ヨウカイスレイヤー第二話「ネオシラタマ炎上」#8
冥界、ネオシラタマの中心。スゴイヒロイニワの桜並木の果てに、その樹はあった。「これが……サイギョウ・アヤカシか」瀟洒なルームキーパー、イザヨイ・サクヤは巨大な桜を前に呟く。 3
2012-08-16 18:42:44「マリサ=サン、レイム=サン……無事でいてくれるかしら」サクヤはヨウカイのように巨大な桜に話しかける。ちらほらと花は咲き始めているが、未だ満開には遠いようだ。 4
2012-08-16 18:43:29「しかし、あの世では、『死んでしまうと素直に喋れない』というミヤモト・マサシのコトワザは通用しないのかしら」「あら、もちろんそんな言葉はなくてよ?」「!」桜の上から、ゆっくりと降りてくる存在あり! 5
2012-08-16 18:44:01「ドーモ、サイギョウジ・ユユコです」「ドーモ、ユユコ=サン。イザヨイ・サクヤです」「ネオシラタマはいつも、穏やかで賑やかなところよ」ユユコは扇で口元を隠す。その表情は伺えない。 6
2012-08-16 18:45:44「地上から春を奪ったからではないのか?」「あら、春は嫌いかしら?」ユユコは惚けた顔で聞き返す。「好きだからネオシラタマまで来たの」サクヤはナイフのような鋭さで返す。「今度は私の問いだ。なぜゲンソウキョウの春を奪った?」 7
2012-08-16 18:50:39「春ならどんなものでもよかったのよ。でも、まだ足りない……このサイギョウ・アヤカシを咲かせるのには」「咲かせてどうするの?その枯れた桜を」「探求心よ」ユユコは穏やかに、だが凛とした声で言う。 8
2012-08-16 18:52:46「探求心?」「そう。あの桜には何が埋まっているのか。何故咲かないのか。咲いたら……どうなるのか。その究極の真実、アルティメット・トゥルースに至るのが私の使命」「下らない。そんなちっぽけな満足を得るために、春を奪ったの?」 9
2012-08-16 18:53:39「ちっぽけ……」ユユコは溜め息混じりに呟く。「……サクラ、サクラ……」そして突然歌い出した!違和感のある、虚ろな歌声。「ヤヨイノー、ソラ、ハ……」「ユユコ=サン?」「……逃げなさい」ユユコは苦しそうに絞り出す。 10
2012-08-16 18:56:48「み、ミワタス……カギリ……」ユユコの周りに巨大な扇が展開されて行く!「ユユコ=サン!?」サクヤはナイフを構えた!「カスミカ、クモカ……」おお、見よ!彼女が背にするサイギョウ・アヤカシが咲き始めたではないか! 11
2012-08-16 18:58:10「ニオイゾ、イズル……サクラ、サクラ……」「……悪いけど、退けないわ。私の友人と、私のお嬢様のために」「花、盛り……。ドーモ、イザヨイ・サクヤ=サン。ロード・オブ・シラタマです」 12
2012-08-16 19:00:59「ドーモ。イザヨイ・サクヤです……ロード・オブ・シラタマ?」「我はネオシラタマの主。故にその名を名乗る」先程までとは違う、冷たく凍るような声でユユコは語る。「貴女の春を奪い、我は封印を解く」「それはさせない。私は地上で花見をすると約束したの」 13
2012-08-16 19:02:21「そう、残念ね。それならば奪うのみよ」サクヤは意を決し、叫んだ!「……春を返してもらうわ、姫の亡骸!」「わが復活の最後の一押しとなれ、悪魔の犬!」ユユコの体を、邪悪な桜色のオーラが包む!「イヤーッ!」物凄い量のダンマクが展開される! 14
2012-08-16 19:04:30「イヤーッ!」サクヤはかろうじて隙間を縫って回避!「この程度?黒幕のジツとしては大したことないわね」「……何を勘違いしているの?今のはジツではないわ。ただのダンマクよ」「……レミリア=サンに比べたら大したことはないわ」「強がりを。わが力の片鱗すら見ていないのに」 15
2012-08-16 19:07:16「我が力……知るがよい。ボウガキョウ・ジツ!イヤーッ!」ユユコのシャウトとともに、蝶の大群が舞う!「イヤーッ!」サクヤはナイフで迎撃!だが!蝶に触れたナイフが錆び付いてボロボロになる!「銀のナイフが腐蝕するなんて……!」 16
2012-08-16 19:09:44「我が蝶は死を招く。これが我の力、死を操る程度の能力!イヤーッ!」「イヤーッ!」サクヤのシャウトとともに、ユユコ目掛けて大量のナイフが飛びかかる!「これが、世界よ……!知りなさい、ユユコ=サン!イヤーッ!」 17
2012-08-16 19:16:48「残念ね」サクヤのナイフは、すべてユユコの展開した扇に突き刺さり……ナ、ナムアミダブツ!腐蝕!「銀も所詮物質。死には逆らえないわ」「……やってくれるじゃない、銀のナイフは高いのよ」 18
2012-08-16 19:21:17「値段なんか気にしなくても大丈夫」ユユコは威圧的に言い放つ!「すべては死の元に統一される。あなたも、あなたのお友達も。ゲンソウキョウもよ」「………!」「あなたのご主人様とやらも、死の前には無力よ。犬のように、ブザマに殺すわ」 19
2012-08-16 19:24:13「……レミリア=サンを愚弄したな」「いいえ、違うわ。万物を殺すのよ。我を封印した報い、すべての生きとし生けるものに降りかからせてあげる。それが新たな世界の理……ニューワールドオダーよ」ユユコは冷たく笑う! 20
2012-08-16 19:25:55「新しい世界、ね」サクヤも一緒に笑いだす!「あら、同意してくれるの?」ユユコも氷のように笑った。「あなたは私が止める。この命を賭けてもね」サクヤは一転、真剣な目をする!「どうやって?あなたのナイフは、我には届かないのに」 21
2012-08-16 19:31:56「命を賭ける、って言ったでしょう?」サクヤの体から無数のダンマクが展開される!「エターナルミーク・ジツ!イヤーッ!」エネルギーの塊の奔流によって、扇が砕けて行く!「イヤーッ!イヤーッ!」サクヤのシャウトがネオシラタマに響く! 22
2012-08-16 19:32:59「イヤーッ!ゴホッ、イヤーッ!」サクヤの口から一筋の赤い液体がこぼれ落ちる!血だ!エターナルミーク・ジツはサクヤの生命エネルギーをダンマクとして使う危険なジツなのだ!「イヤーッ!イヤーッ!」だが、サクヤは止めようとしない! 23
2012-08-18 13:33:41やがて扇が完全に破壊され、ユユコの体にダンマクが接近!「イヤーッ!」だが、ユユコは手に持った扇でエネルギー弾を破壊!ナムアミダブツ!「我がジツだけの弱者と思ったかしら?ならばカラテで勝負してやろう」 24
2012-08-18 13:34:58「何!?」ダンマクを掻い潜り、ユユコがワンインチ距離まで接近!「イヤーッ!」「グワーッ!」ユユコの拳がサクヤの腹部にめり込んだ!「グワ、グワァァァァァーッ!」サクヤはその衝撃に耐えられず、吐血しながら落下してゆく! 25
2012-08-18 13:36:13