ツイッター小説 お気に入りセレクト 2012/07/28

今日読んだついのべの中から個人的にお気に入りの作品を選んでみました。 ついのべ #twnovel とはツイッター小説、つまり140文字以内で書かれた短いお話です。
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@KizukCQ

#twnovel あの星まで三光年なんだと星空の一点を指差し教えてくれた彼。私達が付き合い始めた頃の光ね? と私が聞くと、正解と彼はキスをした。それから数年後。「ママ、あのおほしさま?」三歳の娘が星を指差した。うんそう。あのお星様の光はね、あなたが生まれた時の姿なのよ、と。

2012-07-28 00:08:18
layback @laybacks

裏庭にうたたねをまいた。すぐに芽が出てくる。ハート形の芽はレム睡眠とノンレム睡眠を交互に繰り返しながらすやすやと背を伸ばしてゆく。花が咲いた。しおれて、新たなうたたねが実った。ぼくはそれを麻袋に詰める。穫れたてのうたたねは効果抜群。ぼくたち睡魔の必須アイテムだ。 #twnovel

2012-07-28 00:34:50
ゆりしま @yurishima

思い出のない “場所” なんてないから、きっと何処に行くこともできなくなって。思い出のない “もの” もないから、何にも触れられなくなる。全てに染みついて離れないキミとの思い出のにおいや肌ざわりが、いつか僕を殺すのだろう。だから、ひとりにしないでと呪いをかける。#twnovel

2012-07-28 01:57:18
内藤みか(作家) @micanaitoh

「ねむり」が髪を撫でると、女の子はベッドでうとうと。「あつさ」が熱帯夜の蒸した空気で身体を包むと、女の子は半分眠りながら手のひらで自分の身体をぱたぱた。お母さんが部屋のドアを開けると、女の子は「あつさ」に汗だくにされながら、「ねむり」にしがみついていました。 #twnovel

2012-07-28 04:07:38
鈴々@物語る鳥 @re_rhythm

もしかして、とは思っていた。彼の浮気の事だ。確信したのは彼の肩口についた長い髪の毛だった。ゆるく波打つそれをそっと摘まんでゴミ箱に捨てる。気づいた彼は、ごめん、と口にした。いいよ、と答える。別れよう。本当は浮気じゃないと気づいていた。彼とは既に終わっていたのだ。 #twnovel

2012-07-28 07:27:17
ジュン @jun50r

街を毎日掃除していた老人が亡くなった。「あのお爺さん」その日から、街にはゴミが落ちるようになった。「今までこんなに大変な事を?」人々は老人の姿を思い出し、街のゴミを拾い始めた。「感謝しなければ」 今、この街で一番綺麗な場所は、老人の墓だった。 #twnovel

2012-07-28 08:32:48
ナコ@文学フリマ東京Q-01 @nakotic

シイナさんがお仕事で、魚屋さんがお休みで、コネコはごろごろしています。「あっちいにゃあ」床の涼しいところを探し、寝転んだまま移動します。「氷にゃあ」冷凍庫から氷を一つ出してがりがり食べます。今日はシイナさんがアイス買ってきてくれるかな、とコネコは期待しています。 #twnovel

2012-07-28 09:49:47
七歩 @naholograph

蝉の声がうるさい。あまりにも酷いので診て貰うと、耳の奥に蝉がいると言う。蝉が死んだら取り出しましょう、そう言われた。蝉の声は日々大きくなる。羽音が聞こえる。そしてある日唐突に静かになった。僕の中、命を繋ぐこともなく死んだ蝉を思い、耳の奥の墓場にそっと手を合わせる。#twnovel

2012-07-28 09:55:03
layback @laybacks

骸骨は肉をくれと言った。肉屋は訝しむ。あんたが食べるのかい? いや。食べるのではない。身に着けるんだ。肉屋は呆れ顔で言う。あいにく人の肉は置いてないよ。骸骨は言う。豚でも羊でもいい。それらしく見えたらいいんだ。肉屋は骸骨を見つめる。お前さん、人の女に惚れたのか? #twnovel

2012-07-28 14:45:33
m2 @m2_tam

旅人が怪獣に海を教えた。砂漠の空のように青く、夜の岩肌のように冷たく、オアシスの泉より広大なのだと。君の見る星空は海にも続いていて、潮騒は無数の音の連続で、君の叫び声をかき消すだろう。そして近くには人間の集落があるだろうと。怪獣はいつも見る夢の正体を知った。#twnovel

2012-07-28 15:53:03
かなりひこくま @kanarihikokuma

夏バテで半分溶けたぼくはニョロニョロと移動して言った。「お母さん、鰻です、今こそ鰻が必要だと思うのです、丑の日も過ぎてセール中ですよ」母は釘と金槌を手に答えた。「こっちにこい鰻、背開きにしてやる、うちは関東風だからな」びっくりして、ニョロニョロ逃げた。  #twnovel

2012-07-28 18:16:19
みお @miobott

#twnovel 古びた劇場だった。「貴方も?」老人は隣に座った男を見て笑う。「懐かしくなりましてね」目前の舞台は闇に沈んでいる。やがて雲が晴れ月光が差し込んだ。見えたのは深い銃痕が走る舞台と客席。「50年前私は兵だった」「50年前、私は親を殺された」見合わせた顔は老いていた。

2012-07-28 21:50:31
ショウ @SHO_Y

病院の窓から見える花火は静かに咲き乱れる。ベッドの上、炭酸飲料を口に流し込むと、喉の奥がチリチリと鳴った。花火がまた一輪、二輪。手にしたペットボトルは、いつの間にか空になっていた。夜空に弾ける爽快感と開放感は消え、蛍光灯の下で甘ったるい後味だけが不快に残った。 #twnovel

2012-07-28 22:28:31
たばねこ @okenabat

僕「あいつは人目を憚らず白昼堂々と僕に襲いかかろうとしてくるんです。必死に振り切ろうと抵抗をするんですが、あいつはどんどん距離を縮めてきて、ついには僕の体に重くのしかかり、意識が遠のいたところを先生に助けられました」先生「そうか。廊下に立ってなさい」僕「はい」 #twnovel

2012-07-28 22:49:54
那由多 @lost_story00

俺はある家でミツと呼ばれていたが、今はとある少女にツキと呼ばれている。愛想良く鳴いてすり寄れば、奴らは簡単に騙されて俺に餌や寝床を与える。野良は楽だ。少女は俺を飼い慣らしたいらしいが真っ平ごめんだ。俺は自由に生き、馬鹿な人間どもを利用して天寿を全うするのだから。 #twnovel

2012-07-28 23:37:53