今まで書いたものまとめ

夜さり @yosari__lambent

【黒子】「少し、目を閉じてください」不安げに見上げる彼女の瞳を手のひらで覆う。「大丈夫。大丈夫です」冷たかった君の手が、少しずつ温かくなっていく。僕の体温を少しあげて、君の悲しみを少しもらう。流れた涙も舌で掬い取れば、ほら、もう、怖くはないから #黒バスプラス　だから明日は笑って

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【黒子】「お誕生日、おめでとう」少し緊張した君の声は、やっと手に入れた宝物みたいで。「ありがとうございます」月並みな言葉しか言えないけれど、この気持ちは君に伝わっているだろうか。プレゼントのひとつめは、恥ずかしがり屋な君からの、愛のこもった小さなキス。よかった。同じ気持ちだった。

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【日向】まずい。電車の揺れに体が持っていかれそう。「…掴まっていっすよ」頭上から降ってきた声に顔を上げれば、学生服を着た短髪の少年が私を見下ろしていて。「あんた、すげー顔して立ってるから、見てらんなくて」眉間の皺の割には優しいことを言う、そんな彼の名前を知るのは、もう少し後の話。

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【伊月】コートの中の伊月君は声も大きくて表情も険しくて、わたしの知ってる彼はどこにもいなかった。帰り道、あのとき力強くボールを放った彼の手に、内緒みたいに指を絡ませる。振り返った彼の顔は、確かに私の知っている伊月君だった。「どうした？」もう一度あなたに恋をした、なんて、言えない。

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【高尾】ベッドに入る直前、彼は毎日、長く唇を合わせるキスを一回だけする。わたしの頬に手を添えて、瞳を閉じさせて。それはまるで、祈りのようなキス。「そうだよ。お前が明日も、元気でいられますようにってさ」だから明日も、ここに帰ってこいよ。その言葉に応えるように、涙が一粒だけ、落ちた。

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【黒子】肩にかかる息がくすぐったくて身を捩らせると、そんな隙間さえ許さないように腕の力が強められる。「ここが一番落ち着きます」いつもより低い彼の声。「…私は、落ち着かない」「…じゃあ、もっと落ち着かなくなるようなこと、しましょうか」この心臓を昂らせることなんて、こんなにも簡単だ。

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【日向】困った。本当に、困った。更衣室で学ランを脱いだ瞬間。練習中、肩口で汗を拭った瞬間。彼女と、同じ匂いがする。（マジで変態じゃねぇか、俺）なくなるたびに違う種類の洗剤を買う母親が憎い。（あと何日堪えなきゃなんねぇんだよ…）彼女の香りが、こんなにも脳裏に染み付いていたなんて。

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【高尾】ギアを握る左手の薬指に光るシンプルなそれに、何度目を奪われたか知れない。自分にも、同じものがしてあるというのに。「…あんま見んな。キスしたくなっちゃうだろ」困ったように笑う和成に、自分の左手を重ねる。早く帰ろう。一緒に、同じ家へ。玄関の扉を閉めたら、一番にキスをして。

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【日向先生】「…お前顔真っ青だぞ。緊張してんのか。心配すんな。お前が積み重ねてきたもんは、お前のことを裏切ったりしねえよ。お前が戦わなくちゃいけないのは、他の受験生じゃなくて紙に書いてある問題だ。いいな、しっかり戦えよ。よし、行ってこい」 #黒バスプラス

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【高尾先生】「おっ、なんだよ、妙に落ち着いてんじゃん。確かに、前日にどう足掻いても仕方ねーか。でも、試験開始5分前にたまたま開いたページがドンピシャで出ることあんだよなー。俺、お前はその辺の運はあると思ってるぜ？ま、サクッとこなしてこい！」 #黒バスプラス

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【緑間先生】「なんだ。他の受験生が怖いか。…怖がることなど何もないのだよ。お前が今まで尽くしてきたことを思い出せ。苦しかったことを思い出せ。それを踏み越えて今お前はここにいる。しっかりやれ。見ていてやるから」 #黒バスプラス

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【黒子】親戚の結婚式のためにスーツを纏った彼。あどけなさが消え、大人の男のひとになってきた顔つきに、胸がぎゅっと掴まれた。「…行ってらっしゃい、旦那様」ぽそりと漏れた言葉に、ネクタイを結ぶ彼の手が止まる。「…帰ってきたら、いまの、もう一回いいですか」意外と欲に忠実なのは、昔から。

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【日向主任】給湯室で鉢合わせると、なんとなく気まずいのはこの狭さのせいか。沈黙に耐えきれず、彼の分のコーヒーを淹れるために背を向ける。「…いい匂い」肩口にかかる息に身を捩らせる。「コーヒーの、ですか？」「さあな」立ち上った湯気に隠れて一度だけキスをするくらい、どうか、許して。

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わんこなだけじゃない黄瀬と黄瀬と離れるのが怖い彼女の話 　私の膝の上で、幸せそうに寝息を立てる涼太。きれいな金色の髪と伏せられた長い睫毛はやわらかな冬の午後の日差しを浴びて、きらきらと輝いているように見え… http://t.co/FBLm8zHd

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【伊月】「伊月くんの手って、いつも冷たいね」冬の帰り道、彼女の白い息は幻みたいに闇に溶けて。「もう慣れたよ」もう諦め半分なんだ、と笑うと、右手を包むあたたかい手のひら。「そんなことに、慣れちゃだめ」私がしつこくあっためてあげる、の声に、これでまた、君から離れられない理由がひとつ。

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成人式を迎えた日向と社会人彼女 　テレビカメラを向けられて、これからの日本を変えていく人になりたいです、とか、まだ実感が沸きません、とか答えている顔も知らない奴らに一瞬だけ視線を遣って、式が終わる… http://t.co/RBAEd1GF

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【高尾】こう言っちゃアレだけど、俺は好きな奴にはとことん打算的だ。そう見えないようにしているだけで。そうやって必死に手に入れた、一緒に帰るチャンス。こんな泥臭い努力してるなんて、知られたくねーじゃん？「…ちゃんと送ってやるのだよ」「もち」相棒にしっかり協力してもらってることもな。

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【日向先生】「…お前なにしてんの」人のクラスの教卓の下で。続けようとした言葉は彼女の慌てた動作で断ち切られる。「か、かくれんぼです」「どうせ数学から逃げてんだろ」びくりと跳ねる肩。遠くで彼女を呼ぶ声が聞こえる。「明日は出せよ」俺も大抵、生徒に甘い。「あとパンツは隠せ」「えっ！」

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【日向】「伊月はやめといたほうがいいぞ」首の後ろを掻きながらさもめんどくさそうに言い放つ彼に、「えっと、私が好きなのは、日向くん…なんだけど…」心の中で何度も繰り返したものとはまったく違うものになってしまったけれど。「…は？」真っ赤になった彼が可愛かったから、よしとする。

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【緑間】家族みんなが寝静まった後、こっそり客間に滑り込む。「お疲れさま」両手を広げた私に、彼は大人しく体を預けてくる。「…ああ。緊張した」「真太郎でも緊張することあるんだ？」「お前は俺のことを何だと思っているのだよ」未来の旦那様は大事な仕事を終えて、私の肩口で深く息をついた。

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【高尾】高校の同窓会のあと、みんなで向かった初詣。「恋人、遅いが好い人現れる、か…」引いたおみくじを木に結んで振り返ると、私を見つめる高尾くんの姿。「…高尾、くん？」「そんなん待ってないでさ、俺にしない？彼氏候補、高尾ちゃんでっす。…なんてな」彼の声は夜に溶けて、甘く、響いて。

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【伊月】母親に聞きながら作った御節をつまみながら、「豆を食べてまめまめしく働く…！キタコ、」「それはパクり」使い古された言葉をどや顔で披露する彼に、その黒豆をよそう。「まめまめしく働いてください、旦那様」「了解です。俺のかわいい奥さん」「かわいいとかいいから」「あ、照れた？」

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【黒子】目を開けて隣を見ると、まだ静かに瞳を閉じている彼の横顔。「黒子くん、何をそんなにお願いしてたの？」白い息を吐きながら問うと、「僕の大切な人たちが今年も息災でありますように、と、」自分のマフラーを私の首に掛けて、「僕の奥さんが早く僕のことを名前で呼んでくれますように、と」

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【日向先生】「ほれ。お年玉」差し出されたのはポチ袋。「えっ、もらえません」いくら学生だからって、恋人からお年玉なんて。「だあほ。中身見ろ」袋から出てきたのは小さなハートのついたネックレス。「学校につけてきたら没収だからな」だから今、つけなさい。彼の手招きに、応えない理由はなくて。

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【伊月】数合わせで無理やり連れてこられた合コン。飯だけありついて帰ろうと思ったらまさかの一目惚れ。会計のときにこっそり耳打ち、「ね、100円貸してくれない？」君と次に会う約束ができるなら、多少無理があっても構わない。そしたら彼女は笑って、「そんな口実いらないよ」あっ、バレてたか。