母ちゃんの怪談

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りん @hapihapirin

母方の本家の蔵に初めて入ったのは小学生の低学年の時。 その日は暑くて蔵探検をやめようと思った。 一緒に行くと言ったイトコは中学生で一人娘。 このイトコが「母さんが入ってもいいけど、あの箱だけは開けちゃダメだって」と言い出した。

2012-08-15 12:47:39
りん @hapihapirin

開けちゃダメ? そんなこと言われたら開けたくなるでしょーよ。と、低学年のくせに強気に言い放った私。 暑いのなんて気にならなくなり、もう頭の中はあの箱でいっぱい。 嫌がる弟の手を引き蔵の中へ入った。

2012-08-15 12:51:46
りん @hapihapirin

豪農だった本家の蔵には、大昔の長持ちやら甲冑やらあって、子供の私には恐ろしいものばかり。 その蔵の片隅に『あの箱』はあった。 どれくらい見つめていただろうか。 背中を押された感じでその箱に触った。

2012-08-15 12:58:06
りん @hapihapirin

・・・・・・? 別に何も感じないじゃない。

2012-08-15 13:00:47
りん @hapihapirin

その日の夜、夢をみた。 本家の敷地にある池の側の石に、綺麗な女の子が座っていた。 「ここに埋まってるの」 「ここに埋まってるの」 「ここに埋まってるの」 ハッとして起き上がった。

2012-08-15 13:09:43
りん @hapihapirin

ドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキ。 震えがとまらない。 夢の中の女の子はかわいくて怖いと思わなかったのに・・・。 私は起き上がり叔母の寝室に行った。 そして、夢の話しをした。

2012-08-15 13:13:48
りん @hapihapirin

叔母は笑いもせず、真剣に話しを聞いてくれた。 なぜか私はしゃくりあげながら何かに憑かれたように訴えた。 「石のどご掘ってみでけれ!」 翌日、叔母はスコップを持ち出し池の石の横を掘り始めた。

2012-08-15 13:18:43
りん @hapihapirin

ザク!ザク!ザク!ザク! 掘り進めてどれくらいたっただろうか。 『カチ!』と音がして叔母は手を止めた。 叔母の顔は真っ青だった。 (叔母さん・・・) 私の背中に汗が伝う。

2012-08-15 13:23:17
りん @hapihapirin

スコップを置き、必死に手で掘りはじめた叔母を茫然と見守る私。 「こごさあったのが!なしてわがらねがったんだべ!」 号泣する叔母。 出てきたのは・・・小さな小さな『骨』だった。

2012-08-15 13:36:30
りん @hapihapirin

それは、イトコの妹だった女の子の『指』だった。 一歳の時、不注意から指を伐採機で切り飛ばされ、それが元で亡くなったもう一人のイトコの骨。 蔵の片隅にあった箱には、その子の思い出が詰まっていた。 おもちゃのピアノやお人形・・・ 供養し箱も埋めてあげた。

2012-08-15 13:44:52
りん @hapihapirin

不思議な出来事だった。 ちなみに娘が生まれた時叔母が言った「そっくりだえな。枝津子に・・・」 まだ名前を言ってなかった私は本当に驚いた。 知らずに同じ名前をつけていたなんて・・・。

2012-08-15 13:51:04
りん @hapihapirin

あとがき。 私は小さかったのでこのイトコはまったく覚えてなかった。 小さい時に亡くなったし。 でも、娘にそっくりって言われてから何となく想ってしまう。

2012-08-15 13:54:58