ツイッター小説 お気に入りセレクト 2012/07/17

今日読んだついのべの中から個人的にお気に入りの作品を選んでみました。 ついのべ #twnovel とはツイッター小説、つまり140文字以内で書かれた短いお話です。
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銭喰 @zeniqui

#twnovel 狭い世間で若者たちが、夜通し将来について語り合っていた。「俺はマクドナルドに就職する」「志が低い、同じ外食ならケンタッキーを目指すべき」「なか卯の素晴らしさを知らんとは」「愚か。通は丸美屋一択だ」喧々諤々、こっこっこっ、かっかどぅーどぅるどぅー。納屋の夜が明ける

2012-07-17 07:37:59
猫春雨@ものがたる屋 @nekoharusame

差出人の名前は書かれていなかった。中にはDVDが一枚入っていて、いぶかしみながらも再生したらとんでもないものが録画されていた。それは眼球を素材とした目玉焼きのグロテスクな映像だった。しかし、なぜか食い入るように見てしまう。そして気づけば自分の目玉もなくなっていた。#twnovel

2012-07-17 08:05:24
とみの @Tomino618

満たされない寂しがりやに、優しさを与えてはいけません。どれだけ大きく口を開けて、泣いて待っていようとも、餌を与えてはいけません。満たされることを覚えたソレは、満腹になるまで、あなたを喰らい尽くすまで求めることをやめないのです。だから、餌を与えてはいけないのです。 #twnovel

2012-07-17 08:08:47
tokoya @tokoya

#twnovel 節電で今年の夏はエアコンを控えていたが、今日は最高気温35度を超える予報。さすがに耐えられないのでエアコンを付けようとしたら、窓の外が騒がしい。なんだ?と思ってカーテンを開けると、家の前にプラカードを掲げた人が大勢。そこには「エアコン再稼働反対」と書かれていた。

2012-07-17 08:20:14
蒲公英 @haruka_tanpopo

君のまなじりの黒子の中に、僕の良からぬ妄想が詰まっている。横顔を眺めながら僕が耽る物語は、たとえばシーツの上でのうわごと、たとえば夜のベランダのキス。昼のダイナーで無邪気にハンバーガーにかぶりつく君の泣き黒子に、見蕩れている僕は結構な不埒者。油断しちゃ、ダメだよ。#twnovel

2012-07-17 08:31:06
Hiroyuki inoue @hiro_kinako

#twnovel 「暑い」という言葉がまもなく枯渇することが判明しました。とニュースが告げた。皆がこの夏に使い過ぎたのが原因という。もっと慎重に発するべきだったと言語学者はうな垂れ、感情を口に出せなくなる心理状態についてカウンセラーが懸念する。窓の外では蝉が鳴いている。今日もあつ

2012-07-17 11:49:35
くさがみ•R•シン @kusagamirin

#twnovel 私は本になりたい。その願いは叶えられ少女は本になった。踊り子としての半生を綴った物語は絶賛され、しかし少女は元の姿に戻った。あんたの物語はまだ未完だろ? 皆続きが読みたいのさ。立派な人生を送ったらまたおいで。装飾も立派な本にしてあげるから。魔女がニンマリ笑った。

2012-07-17 12:41:49
すわぞ @suwazo

#twnovel 不死の技術が確立された。やがて不老の技術も確立されたが、既に不死となった者には施術できないものだった。続いて不老不死の技術も確立されたが、既に不死もしくは不老となった者には施術できないものだった。人々は新しい区別と差別と憎悪を覚え、やがて人類最後の戦争に至った。

2012-07-17 18:07:04
@_140

#twnovel 「明日から来なくていいよ」と店長が言う。各言語に1軒ずつ店があるのがチェーンの特徴で、客が店内で喋れば喋るほど文化に適合して店が進化する。それをうまく調整するのが元常連客の私の役割だった。明日からは外注だと言う。店の入口の悪趣味なディスプレイを作った広告会社に。

2012-07-17 20:42:47
夢名 七志 @mumei7c

昨日の雨雲も去った透き通る午後。誰も居ない屋上で仰向けに寝る。風に吹かれて空に映る文章を追っている。背景が青空に合う色に少し拘った。自動配色じゃ満足できない。視界に丁度の1ページ。雲が文字の向こうを横切って行く。その時には没頭している。赤味が差す頃に読み終える。 #twnovel

2012-07-17 20:52:29
七歩 @naholograph

青空市場が時代と共に姿を消している。このご時世だ仕方ない。そう言う祖母は寂しそう。代々市場で店をだしていた祖母を母は継がなかった。私の代で終わりだね。祖母の店が好きだった。私がやる。あんたが?青空を売るのは大変だよ。綺麗な青空を捕まえるのが最近とても難しいんだ。#twnovel 

2012-07-17 21:13:48
miecha @miechorz

#twnovel 誘蛾灯がジジッと音を立てるのを虚ろな目で眺める女。いいわね、と柔らかい口から言葉が零れる。灯がもたらす音は、近付く害虫の命をむしった証。いいわね、あんたは。寄ってくるものを拒絶できるから。アタシはダメ、下心があるって分かってても、優しくされると断れなくて……。

2012-07-17 21:20:18
田中一郎 @dosnov

「それじゃ、また」そう言って、早苗は棺に戻って行く。最初に納められた時にはくっついていた左足首が、またちぎれそう。今度ソーイングセットを持って来よう。僕は棺に土をかけ直し、墓石を置き直す。その時、肩を叩かれ、振り向くと。「またここにいたの」生きている方の早苗だ。 #twnovel

2012-07-17 22:16:41
layback @laybacks

空からねこが降ってきた。にゃんぱらりにゃんぱらりと身を翻して着地するねこ達に見とれていると一匹が失敗してどーんと背中から落ちた。慌ててかけ寄る。でぶねこだ。ぴくぴくと痙攣している。だ、大丈夫? よろめきながら起き上がったその子は、にゃあと鳴いてうちの子になった。 #twnovel

2012-07-17 22:19:40
birdboiled @birdboiled

#twnovel 我々は、りんごを剥く音が苦手な皆様がたの為の政党です。りんごを剥く音が苦手な方は選ばれているのです。りんごは知恵の実、それを剥く音に戦慄を覚えるあなた方の知覚こそは、これからの国になくてはならない難しい選択に必要なもの。ところで、原発全面廃止にはご賛成でしたか?

2012-07-17 22:22:59
秋山幽 @A_ki_ya_ma_Yu

#twnovel 君への想いを宝石に封じて胸に飾っておいたら、君の放った銃弾がそれに当たった。君への想いが僕の命を救ってくれた。砕けた宝石から封じておいた想いが溢れ出して、君へと押し寄せた。君は目を丸くして僕を見つめ、二発目の銃弾を放った。君の想いを封じた弾丸。僕の胸を撃ち抜く。

2012-07-17 22:30:45
Tsu mado @xxassydow

#twnovel この町の壁は話しかけてくる。君は信用しないだろう。でも、確かなのさ。見たこともない黄色い虫が前脚二倍の後脚をフラフラ揺らすの、その下に黒い唇。横にはイボ。目は無数に瞬きする。サトシとマユミの未来を描くハートの傘、車がこすった跡。壁は笑う。ここは本町一丁目だよと。

2012-07-17 22:42:20
Gabb-- @itisnot

空母に乗ってきたのは多くの船員と、ひとりの大きな男だった。正座の姿勢で甲板を埋め尽くす彼は、その図体に似合わずカチコチに緊張しながら会釈した。「ええと、本日付けでアルカトラズ島に入獄されることになりました、ベンと申します」さらに深くお辞儀。島が影に埋もれていく。 #twnovel

2012-07-17 22:48:53
ショウ @SHO_Y

炎天下の道路の真ん中に一人の少女が立っていた。「お家に帰りたいけど道が分からないの」少女は熱気でゆらゆらと揺れる。その姿はまるで泣いているよう。「一緒に探してあげるから、おいで」手招きすると少女は笑うように揺れながら消えた。背中が少し重くなった気がした。 #twnovel

2012-07-17 23:31:47
ナコ@文学フリマ東京Q-01 @nakotic

「お祭りにゃあ!」今日は神社の縁日です。コネコは早速買って貰ったイカ焼きとリンゴ飴を手に嬉しそうです。「あのふわふわした雲みたいなのは何にゃ!」綿飴も気になるのですが既に両手が塞がっていたので、綿飴が出来る様子を凝視しながらイカ焼きを齧っています。「ふわふわ…」 #twnovel

2012-07-17 23:49:24