◇ヤンデルとクルッテル◇第三幕

カフェケイネス(@cafe_z_kayneth)さんの フォロワー300人突破、雁子(@nyokariya)さんのフォロワー500人突破記念の合同企画です。 詳細はこちら→ http://cafezero44.blog.fc2. com/blog-entry-10.html 第一幕→ http://togetter.com/li/357310 第二幕→ http://togetter.com/li/357797
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@nyokariya

【召しませ成れの果て】 得る為に得たもの 終わらせる為に終わらせたもの 亡くす為に亡くしたもの 解こうともがいた細糸は絡まり、やがてだまになって棄てられる。 端すら見つけられぬ現状は、もう切ってしまう他ならない。

2012-08-18 21:32:32
カフェケイネス @cafe_z_kayneth

カリコ、カリコ!まあ、すごいわ! (絵本の様な世界が、ありえない世界が広がっている。姉妹は突如現れたお菓子の家に夢中で) (姉は大きく背伸びをして窓ガラスを割った。それは氷砂糖で出来ており。菓子どころかまともな食事すらままならない少女は割った氷砂糖に執拗にかじりついた)、

2012-08-18 21:47:41
@nyokariya

おかし!ぜんぶ、ぜーんぶ!おかし! (壁掛け飾りの焼き菓子とゼリービーンズをむしり取る。どういう仕組みで焼きたてなのかはわからないが、とにかく焼きたてらしく焼き菓子を口に含めば甘さと柔らかさに蕩けそうにさえなった) (ビーンズの色鮮やかさはそれだけで子供を夢中にさせる)

2012-08-18 21:53:15
カフェケイネス @cafe_z_kayneth

(夢中で菓子を頬張る姉妹今日が始まってから恐らく一番幸せそうな表情で。年相応のまろい頬はふくふくと甘い幸福に緩み) とびらは、チョコレートかしら! (ぱきりと小気味良い音を立てて扉の端を砕く。口に含めばチョコレート特有の甘さが広がり。故に自分に近付く存在に暫し気付かなかった)、

2012-08-18 22:19:50
@nyokariya

【おやまぁ、可愛いお客さんだねぇ。御入り、中にはもっとおいしいものがあるよ】 (不意に内側へ開いたチョコレートの扉。全身を黒衣で包んだ、皺くちゃの老婆が二人を生クリームのように滑らかで優しい声で誘う) !ほしい!(彼女は何も疑うことなく家の中へと駆けていく)、

2012-08-18 22:25:26
カフェケイネス @cafe_z_kayneth

!カリコ、まって! (チョコレートに夢中になりすぎたか妹の声でようやく老婆の存在に気付く。走る妹の後を追い家の中へと) (中は菓子ではない事に微かに落胆するも内装も確かに絵本の世界の様で。此処が終着点かしらと何故かぼんやりとそう感じた)、

2012-08-18 22:32:41
@nyokariya

【ふふふ、すまないねぇ。こんなものしかないんだ】 (そうやって老婆が運んできたのは、バスケット一杯のお菓子。確かに外装ほど量はないが、それでも目を釘付けにするのには十分な量だ) (テーブルに手を付き、ぴょんぴょんと彼女は楽しげに跳ねる)おかし!たーくさんっ、なの!

2012-08-18 22:39:17
@nyokariya

(内装をぼんやりと見ているだけの姉と自分の運んできたお菓子に夢中な妹) (どちらが可愛いかは明白なもので、老婆は枯れ枝のような手で妹の髪を梳きながら歌うように) 【さぁ奥へおいで。綺麗な宝石もあるんだよ】 ほーせき!きらきら、すき!みたい!、

2012-08-18 22:43:14
カフェケイネス @cafe_z_kayneth

(妹が老婆の甘言に夢中になるのを何となくむすりと不満気に横目で見る。今まで自分一人で独占していた妹が自分にわき目もふらず他に夢中になる。それが気に食わなかった) (ふと老婆の背後に烏が控えているのが目に入る。痩せ細ったその烏は目ばかりがぎらぎらし此方を見据えにんまりとしたような)

2012-08-18 22:46:25
カフェケイネス @cafe_z_kayneth

…わたしをみないでよ、みないでってば!! (妹を横取りされた腹いせからポケットにあった小石を幾つも投げつける。ひらりと躱す烏に一つが命中し烏は地に落ちた) なによ、なによなによなによ!! (ばたりと地に落ちた烏にナイフを突き立てる。ぐええと醜く一鳴きした烏はあっけなく息絶える)、

2012-08-18 22:51:12
@nyokariya

?おねえ、ちゃん? (数十秒前の出来ごとなんて知らない妹が、きょとりと首や腕に煌びやかなアクセサリーをかけながら戻ってくる) (途端、鴉の死骸が目に入りぎょっとしながら姉と鴉を何度も見比べ、ぺたり。その場にへ垂れこみ拍子で棚の上の羊皮紙がぱさりと死骸の上へと舞い降りた)

2012-08-18 23:00:56
@nyokariya

(羊皮紙の字体は嫌でも覚えている。あの"食事会"と全く同じ字体) (ところどころ掠れて読めやしないが、姉妹の名前と、"あの因果"についてははっきりと読み取れた) (妹の左目が消失した際、姉が強く望んだ自己犠牲。その願いによって、妹が死亡する因果は姉に全て辿りつくという内容)、

2012-08-18 23:04:45
カフェケイネス @cafe_z_kayneth

(はーっはーっ、と荒い息を吐きつつ烏の血に濡れたナイフを抱える。死骸の上の羊皮紙に目を通しない様に目を見開いた。やはり、やはりこれは呪い) …あんたの、あんたのせい、よ、 (声が、手が、身体が震える。丸い瞳からぼたぼたと涙が零れ。視線を羊皮紙から老婆へとゆっくり動かした)、

2012-08-18 23:10:26
@nyokariya

?おねえちゃん、ねぇ、おねえちゃん!どうしちゃったの! (腰が抜け、立ちあがるだけで何度も何度も転びそうになった。それでも、姉の異常を止める為には立たざるを得ない。) (――――――ちがうの、) (ひし、と姉の腰にしがみつくが溢れ出る怒気を前にしてはどうしても力が緩む)

2012-08-18 23:13:32
@nyokariya

【おやおや?喧嘩かい?駄目だよ、仲良くしないと…】 (姉妹のためにと新しいパンでも焼こうとしていたのだろうか、竈の中に薪を組んでいた老婆が遠くから声をかける) (こちらに背中を完全に向けていた老婆に、こちらの様子は見えない)、

2012-08-18 23:16:18
カフェケイネス @cafe_z_kayneth

ぅ、ああああああああああ、!!!!! (妹の左目を食い潰し自身に呪いをかけ。それを施した張本人が燃え滾る竈の前で背を向けている。ほぼ錯乱した少女は喚きながらもただ老婆の背に突進した) (老婆が頭から竈へと放り込まれる。薄くなった髪が皺だらけの顔が炎に舐められちりちりと燃える)

2012-08-18 23:24:59
カフェケイネス @cafe_z_kayneth

(生の人肉が焼かれる臭いが菓子の家に充満する。未だぴくぴくと微かに動く老婆の身体を足でぐいぐい蹴り、更に更に竈の奥へと押し込む。身に纏っていた黒衣もからからに乾いた枯れ木のような身体も燃え盛る炎に舐められ包まれ) ………ぁ、は、 (竈からふらりと数歩下がりふと足元を見れば、)、

2012-08-18 23:29:33
カフェケイネス @cafe_z_kayneth

(お気に入りの革靴に小さく揺らめく橙の炎。それは見る見るうちに足を包み脹脛を上り。だが脳内麻薬でも出ているのか痛みも熱さも感じず。嗚呼次は何処からやり直すのだろうと) (その間にも炎は身体を包みもう殆ど何も見えない。次はもう少し上手くやるね、と視界の端で妹の姿をとらえそのまま、)

2012-08-18 23:38:06
@nyokariya

(姉の身体が緋色の焔に焼かれて逝く) (しかしそれを理解するには、妹の頭が些か足りなさすぎた) (焼かれる藍色と焦げる肉、血潮が竈にへばりつき酸素を含んだソレが黒に変わる状況。自慢の星色の髪は、随分前に焼失してしまった)

2012-08-18 23:45:42
@nyokariya

(それでも妹はただ笑って、"遊んでいるように見えた"姉の真似をしているばかり) (そうして、幾許かの太陽と月が巡った)

2012-08-18 23:47:23
@nyokariya

(粗末な墓と、粗末な供物。子供が死んだ犬でも埋めたかのような、墓とも呼べない墓が森の奥深くにある) (眼帯の少女は砂を払い、そっと手を合わせる。墓石の下に埋められるべき、遺体は無い) (掠れて読めなかった、あの羊皮紙の文面。老婆に連れられ、部屋の奥に誘われた妹は知っていた)

2012-08-18 23:52:14
@nyokariya

("彼女"が鴉を殺した段階で、"彼女"を苦しめていた"因果"は解き放たれていた事実) (とどのつまり、魔女の正体は老婆ではなく鴉そのもの。鴉を殺害した段階で、"因果"は全て解かれていた子供らしい、無邪気で無知で愚かしい誤ち) (手向けの花を添えながら、妹は風に髪を靡かせる)

2012-08-18 23:56:12
@nyokariya

(小さな家屋から、彼女の愛おしい父親が自分を呼ぶ) (大好きな大好きな父親が、ようやっと帰って来たのだ。無理もない) (彼女は墓前から立ち上がりながら思う、ずっと疑問に感じていたあの事を。再度、何度でも。無知故に繰り返す) ねぇおねえちゃん、なんで、なんかいもしんだの?

2012-08-18 23:59:04