2012-08 Twitter 140字で作文(BL仕様)
坂道で買い物袋が破れた。「拾ってください!」缶ビールを転がしてしまった僕は通行人の彼に助けを求めた。「ありがとう。お礼にどうぞ」「サンキュ」あっと思った時にはプルタブが引かれ、中身が勢いよく吹き上がった。「拾い終わったお祝いだ」ビールまみれで笑った彼を見て僕は幸福な気分になった。
2012-08-01 04:20:48二人でリゾートホテルにきた。「ベッドサイドのチョコレート食べたよ。甘いの苦手でしょ」「全部か?俺が触っても何ともない?」「いつだって熱くなるに決まってるじゃん」恋する気持ちに媚薬は余計だったようだ。「おいで、チョコレートの意味を教えてあげるよ」俺が組み伏せると彼が無邪気に笑った。
2012-08-02 03:01:28「浴室を花でいっぱいにしたよ」「湯船が棺桶に見えないか?」「やだな、二人の天国だ、ぐらい言ってよ。いつもと違って大胆になれるのが特徴だよ」僕から湯船の中で手を繋ぐと彼が微笑んだ。「なるほど。期待してもいいのかな」髪に花を挿してくれた彼が僕の顎をつまみあげると、湯面が大きく揺れた。
2012-08-03 06:08:58「やった、最後の一個だ」コンビニで蜜柑ゼリーに伸ばした手が人に触れた。「どうぞ、俺はいいですから」「でも限定品でなかなかないやつだし、半分こしませんか?」僕の申し出に彼がぷっと笑った。「いいですよ」イートインコーナーで寄り添い1つの蜜柑ゼリーを食べる僕たちを女子高生が囃し立てた。
2012-08-06 05:49:26息を切らし駅まで走ってきた僕を見て彼が怪訝な顔をした。「止めても無駄だ。俺は実家を継ぐ」「即答できなくてごめん。君を傷つけた。僕の一生をかけて償うから」「何もない田舎だぞ」「君がいればいいよ。僕決めたんだ」電車発車ベルが鳴る。同時に乗り込んだ僕を抱きしめた彼の頬に涙が零れ落ちた。
2012-08-07 04:22:22「いつもありがとうございます」憧れのカフェのマスターに声をかけられ、僕は慌てた。「こ、この人形可愛くて毎日見ないと落ち着かないんです」「君に愛されるとは幸福な人形だ。妬けるな」翌日カフェに行くと人形がなかった。「人形は家にありますよ。会いにきますか?」彼の誘いに僕は素直に頷いた。
2012-08-08 04:24:04僕は屋上で寝転がっている彼を覗き込んだ。「プレゼント本当に何もいらないの?」「おまえが側にいるだけで充分だ」「一緒に過ごす初めての誕生日だから記念になるような日にしたいじゃない」「じゃあ、俺に好きにされるってのはどうだ」ふっと笑った彼に抱きしめられた僕は耳元でいいよと呟いた。
2012-08-09 04:31:33プラネタリウムでの待ち合わせの目印は人形。彼を見つけた瞬間僕はぷっと吹き出した。「随分大きな熊だね」「持ってないから買ったんだ。なんでかプレゼント用に包装されて恥ずかしい」「責任は取るよ」こうして出会った彼と僕は同棲するようになった。覚えてるかな?僕は傍らに転がる熊に呟いた。
2012-08-10 05:40:58スポーツジムで彼と僕は喧嘩した。「テレビばかり観るなよ」「今しか時間ないんだもん」イヤホンをつけたとたん彼が僕の体を揉み始めた。「みんな見てるよ!」「マッサージしているだけだ。なんせ俺も時間がないもんでな」彼が凄く忙しい人だということを忘れていた僕は、ごめんと謝りテレビを消した。
2012-08-20 04:44:12僕は屋上で手紙を書いていた。「何書いてるの?」突然現われた彼に驚いた僕は手紙を隠した。「内緒!」「ラブレターか?顔真っ赤にして、恋する男って感じ。見せろよ」「やだ」「俺にも便箋頂戴。俺も書く」「え?好きな人いるんだ…」「恥ずかしがりやだけどな」と笑った彼が僕の顎を摘みあげた。
2012-08-21 04:25:10夕方のグラウンドに残るは二人だけ。僕は捻挫した彼の足を氷で冷やした。気持ちいいと、彼は僕にもたれた。「思い出すな、最初の出会いもこうだった」「あの時は、僕によりかかったりしなかったくせに」「ここまでくるのに色々苦労したもんな」「そうだね」僕がこつりとおでこをぶつけると彼が笑った。
2012-08-22 05:23:36ソファに横たわり僕の髪を撫でていた彼が呟いた。「雨が降るな」「なんで分るの?」以前からの疑問を口にすると、彼が笑った。「髪質が微妙に変化するんだ。毎日君の頭を撫でていた成果かな?」「僕、湿度計じゃないよ」「温度計でもあるんだぞ」彼にぎゅっと抱きしめられた僕の体温が一気にあがった。
2012-08-23 03:47:33