「キョート・ヘル・オン・アース」破「ライジング・タイド」#1
ガンドーは血の混じった唾を吐き捨てると、ピストルカラテを構えて突き進む。「イヤーッ!」重い49マグナムを両手に握りながら、目の前の小柄なニンジャに対して強烈なカラテパンチを連続で繰り出すガンドー!「イヤーッ!」だがパラゴンは、それを軽やかなジュー・ジツで捌き続ける。 18
2012-07-29 21:07:16対格差は、スーパーヘビー級とストロー級ほどもある。実際一発でもクリーンヒットを叩き込めれば、ガンドーは敵をノックアウトできるはずだ。だがガンドーの攻撃は、軽々といなされてしまう。「ピストルカラテの起源はさほど古くない、マスケット銃の発明以降だ」パラゴンが陰気な声で解説する。 19
2012-07-29 21:13:33ガンドーに一瞬迷いが生じる。相手はピストルカラテの秘密を知リ尽くしているのか?それともブラフか?かまわねえ、やるぞ。「イヤーッ!」BLAM!反動カラテ!重いバックスピンキック!だがパラゴンはこれをジュー・ジツで捌き、逆にその力を利用して彼を後方へと放り投げた!「イヤーッ!」 20
2012-07-29 21:18:43「グワーッ!」イポン!ガンドーは壁に叩きつけられる。ただ投げられただけではない。彼が繰り出そうとしていた全カラテは、インガオホーめいて彼自身に返されたのだ。「貴様は私に指一本触れる事ができぬ。掠り傷ひとつ負わせる事ができぬ。私は完璧主義者なのだ」パラゴンが振り返って言った。 21
2012-07-29 21:29:01ガンドーは頭を振って立ち上がり、ガンスピンを行ってから再びピストルカラテを構える。脳震盪で微かに体がぐらつく。「オイオイオイ、話が違うぜパラゴン=サン。弱いんじゃなかったのか?」ガンドーが抵抗するように笑みを作る。「あれは嘘だ。貴様のような者を欺くための」パラゴンが言った。 22
2012-07-29 21:33:00「実際、私のカラテの力量を知るグランドマスターは、独りもいない!」パラゴンが駆け込んでくる。「「イヤーッ!」」交錯するカラテ!「イヤーッ!」BLAM!再びガンドーの反動カラテ!だがパラゴンはこれをジュー・ジツで捌き、逆にその力を利用して彼を後方へと放り投げた!「イヤーッ!」 23
2012-07-29 21:46:56「グワーッ!」イポン!ガンドーは壁に叩きつけられる。骨が軋み内臓が悲鳴をあげる。「頑丈な奴だ。貴様は捕えて生かしておこう。地上がメギドの火により浄化され、ロードの千年王国が到来したならば、踊るモンキーの区に檻を作り、貴様をアニマルめいて展示する」パラゴンが振り返って言った。 24
2012-07-29 21:53:43「ハカセって仇名だったろ?」立ち上がったガンドーは、肩で息をしながら吐き捨てる。「饒舌にもなろう。ニンジャミレニアムが到来せんとしているのだから。人間は愚かだ。ピラミッドの建造方法すら忘れ去ってしまった。そのような悲劇を繰り返さぬためにも」「じゃあひとつ教えてくれよ……」 25
2012-07-29 22:06:18私立探偵ガンドーは、短く深呼吸してから言った。「昔々ある所に……そうだな、十年前くらいに、琵琶湖クルーズ船、グランド・オモシロイの船上で、ビジネス・ショウが開かれた……」「……」それまで余裕めかしていたパラゴンの顔が、一瞬だけ醜く歪み、知能派ヤクザめいた冷酷な殺意が走った。 26
2012-07-29 22:18:28ガンドーは敵との圧倒的戦力差を知っていた。出方を一歩間違えば直ちに殺されることも知っていた。だが彼は頑固な探偵であり、パラゴンの声と言葉の癖に、ある特徴を見出してしまったからには、それを問わずにはいられないのだった。「そこで、あんたは、ガンドー探偵事務所の、女助手を殺した」 27
2012-07-29 22:26:35パラゴンは動かない。ガンドーがどこまで知っているのかを品定めしているかのようだ。「どうやったかまでは知らねえが、スズキ・キヨシが鎧甲冑を盗むよう仕向けたのも、ザイバツだな。鎧を盗ませて、さらにスズキ・キヨシから盗む。そういう計画だった。だが探偵が思いのほかハッスルした……」 28
2012-07-29 22:34:32ガンドーはごくりと唾を呑みながら続ける。「キヨシと探偵は落下した。屋上には、鎧甲冑が残された。そこにあんたは現れた。用意周到なことに、スズキ・キヨシ愛用の拳銃と同じピストルを持って。いささか予想外だったのは、女助手に姿を見られたことだ……。そこであんたは、彼女を撃った……」 29
2012-07-29 22:40:57ZBRブーストされた思考速度は、ガンドーをいつになく饒舌にさせた。彼はここで推理を止め、怒りを堪えるように奥歯を噛んだ。自分の顔を鏡で見たら、死ぬ直前のクルゼ・ケン所長と同じになっているはずだ、と自制しながら。パラゴンが冷たく言った「それで?貴様は何を聞きたいというのか?」 30
2012-07-29 22:50:59「ここまでの推理は、合ってるってことだよな」ガンドーが不敵に笑った。肋骨に痛みが走った。「……じゃあ質問だがよ、その女助手は、なんで死ななきゃならなかったんだ?何故そこまでして、ザイバツはあの鎧甲冑にこだわった?しかも、あの鎧甲冑は盗まれること無く、ネオサイタマに帰ったろ」 31
2012-07-29 23:03:49「ハハハハハ!ハハハハハ!くだらん!」パラゴンはヒステリックに哄笑した。そして冷酷な殺意をたたえた目でガンドーを睨むと、ジュー・ジツを構えたまま突き進んだ。ガンドーのピストルカラテを掻い潜り、カラテキックが膝と腹を襲う!「ザッケンナコラーッ!」「グワーッ!」鳩尾に深い一撃! 32
2012-07-29 23:19:08大岩のようなガンドーの体が沈みかける。パラゴンは隠していたドスダガーを抜き、ガンドーの後頭部に突きたてるべく振り上げた。「貴様らのような屑どもが、我がロードの御心を責め苛むのだ!イヤーッ!」 33
2012-07-29 23:32:14だがガンドーは不沈艦めいたタフネスで持ちこたえた。確かにパラゴンのカラテは強力だが、体格差の有利がまだガンドーにはある。だからこそ敵は、隠し得物で一気に勝負をつけにきたのだ。ガンドーは片膝立ちの状態で辛くも上体の崩れを支えると、下に向けて49マグナムを放つ!BLAM! 34
2012-07-29 23:37:22「イヤーッ!」反動カラテ!膝立ち敬礼めいた姿勢で無防備な後頭部をパラゴンにさらしていたガンドーは、上半身を右に開きながら右手を後方に振り抜き、殺人鈍器めいた49マグナム重底でドスダガーの刃を破壊する!続けざまトリガを引き、ノールック射撃でパラゴンを仕留めにかかる!BLAM! 35
2012-07-29 23:53:40ガンドーの試みは実際悪くなかった。だがアイキドーめいた投げ技による脳震盪のダメージと、ZBR過剰摂取による精神と肉体の不均衡が、ガンドーのカラテを僅かにぶれさせていたのだ。ナムアミダブツ!「イヤーッ!」弾丸をブリッジで軽々と回避するパラゴン! 36
2012-07-30 00:04:09パラゴンは電撃的速度で身を起こし、相手の肩をジュー・ジツで捻る!「イヤーッ!」「グワーッ!」ゴキゴキリ!ガンドーの右肩が外れる!さらに前屈みになったガンドーの顔面へ連続カラテキックを叩き込む!「イヤーッ!イヤーッ!」「グワーッ!グワーッ!」網膜ディスプレイにヒビが入る! 37
2012-07-30 00:11:23「ガハッ、ちくしょうめ……」ガンドーはそれでも倒れず、闇雲に49マグナムを撃って敵をバックステップさせると、血まみれの顔でファイティングポーズを取った。右腕は垂れ下がったままだが。「……シキベに比べりゃあ、全然痛くねえぞ。来いよヤクザ野朗」「イヤーッ!」パラゴンが突き進む! 38
2012-07-30 00:19:10BLAM!三度目の反動バックスピンキックが繰り出される。「イヤーッ!」だがカラテは無情であった!「イヤーッ!」パラゴンは乱れ切ったガンドーの蹴りをジュー・ジツで受け流し、巻き込むような姿勢でガンドーをタタミに直接叩きつけたのだ!「グワーッ!」ゴキゴキリ!膝と股関節に異音! 39
2012-07-30 00:28:57苦痛に顔を歪めながら、タタミで仰向けに倒れるガンドー。ショッギョ・ムッジョ!やはりグランドマスターとのカラテ力量差は歴然であったか!「貴様は知りすぎたのだ!生かしてはおかん!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」パラゴンはガンドーの頭を激しくストンピングする!「グワーッ!」 40
2012-07-30 00:43:10「キエーッ!」ドラゴン!「グワーッ!?」突如、ジェットロケットめいたトビゲリ・アンブッシュが空気を裂いて飛び、パラゴンに側面から命中した!ゴウランガ!それはドラゴン・ユカノ!パラゴンはワイヤーアクションめいて吹っ飛び、壁に叩きつけられる!「グワーッ!」 41
2012-07-30 00:54:16ユカノは拘束されていたはずでは?「重点!」モーターチイサイである。ユカノの声に反応したモーターチイサイが、LAN触手で拘束機械の端子に直結を行い、彼女を拘束から解き放っていた。ガンドーの推理と身を挺した戦闘がパラゴンの注意を引き続け、モーターチイサイの活躍を許したのだ。 42
2012-07-30 01:05:14