たかはづゾンサバ・その1（※ちょっと特殊ルール）

葉月の手記
なんとか日が暮れる前に森から脱出することができた。老軍人に感謝しなければならない。しかしそもそもなんで森に入ろうとしたのか。実はよく覚えていない。どうでもいい。大事なのは無事に脱出できたということ。それに、森から出た途端にゾンビどもに追われて、あれこれ考える余裕もなかった。フラフラになりながらホテルに逃げ込み、ようやっと奴らをまくことができた。しかし今日は疲れる日だ。少し多めに食事を取り、早々に寝ることにする。

結果

「葉月は悪い人間なの？」
「どうしてそう思うんだい？」
「だって…老軍人さんがそう言うから…」
「うん、確かにタチは悪いかもしれない。というかすごく悪い。けど、悪い人間ではないよ。ちょっと欠けてるだけだ」
「欠けてる？」
「他の人にはあるものがないってことさ。人なら誰だってそうだよ。それよりもショウ、なんで君は葉月についてきたんだい？」
「…それは、よくわかんない」
「もしかして一目惚れってやつですか」
「………わかんない」
「ま、どんな理由だろうと、それが君に欠けてるものだよ、ショウ」
「？」
「葉月についてきてしまった、その事実が、ね」
「意味がよくわからないよ…」
「そのわからないってのも含めて欠けてるものだ」
「でも高宮だって葉月と一緒にいるじゃん！ なんで？ 二人はずっと前から一緒にいる感じがするもん」
「俺と葉月の関係はもっとどうしようもないものだよ」
「どうしようもない？」
「うん。最高にくだらなくて、最高にどうしようもない」
「高宮の話、むずかしい…」
「ははっ。ならばそれが俺の欠けてるものだ。さ、もう寝るよ、ショウ。葉月も老軍人さんもとっくに夢の中だ。今日はしっかり休まないと」
「うん…おやすみ、高宮」
「おやすみ、ショウ」

19日目(2012.07.27)

葉月（HP50・お菓子・元歌手／食糧139／クリアフラグA）

葉月の手記
昨日逃げ込んだホテルのそばには線路が引いてあった。そういえば電車に乗っているとやたらとホテルの看板が目に付く気がする。とりあえず線路沿いにしばらく歩く。やがて駅に辿り着いた。前のとは違う駅…だと思う。規模はやや小さめだ。特に新たな情報もなく、構内を通過し外に出る。そしてアーケード街でまたしてもお菓子を見つけたのだが、これ以上持っていってもしょうがない気がした。なにより荷物に余裕がない。なのでショウに食うか？と訊いた。ショウは目を輝かせて頷くと、ものすごい勢いで食べはじめた。素直にかわいい。高宮はよく末妹について自慢話と言ってもいいくらいの話をすることが多いのだが、その気持ちがはじめてわかったかもしれない。

高宮（HP97・老軍人・火炎瓶／食糧137／クリアフラグA）

高宮の手記
アーケード街の中心には立派なレストランがあった。外観から察するにフレンチか。いやいやイタリアンか。しかし駅の大きさから考えて、少しそぐわない気がする。経営状態は大丈夫なのか、と一瞬不安になったが、よく考えたら経済そのものが崩壊してるのだから意味のない心配だった。中に入り、厨房へと進み、巨大冷蔵庫にあった食材の中から少しいただく。ついでに、興味本位で冷凍庫のほうも開けてみると、なんと中には冷凍ゾンビが安置してあった。誰かを追って飛び込んだのか、はたまた罠によって閉じ込められてしまったのか。かわいそうだが、溶けて再び動き出しても困るので、氷彫刻用と思われるノミと金槌で粉々に砕いておいた。

結果

20日目(2012.07.28)

ついにあの診断結果がやってくる。

高宮（HP97・老軍人・火炎瓶／食糧141／クリアフラグA）

高宮の手記
この辺りは、これまで俺たちが歩いてきたエリアとは少し様子が違うようだった。道はそれほど広くなく、また建物もやや密集している。なんというか、全体的にスケールダウンしたような感じだ。しかしそのくせ、アーケード街はやたらと長い。ようやっと抜けた先にあったのは…コンビニ。しかも手付かずの、だ。「まさにオアシス、だな」「むしろ天国かと」「阿呆、死んでどうする」「お菓子食べたい…」「もちろんだ、食え、ショウ！」しかしなぜこのコンビニは無事だったのか。誰にも発見されることなく、誰の侵入も許すことなく、今日まで保ち続けていたのか。その答えはとても簡単。誰も来れなかったから。しかしこの時点では、俺たちはそんなこと微塵も思いもしなかった。

葉月（HP52・お菓子・元歌手／食糧146／クリアフラグA）

※はぐれたことにより食糧分割。葉月72、高宮71に。

葉月の手記
人が来ていないからといって、ゾンビがいないということにはならない。コンビニを出て再び道なりに進みはじめてから程なく、ゾンビどもが姿を現した。しかし奴らが迫ってきても慣れたもので、各々適度に応戦しつつ逃げる。狭く細い路地裏に入り、逃げる、逃げる。そしてゾンビどもを巻ききった頃…他の三人とはぐれていたことに気がついた。大声で名前を呼ぶが返事はない。路地の壁に反射しすぎて逆にかき消されてしまっているのだろうか。しかたないのでそのまま歩き出す。何度目かわからない角を曲がったところで俺の目に入ってきたのは死体。ゾンビにやられたのかと一瞬考えたが、どうやら違うようだ。食いちぎられた痕がない。その代わり、身体はやせ細っていて、足の損傷がひどい。おそらく彷徨った末の衰弱死…つまり、俺もこうなりかねないということ。この街に来てからはじめての独りの夜、俺は食糧を大事に大事に噛み締めた。

結果

※実は元歌手の効果を読み違えていたせいで計算を間違えている。
※しかしそれに気付いたのが二週間ほど後のことなので、いまさら修正するわけにもいかず…。

続きはこちら