@sendaitribuneによる脳科学の現状の俯瞰

東北大教授で神経科学者の大隅典子博士@sendaitribuneが神経科学、脳科学研究の現状を問題点も含めて大まかに述べています。神経科学や脳科学研究が今どんな風にすすめられているか、おおざっぱなまとめとして参考になる思います。一般の方向けにもおすすめ。
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大隅典子@東北大学(『小説みたいに楽しく読める脳科学講義』羊土社より刊行) @sendaitribune

【脳科学1】脳神経科学者は現在のところ、「脳を〈器質的に〉研究することによって、どこまで人間が分かるのかを追求しようとするアプローチ」を取ってみよう、というスタンスです。そのために、要素に還元してみる場合もあるし、脳の部位ごとの血流を測定してみる場合もあります。

2010-07-09 08:03:04
大隅典子@東北大学(『小説みたいに楽しく読める脳科学講義』羊土社より刊行) @sendaitribune

【脳科学2】今の大きな問題の一つは、小さなレベルという方向の、神経細胞、シナプス、それらを構成する分子群、そのような分子群を規定する遺伝子群の働きについて理解することと、神経回路やシステムレベルの研究の間に、まだ大きな断絶があって、シームレスに繋がっていないこと。

2010-07-09 08:06:04
大隅典子@東北大学(『小説みたいに楽しく読める脳科学講義』羊土社より刊行) @sendaitribune

【脳科学3】ましてや、個々のシナプスのリアルタイムの動態が理解できたとして、脳全体の活動までのつながりにはほど遠いということがあります。1000億個とも言われる神経細胞の集団全体としての働きを理解するためには、ただ積み上げても駄目かもしれません。

2010-07-09 08:12:13
大隅典子@東北大学(『小説みたいに楽しく読める脳科学講義』羊土社より刊行) @sendaitribune

【脳科学4】さらに、実験系によってはヒトそのものを対象とすることができないので、例えばネズミでわかったことが本当にサルでもヒトでも正しいのか、という問題がありますね。生物学寄りの研究者は進化の歴史を大事に考えますが、霊長類でなければ意味がない、と思う研究者もいます。

2010-07-09 08:15:53
大隅典子@東北大学(『小説みたいに楽しく読める脳科学講義』羊土社より刊行) @sendaitribune

【脳科学5】一部の脳神経科学者は、病的な状態と正常な状態との比較を行うことによって、何らかの理解を得ようとしています。このような医学的アプローチは、仮に中身の仕組みがわからなくても、病気を治すための方策を見つけることには貢献できると考えられます。薬であれ、他の介入手段であれ。

2010-07-09 08:18:16
大隅典子@東北大学(『小説みたいに楽しく読める脳科学講義』羊土社より刊行) @sendaitribune

【脳科学6】Twitterは議論に向くツールではないので、これで終わりにしますが、人間を理解するためのアプローチは、どんなやり方もありだと私は思います。ちなみに、日本では心理学はいまだに文系ですが、psychologyはsocial scienceとして位置づけられています。

2010-07-09 08:21:57