一色登希彦さんの『スペインの侵略とアステカ文明の終焉について』の論考』

とても興味深かったのでまとめさせていただきました。 私も、原発事故とそれに対するさまざまな反応は、日本の文明の終わりを予感させるという危機感があります。
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一色登希彦 @ishikitokihiko

「彼らの言うことを聞かないと、何かと面倒なことになるかも知れませんよ。いや、私はもちろん中立で、あなたのために言ってるんですけどね。」と言いつのっている者が、もっとも「彼ら」を手助けしている者だ。 始末に負えない。そしてこの「たたずまい」に我々は明瞭な名前を付けきれていない。

2012-08-22 18:42:42
一色登希彦 @ishikitokihiko

再】人間には、自身と大切な者の健康と生命を守る権利がある。その権利を阻害する言動は、それでもこれを思想言論の自由として保証するべきなのか。根幹が揺れてクラクラする。アステカ文明が「彼らの言動の自由」を尊重したことでそのスペイン人に滅ぼされたことを「正当な所作」とすべきなのか?と。

2012-08-22 18:44:41
一色登希彦 @ishikitokihiko

↓確かに発信に区切りをつける潮時かもしれない。区切りのつもりで、「滅び行く文明」の話と「それでも希望を何処に見いだすのか」の話を綴ってみる。これは自分が太古の昔にゼミと卒論で柄にも無く絞り出した論考の再考です。こんな主題を蒸し返すことになるとは(笑)。

2012-08-22 18:54:49
一色登希彦 @ishikitokihiko

続)論考の元本にするのは、ツヴェタン・トドロフ『他者の記号学―アメリカ大陸の征服』 http://t.co/Kmzzt7AE とグレゴリー ベイトソン『精神の生態学』 http://t.co/QRWjFSpE

2012-08-22 19:00:49
一色登希彦 @ishikitokihiko

続)↓2冊とも、とても元本を繙きながら紹介出来る分量ではないので、他の方の「読書緑」を引用させてもらいながら紹介したい。『他者の記号学』はこちら http://t.co/9vbWf1Lz を元に話を進めるけれどそれでも大ボリューム。

2012-08-22 19:06:48
一色登希彦 @ishikitokihiko

続)さらなる要約の書評といえるこちらも参照してみて下さい→文芸評論家・加藤弘一の書評ブログ : 『他者の記号学―アメリカ大陸の征服』 トドロフ (法政大学出版局) http://t.co/uFWBnSpq

2012-08-22 19:08:23
一色登希彦 @ishikitokihiko

続)著者のトドロフさんは、ロランバルトに学んだフランス現代哲学の系譜の方。『他者の記号学』は、コロンブスに始まりスペイン人らがいかにアステカ文明を滅ぼしたかを詳細に綴った文明論。(すげえ大雑把に言いますよ以後も全部、ツイッタだから)

2012-08-22 19:15:28
一色登希彦 @ishikitokihiko

続)『他者の記号学』の大きな主題のひとつは、「なぜ、隆盛を誇っていたアステカ文明が、数では少数のスペイン人の軍に滅ぼされたのか?」である。(この主題は自ずと「文明の滅亡は、滅亡の渦中に居る者には、よほどの視座を持たない限りは不可視」という前提を伴っている)

2012-08-22 19:22:18
一色登希彦 @ishikitokihiko

続)『他者の記号学』は4章構成。 Ⅰ 発見(コロンブスが他人の土地に土足で踏み込む)・Ⅱ 征服(コルテスらがやりたい放題のアステカ征服)・Ⅲ 愛(非道い事してごめんね!僕らのキリスト教の許に優しくしてあげるね)・Ⅳ 認識(滅ぼしちゃったけど、あの人たちも人間だった…)。括弧は俺訳

2012-08-22 19:32:11
一色登希彦 @ishikitokihiko

続)コロンブス(書内では「コロン」と表記)のトチ狂いっぷりは史実を見ても枚挙暇無しだけど、辿り着いたキューバの島をアジア大陸と信じたいがあまりに「それに反するような情報はすべて取り除こうと決意する」下りがすごい。島(キューバ)の人々が「ここは島です」と言っているのに聞かないのだ。

2012-08-22 19:40:59
一色登希彦 @ishikitokihiko

続)”もちろんそれは彼(コロン)にとって都合の悪い情報なので、彼(コロン)は情報堤供者(島の人々)の資格に異義をとなえ出した。” コロン(ブス)は次のように決めつけたと言う。

2012-08-22 19:44:43
一色登希彦 @ishikitokihiko

続)コロンブスいわく「そのものたちは、けだものに近く、全世界は一つの島と考えており、大陸とはどういうものかも知らず、文字も昔の記録ももたず、楽しみといえば、食うことと女と寝ることだけで、だから彼らは島だといっ て…」。あげく、コロンブスは同行の航海者たちに次のように誓わせる。

2012-08-22 19:47:39
一色登希彦 @ishikitokihiko

続)コロンブスが仲間に誓わせた事。俺要約「まぎれもなく、ここは島ではなく大陸。この海岸に沿って進めば、数里先には、文明の人、世界を識りし人びとの国がある(と誓え)。…これより、この誓いに反した者は、高額の罰金または舌切りの刑。見習い水夫は、百叩きの笞刑および舌切りの刑だぞ!」

2012-08-22 19:54:03
一色登希彦 @ishikitokihiko

続)↓この要約の元はこのリンク http://t.co/8USU85qo の最下段にある。自分が(キューバ)島に上陸して邂逅した島の人々が「ここは大陸ではない」と言うので「未開人認定」をし、「も少し行けば文明人が居るからこいつら無視な」と同行の航海者仲間に統制をかけたのだ。

2012-08-22 19:59:37
一色登希彦 @ishikitokihiko

続)「到達すべき結論がコロンによる自然界の記号解釈を前もって決定しているのだ。」とある。…事前に決めた結論に寄せて自然界を記号解釈する、つまり目の前の現実を記号(=フィクション)に寄せる。「自分の中のフィクション」をごり押しする術をコロンブス(ヨーロッパ文明)は持ち込んできた。

2012-08-22 20:06:03
一色登希彦 @ishikitokihiko

続)『他者の記号学』Ⅰ 発見、はコロンによる他文明への無理解っぷりに終始する。「このように、コロンは、原則的な平等をふくむ同化主義から、奴隷制擁護のイデオロギーへ、そして結局は、インディオの劣等性の断言へと地すべり的に移行する。」 http://t.co/w32xtYi5 の中段

2012-08-22 20:16:22
一色登希彦 @ishikitokihiko

続)コロンのとった筋道の末路は、「すでにキリスト教徒でない者は奴隷でしかありえないということ、つまりそれ以外の第三の道が存在しないということである。」(同じく http://t.co/w32xtYi5 中段)

2012-08-22 20:18:04
一色登希彦 @ishikitokihiko

続)「II 征服」では、「数百人の部下を率いた(スペイン軍の)コルテスが、数十万の兵士を擁するモクテスマの(アステカ)王国をまんまと占領してしまった」(←論者さんの文)その謎の解明になる。つまり「一切はマヤ人とアステカ人がコミュニケーションを支配する力を喪失したために起こった」と

2012-08-22 20:27:21
一色登希彦 @ishikitokihiko

続)トドロフ氏の自問「インディオはどうしてもっと反抗しなかったのか、植民地化というコルテスの野望に彼らは気づかなかったのだろうか」への自答→「インディオは、すでにアステカ族によって征服され植民地化されていたために、征服というコルテスの狙いをさほど気にも止めていなかった」のだと。

2012-08-22 20:31:37
一色登希彦 @ishikitokihiko

続)「彼ら(インディオ)は(征服目的でやってきたスペイン人)コルテスを絶対的悪の化身どころか、身近であるがゆえにいっそう憎しみのつのる圧政のくびきをはねのけてくれる解放者として、あるいはそのための必要悪として(いろいろな面で問題はあるものの)見ているのである。」と。

2012-08-22 20:37:13
一色登希彦 @ishikitokihiko

続)トドロフ氏「征服者(コルテスらスペイン人)は(既存の支配者である)アステカ人のまねをしているにすぎないのだ」。 支配者たる「少数」に新たに成り代わるなら、確かに「少数」の軍隊で足りたわけだ。 そこにヨーロッパ的「記号のコミュニケーション」が駄目押しで力を添える。つまり・・・

2012-08-22 20:44:51
一色登希彦 @ishikitokihiko

続)トドロフ氏「(インディオは)彼らの時間と能力の大部分をお告げの解釈についやしており、またこの解釈が、驚くほど入念な、諸種の占いの形式をとっている」→「コミュニケーションには二つの大きな形式、一つは人間対人間のコミュニケーション、他は人間対世界のコミュニケーションがある」

2012-08-22 20:51:09
一色登希彦 @ishikitokihiko

続)「インディオはとくに人間対世界のコミュニケーションに努め、スペイン人は人間対人間のコミュニケーションに努めている」このことが、アステカがたやすく滅亡した理由だと。インディオにとっては世界(神)が彼らを滅ぼしに来たので為す術無く、スペイン人はただ(劣った)人間を滅ぼし落とした。

2012-08-22 20:56:34
一色登希彦 @ishikitokihiko

続)一方、征服される側のアステカの支配層はどうしていたのか? 「(スペイン軍)コルテス一行が上陸したとき、(アステカ王)モクテスマはいちはやくその情報をキャッチする。このような知らせは当然使者もしくは臣民が持ってくるわけだが、モクテスマ はこれを処罰するのだ。」だそうだ・・・。

2012-08-22 21:02:57
一色登希彦 @ishikitokihiko

続)「モクテスマは(報告が自分にとって不利なものであることを知って)怒り狂い、老魔術師を永久に牢獄につないでおけと命じた」。結果「神殿の神官たちの間ではモクテスマにはもうこれ以上なにもいうまいということで意見が一致した」…せっかくの危機把握システムがいざ作動したら封じられたのだ。

2012-08-22 21:09:35
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