずがない。 そこで気がついた。「『この地獄から脱出』したらしい人間」と"なぜ私は理解出来た"? システム2:「クリアフラグA」「クリアフラグB」が揃っていれば、君はこの地獄から脱出出来る。 ――そんなまさか。 #ゾンビサバイバル
KITE @KITEis
私は数日を粗末な小屋ですごした。一日に一度や二度ヘリがやってきては飛んで行く。誰も私には気がつかない。 システム1、システム2を繰り返し読み続ける。 「クリアフラグ」を探し出せと言うのか。たしかに外には町らしいものがある。だが、そこからは強い腐臭が漂っている。 #ゾンビサバイバル
KITE @KITEis
気がつけばまた、コピー用紙に文字が増えていた。 システム3:ゾンビサバイバルでは1日1度、イベントを行う。名前を入力せよ。結果はメモし、記述しておくこと。 システム4:君は「HP100、食糧100」からスタートする。このどちらかが0になった場合、君は死亡する。 #ゾンビサバイバル
KITE @KITEis
――ゾンビサバイバル。――死亡する。 この冗談のようなシステムとやらが、私のおかれた現実だというのか。 名前と衣服。あとはシステムによれば100の食糧、そして自分の体だけで「クリアフラグ」を見つける。 そうするしかないと言うのか? それが『ゾンビサバイバル』? #ゾンビサバイバル
――2日目。町での最初の出来事。
KITE @KITEis
町にでた初日は最悪だった。まだ汚れた身なりをしていない私は狙い目だったに違いない。人間にとってだ。食糧を寄こせと暴行を受けた。 なるほど人間をこう変える場所がこの地獄か。このまま殺されるだろう。反撃する気は起きなかった。ゾンビになるよりはマシな死に方が出来る。 #ゾンビサバイバル
KITE @KITEis
――そう諦めた時、暴漢は立ち去って行った。 今のは食糧を多く手にする格好の機会だったはずだ。なぜ、私を殺さなかった? 答えはここにあるだろうと、すぐに察した。コピー用紙を広げる。 システム5:HPと食糧の減少はイベントで発生し、決められた数字のみが減少する。 #ゾンビサバイバル
KITE @KITEis
これが事実ならば、極めて重要だ。 システム4:君は「HP100、食糧100」からスタートする。このどちらかが0になった場合、君は死亡する。 この地獄には「システム」が存在する。その限り、どれほどの不条理に遭遇しても『HP』『食糧』が残るなら、私は死なないのだ! #ゾンビサバイバル
KITE @KITEis
ならば、私にも方針を立てることが出来る。理性的な人間に出会えるかもしれない。そうした場合、『HP』は無理だが『食糧』は渡す事が出来る。生き残るためにはどれほどの肉体的な苦痛を味わっても、『食糧』を守る。こちらの方が生き延びる未来がある。#ゾンビサバイバル
KITE @KITEis
もちろんこれは『「システム」が事実』と言う前提に基づいた考えだ。だが、そこに生き延びる可能性があるのならば、賭ける意味がある。私は自分がどんな人間なのか、何一つ知らなかった。だが、今一つだけは理解した。この地獄で生き延びるのに貪欲な人間なのだ。#ゾンビサバイバル
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