遺伝情報を全細胞シミュレーションして表現型を予測する

細胞シミュレーションについて、e-cellプロジェクト(http://e-cell.org/ecell/)と表題の論文(http://www.cell.com/retrieve/pii/S0092867412007763?cc=y)を比較しながら、 @gaou_ak さんと @ktakahashi74 さんが語ったtweetを集めました。編集自由。
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Kazuharu Arakawa @gaou_ak

ある程度成功したプロジェクトに見切りを付けて、他の新規のものにリソースをふりなおすのは容易な事ではないし、結果うちの研究所はうまくいっていると思うので、この決断は英断だったとも言えるかもしれない。ただ、細かいリソースの配分の仕方を見ていただけに、もっとうまくやれた、とも思うのだ。

2012-07-21 17:55:08
Kazuharu Arakawa @gaou_ak

MOTTAINAI! by ワンガリ=マータイ

2012-07-21 17:55:56
Kazuharu Arakawa @gaou_ak

以上、お後が宜しいようで。

2012-07-21 17:56:07
Kazuharu Arakawa @gaou_ak

生物ではないけれど博士号持ってるアメリカ在住の親戚に、そういえば和晴君も全細胞シミュレーションやってたよね、これどうなの?と聞かれるレベルにはインパクトでかいよなぁ。

2012-07-21 18:23:57
高橋恒一 @ktakahashi74

この仕事いろんなところで話題になってるね。彼ら3年くらい前からICSBとかでポスター出してたけど。 @gaou_ak

2012-07-21 19:38:21
高橋恒一 @ktakahashi74

たしかに我々は今から7,8年くらい前にはここに用いられている計算技術の全範囲の開発に成功していたので、あとはそれをどう展開するかという点で違いがあったのは確かです。

2012-07-21 19:44:04
高橋恒一 @ktakahashi74

技術的な新規性はなくとも、やっぱり仮想細胞じゃなく実在する細胞の全遺伝子を組み込んだ モデルをとりあえず完成させてみたという事は素直に敬服すべきですね。一般の分子生物学者にはこっちの事実は大きなインパクトに見える でしょうね。あと、ベンター研のモデル生物だからというものあります。

2012-07-21 19:46:16
高橋恒一 @ktakahashi74

これをもったいないと思うかどうかは、本質的に分子生物学/分子遺伝学者なのか、生物物理学者なのかという違いなのかなと思います。E-Cell プロジェクトではマネージメント以前の問題としてかなり早期にこの方向性のネットワークベースの全細胞モデルはばっさり切っていたし。

2012-07-21 19:48:21
高橋恒一 @ktakahashi74

分子遺伝学者ならこういうモデルで満足なのかもしれないけど、抽象度の高いネットワークモデルでは予測性のあるシミュレーションに根本的に無理がある事に我々はかなり早期に気づいていて、また予測性のないシミュレーションって使い物にならないじゃん、と。

2012-07-21 19:51:35
高橋恒一 @ktakahashi74

まあでもこういうアプローチのほうがずっと大きく取り上げられて、またそういう評判って現実的には大変重要なので、誰かが取り組み続けるべきだったかも。これはマネージメントの問題。

2012-07-21 19:53:28
高橋恒一 @ktakahashi74

そういう意味でいうと、我々の1999年の仕事と同じ構図かもですね。技術的な新規性はどうなの?とか、パラメータがいい加減さは根本的に解決しないのでそもそも意味あるの?とかより、細かい事にこだわらずとりあえず全て揃えてみたのは正しい時に正しいことやったなあ、と。

2012-07-21 19:56:24
高橋恒一 @ktakahashi74

今のE-Cellプロジェクト理研分所で作ってるE-Cell4はこれとは違う方向性でやっている(細胞の一部でもいいから、1分子粒度と1分子実験を組み合わせる事で本質的な予測性があるシミュレーションを実現する)ので、ベクトルとしてかなり違う事をやっています。

2012-07-21 19:58:49
高橋恒一 @ktakahashi74

あ、あと詳しいことは言えませんが「マイコプラズマまるごと」方面では今ちょっと準備している事が。

2012-07-21 20:02:17
高橋恒一 @ktakahashi74

いずれにせよ、我々としては核融合並みに難しいとされる「使い物になる細胞シミュレーション」を目指しつつ、随所随所で進展と成果をみせてゆく方向性で地道にがんばりたいとおもいます。以上、感想。

2012-07-21 20:04:14
高橋恒一 @ktakahashi74

あ、この点よく言われるので、もう一言。 @gaou_ak ではテクノロジープロジェクトである現在のE-Cell Projectとして達成すべきだった2番目の問題点はどうか。これはユーザを獲得したり、標準化するための労力がほとんどとられなかったことが大きいと思う。

2012-07-21 20:51:08
高橋恒一 @ktakahashi74

いい機会なので。たしかにE-Cell 1の成功を受け「汎用細胞シミュレータ」としてのユーザー育成や、Caltechを中心に起きたSBMLなどのモデル標準化に真面目に取り組んでた事もあったけど、僕としてはこういう形のプロモーションにある時期以降価値を見いだせなくなりました。

2012-07-21 20:54:54
高橋恒一 @ktakahashi74

その理由は、今回のCovertらの仕事に名だたる著名シミュレータのどれもが採用されずカスタムメイドである事が端的に示しています。 つまり、全く黎明期から踏み出していない細胞シミュレーション分野では「標準」や「ユーザーの数の力」は学界で大手を振れる以上の意味ってないんだよね。

2012-07-21 20:57:52
高橋恒一 @ktakahashi74

さきほども言った通り「学界で大手を振れる」の重要性って現実的なプロジェクト運営ではすごく大事なんだけど、現時点のこの分野でこの点に目をやりすぎるとリソースの優先度で本質を見間違い、本来の目的である「使い物になる細胞シミュレーション」から遠のいてしまう、という判断がありました。

2012-07-21 21:03:26
高橋恒一 @ktakahashi74

「学界で大手を振れる」を判断尺度にする人達からは君ら何やってんの、という批判を継続的に受けてきたんだけど、まあそこは鈍感力でなんとか。分野として成熟するに従って、本質的な成功とプロジェクトとしての成功が収斂してゆくものだし、細胞シミュレーションでも近い将来そうなると信じています。

2012-07-21 21:06:42
高橋恒一 @ktakahashi74

というわけで皆さん、雑音は雑音として、本質的に重要な事、本質的に人類の文明を前に進めることをやりましょう。

2012-07-21 21:08:55
高橋恒一 @ktakahashi74

そうそう。 @nzmyachie_ja イノベーションは起こしたら後ろに零した蜜は吸わずに次に行くのがいいと思います。今回は1年前にJCVIから「こういうことをやっている、E-Cellはどんな調子か?」と私は聞かれていたし、E-Cellの功績は皆が知っているし、次に進めばいいと思

2012-07-21 21:20:37
Kazuharu Arakawa @gaou_ak

お、実験から戻って来たら期待通り@ktakahashi74さんのコメントが。全部RTするのもなんなので興味ある方は是非彼のTLをご覧あれ。http://t.co/LXgAlQBf

2012-07-21 21:32:33