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【SQ4】世界樹妄想日記 二周目【第一の大地-2】

第一ミッション開始なんだけど、一周目の連中と比べてスリルがない! バステ頼みの一発芸ってのは男の子だよな。 …まあ堅実なのはいいことかなと言い聞かせつつ。
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◯(仮名) @kamerimaru

「アテられるわね」「何がです?」「…女の敵って話」「いや、わからないです」「そこがよ」リンゴ酒を呷る。あたしの好みなんだけど。でも輸入ものだから高い。近場で安く仕入れられるといいんだけどな。まあ言えたものじゃない。飲まないとやってられるか。このド天然。「で、どうするの」「え」28

2012-08-19 12:00:27
◯(仮名) @kamerimaru

「三階の探索。他の連中も狙ってるけど」「…僕らがやれますよ」目を見る。自信の色があった。「そうね」あながちウソじゃない。あたしたちは、一歩先に三階へ入れた。戦後手当得意なリリのおかげで、行動範囲も広い。三階の賞金首に、一番近くにいるのは間違いない。…賞金首。「獣の王様は?」 29

2012-08-19 12:02:47
◯(仮名) @kamerimaru

「なんとかしましょう」目に自信の色がある。「馬鹿ね」「よく言われます」リンゴ酒を呷る。あいつら、まだ戻らないのかな。30

2012-08-19 12:03:46
◯(仮名) @kamerimaru

「なあリリ。まだか?」「ちょっと待ってくださいッス。もうすぐもうすぐ」ブラックタウロスのステーキッスよ。街で食べようとしたらもの凄い値段になるッス。この風んなかでも安心して調理できる、気球艇のキャビンに感謝ってとこッスね。ところで大きな仕事の前に腹ごしらえは冒険者の基本ッス。32

2012-08-21 22:36:00
◯(仮名) @kamerimaru

「うッス、仕上がりましたよー。香草ソースと、マスタードは好みで使って…あれ、クロロ君どうしたッスか?」キャビンの外、ぼっと眺めてるッスね…北壁?「ああ、あれ、見てたんです」「ああ、石碑ッスか」北壁に唯一開いた谷の、名物ッスね。緑の石碑。「獣王を倒したあとは、って考えてました」33

2012-08-21 22:42:58
◯(仮名) @kamerimaru

「…えらい自信ッスね。いや、そうじゃなきゃマズいのはわかってるんですが」切り分ける手が止まるレベルの衝撃っつーか、ほんとこの子、どんな心臓してるんスかね?「樹海を制覇したら、あの谷を抜けられるかもしれない。そうですよね」「そういう噂ッスね。…あの風が止まるんだ、とか」「ええ」34

2012-08-21 22:46:41
◯(仮名) @kamerimaru

「ま、噂は噂よ。…信憑性はあると思ってるけど。印術師の目から見ると、あの風、胡散臭すぎるわ」べったりマスタードを塗って(塗り過ぎッスよ!)ラナさん。「人間が作ったものなら、管理してるのが当然でしょ」「難しいことはわからないが、まあ、やってみるしかないんだろう?」「そッスねえ」35

2012-08-21 22:48:39
◯(仮名) @kamerimaru

「リリの治療師以外の数少ない取り得なんだし、早く食べてあげたら?」「はい。いただきます」「ちょ、ラナさんそれひどくないスか!?」「本当じゃない」「いや、十分だと思うぞ。私は剣を振るくらいしかできないようだし」「僕も…まあ冒険者以外は」「ソレ、微妙にフォローになってねッスよ…」36

2012-08-21 22:53:49
◯(仮名) @kamerimaru

「王には側近が付き物というわけだな」「いや、冷静に言ってる場合じゃないでしょ、これ」樹海の地下第三階。獣王ベルゼルケル(狂った戦士、とかいう意味らしい)の居座る大広間には、案の定というべきか、赤熊が数匹侍っていた。いや、ラナ。言い分も判るが、わたしに他にどうしろというんだ。38

2012-08-21 23:01:14
◯(仮名) @kamerimaru

「どーしたもんッスかねえ…これ、どうやったって挑んだら挟み撃ちッスよ?」そうなのだ。「地峡を使うとは熊ながらさすが王…」「難しい言葉使ってるけど、熱でもある?」「いや、健康だが」「ならいいけど」獣王の居座る場所は極めて狭い。踏み込んだが最後、他の熊に挟撃を受けることは必至だ。39

2012-08-21 23:05:19
◯(仮名) @kamerimaru

「一匹一匹なら相手はできるが、二匹に、さらに強力だろう獣王か。厳しい戦さになりそうだな」「いやなんで正面突撃前提なんスか」「そうですね。…冒険者らしく攻めてみませんか?」「ん?」クロロの指すほうを見る。あれは、「蜜の樹の壁?」「ええ。この階層、まだ広いんです。もしかすると」 40

2012-08-21 23:08:18
◯(仮名) @kamerimaru

「なるほど」思わず笑顔がこぼれた。クロロ、剣士にしておくには勿体ないんじゃないか。「そういうのも面白そうじゃないか」「…リラックスしてきたら脳味噌血走ってるわね。あんた」「どういう意味だ?」「やる気があるっていってるの」「もちろんだ」「…勝てそうな気がしてきたッスね、これ」 41

2012-08-21 23:10:19
◯(仮名) @kamerimaru

あとは…まあ、多少というか、大変に疲れた。だいたいいつも、蜜の樹を壊させるときはこうだ。走るのが苦手なんだ仕方ない。疲れはしないが、私は足が遅い。もっと走り込まなければという気になるが…まあ、ともかく。クロロのたくらみは図にあたることになる。42

2012-08-21 23:11:48
◯(仮名) @kamerimaru

狭い通路の先にあったものは、僕の探していたもの、だった。ラナさんの言葉を借りるなら、絶対にある筈の制御装置。北の谷と同じ印が刻まれた石版。逸る胸を抑え込む。飛び出したここは、気が抜ける場所じゃないのだから。「気付かれたッスよ!」「当たり前のことを言わない!」「行きます!」 44

2012-08-21 23:24:36
◯(仮名) @kamerimaru

ゆっくりと振り返る獣王、桁外れに巨大な熊。ベルゼルケルは、むかし、父さんから聞いたことがある。熊の毛皮を被って戦う、神がかった戦士の名前だ。辺境伯のセンスも凄いと思う――帰ったら一言くらい伝えたい。迷宮の天井に届くほどの巨大な姿は、絶望感を煽る。でも、そこに僕らの勝機がある。45

2012-08-21 23:32:10
◯(仮名) @kamerimaru

「逃がさないでください!この攻め口で釘づけにしておけば…」「やつの巨体で、援軍は来ないというわけだな!わかりやすくていい!」ミリアムさんが走り出す。おっとりがたなでリリさんも。ラナさんが目配せして、印を結び始める。氷の加護を生む聖印。やることは単純だ。誰より速く切り込むだけ。46

2012-08-21 23:32:58
◯(仮名) @kamerimaru

皆で戦い続けて、ようやく呼吸がわかってきた。僕が切り込んで、ミリアムさんが崩す。リリさんが立ち回って(一番苦労させてる気がする)、ラナさんがまとめる。獣王ベルゼルケル。それがどうした。赤熊の戦力は知ってる。僕らがまともに戦えるなら、その親玉くらい何だ! 敵じゃない! 47

2012-08-21 23:39:18
◯(仮名) @kamerimaru

駆けこみ、一太刀目を打ち込む。仕込んだ呪印が光を放つ。白く一直線に、分厚い毛皮へ霜の切り口。苦悶の咆哮。そのまま転がるように横へ跳ぶ。空けたスペースにミリアムさんが駆け込んでくる。大上段からの力強い撃ち下ろし。暴れ狂う獣王。だけど、リリさんがいる。治癒術が僕らを支えてくれる。48

2012-08-21 23:46:10
◯(仮名) @kamerimaru

二太刀目、三回転。いつしか無心に。ひたすらに回転する車輪のように。僕らは、勝つことを疑わなくなってゆく。いつかこの剣は、はるか壁を超えて、冒険者たちの目指す場所へ届くだろうと――。49

2012-08-21 23:47:33
◯(仮名) @kamerimaru

辺境伯の賛辞は、ひどくくすぐったいものだった。こういう場には慣れてない。ただまあ、あたしたちが手柄首をあげた(変な言葉遣い。ミリアムのせいだな)という実感が、ようやく湧いてきたわけで。祝杯だわね、今夜は。あたしたちの勝利と、北の大地への第一歩を記念して。 51

2012-08-21 23:50:22