ツイッター百物語4

ツイッター百物語のまとめです
3
渋江照彦 @shibue827

込宮宴様、有難う御座います。 続きまして第十九話/鈴子様 @rinko_m お願い致します。 #twkai

2012-08-24 03:43:40
込宮宴 @komiyayen

「猫でも恩義は感じるんですね、自分が死んだのに、病気で苦しんでる主人の側で寄り添うんだから。」とAさんは語りました。彼女の家には現在、シャム猫が新しく家族に加わっているといいます。(了) #twkai

2012-08-24 03:41:50
込宮宴 @komiyayen

旅行を終えて家に戻り、息子夫婦に夜に猫が来たことを言うと、ひどく驚いた顔をして動揺したのです。それを奇妙に思って問いただすと、息子さんはためらった後、Aさんが旅行中に猫が急に死んでしまったことを告げました。その時間帯というのが丁度、Aさんが猫を見た頃だというのです。#twkai

2012-08-24 03:40:43
込宮宴 @komiyayen

大丈夫だから、心配しなくてもいいから、Aさんはひたそう猫に向かってつぶやき続けたといいます。そして気が付くと、朝になっていました。どうやらいつのまにか寝てしまったようです。胸の上にも部屋にも、猫などいませんでした。 #twkai

2012-08-24 03:39:00
込宮宴 @komiyayen

恐る恐る目を開けると、そこには、家で飼っている猫がいたといいます。猫はAさんをじっと見つめていました。ああ、私を心配した猫が見に来てくれたんだと、そう思ったそうです。大丈夫、と言ってみましたが猫は何の反応もなく、ただAさんを見つめるだけでした。 #twkai

2012-08-24 03:37:42
込宮宴 @komiyayen

だから、それが何時頃のことかもわからないそうです。寝室が真っ暗だったから、少なくとも深夜ではあったと思われます。Aさんは胸が苦しくなって、目を覚ましました。病状が悪化したのかと思って肝を冷やしましたが、やがて、胸の上に何かが載っているせいだと気が付きました。#twkai

2012-08-24 03:36:41
込宮宴 @komiyayen

親戚のAさんの話です。Aさんは夫に先立たれ、息子夫婦、そして猫とともに暮らしていました。ある時Aさんは友人と旅行に行ったのですが、旅先で熱を出して寝込んでしまいました。ホテルのベッドで寝ていると、熱で朦朧として、時間の感覚もわからなくなったといいます。 #twkai

2012-08-24 03:35:28
渋江照彦 @shibue827

うゆー様、有難う御座いました。 続きまして第十八話/込宮 宴様 @NAKA_Disk お願い致します。 #twkai

2012-08-24 03:32:25
詩舞澤沙衣@セルフ夏休み @Confeito_Dragee

--スラム街で、一人語りを続ける女の顔を覗きこむ。女は私の視線に気づかず、男をひたすらに賛美する。女が愛しそうに弄んでいるのは、ただのおもちゃの硝子玉。 それでも彼女は、とても活き活きとしていて、幸せそうだった。……ただ、私には彼女が醜女としか映らなかった。(終) #twkai

2012-08-24 03:31:34
詩舞澤沙衣@セルフ夏休み @Confeito_Dragee

わたしは、彼の眼球を所望しました。 父はまだ温もりのある物体をわたしにくれました。 〈もう二度と、この門をくぐるな。〉 そう、いい伝えて。わたしは、彼の眼球だけを慈しむことで、生きているのです。 彼がかつてわたしに教えてくれたことばを反芻しながら。 #twkai

2012-08-24 03:30:15
詩舞澤沙衣@セルフ夏休み @Confeito_Dragee

しかし、納得いかなかったのは、彼の態度です。 彼は父に手紙を書いて、必死にわたしの狂人さを強調しました。 彼はもはやわたしを愛してはくれていなかった。 #twkai

2012-08-24 03:29:37
詩舞澤沙衣@セルフ夏休み @Confeito_Dragee

落ちた眼球を拾う間もなく、父に呼び出されました。 父はわたしが発狂したと思ったそうです。 そう言われてもしかたない。 わたしがここまで何も言われずに育てられたことが奇跡だった。 #twkai

2012-08-24 03:29:19
詩舞澤沙衣@セルフ夏休み @Confeito_Dragee

ごとり、と眼球が落ちた音。 思わず、床を這いずりまわるわたし。 彼は立ち尽くしたまま、なにも言ってはくれませんでした。……後で聞いた話ですが、どうやら振り回したナイフが、口腔までも傷つけたらしい。 彼は声が出なくなってしまったのです。 #twkai

2012-08-24 03:28:40
詩舞澤沙衣@セルフ夏休み @Confeito_Dragee

〈人間の目は2つあって、1つだけでもある程度までものが見える。〉 そう優しい声で言った彼を思い起こしながら。 ナイフを彼の目にいれたのです。 ……彼は飛び起きました。 わたしも驚いて思わずナイフを振り回してしまいました。 #twkai

2012-08-24 03:28:04
詩舞澤沙衣@セルフ夏休み @Confeito_Dragee

ある日、わたしは彼の眠っているのを待ちました。 彼の寝息を聞きながら、わたしは慣れないナイフに四苦八苦しました。彼の眼が欲しかった、他の誰のものでもなく。 彼の眼でなければ、彼の見た世界はきっと見れないだろうから。 #twkai

2012-08-24 03:27:22
詩舞澤沙衣@セルフ夏休み @Confeito_Dragee

彼のことばなくして、わたしには思惟は存在しなかった。彼の見せる世界しか、わたしにはない。嗚呼、わたしはただ彼の見る世界が欲しかった。彼の見る世界が見られたとしたら、わたしは〈ほんとう〉を知ることができる気がした。目が見えれば、きっと〈愛〉というものも確かめられた。 #twkai

2012-08-24 03:26:13
詩舞澤沙衣@セルフ夏休み @Confeito_Dragee

彼は言います。 〈君は美しい。愛している〉 しかしそれは外側の世界の話。 わたしにとっては、どこまでいっても〈蚊帳の外〉なのです。 わたしにとっては、彼のことばが意味を失いかけていました。 わたしには、何もない。からっぽ。空虚。 #twkai

2012-08-24 03:25:15
詩舞澤沙衣@セルフ夏休み @Confeito_Dragee

そうやって、彼はわたしに世界を教えてくれました。 いつも彼は、世界のどこかを見ている。 わたしは〈嫉妬〉しました。 そんな自身の〈感情〉を〈嫌悪〉しました。 そんなに素敵な世界であるならば、わたしなど要らないのではないか、とすら思いました。 #twkai

2012-08-24 03:24:56
詩舞澤沙衣@セルフ夏休み @Confeito_Dragee

わたしはいつものように尋ねました。〈ねえ、愛しているってなあに〉彼はことばを重ねて、わたしに説明してみせるのです。 今まで教えてくれた概念でもって、ことばでもって、説明するのです。 ようやく私が〈愛〉ということばを理解した頃には、すっかり私は彼を愛していました。 #twkai

2012-08-24 03:24:34
詩舞澤沙衣@セルフ夏休み @Confeito_Dragee

愛。そのことばを説明する時に、彼はわたしに言ったのです。 〈僕は君を愛している〉 わたしの齢は十の頃。 彼は若い頃からわたしを教えていましたが、十五は歳が離れています。 わたしは彼を慕ってはいました。しかし、それは恋愛感情ではなかった。 #twkai

2012-08-24 03:23:55
詩舞澤沙衣@セルフ夏休み @Confeito_Dragee

彼のことばの教授は、より観念的な世界の話にまでおよびました。 退屈。平和。怒り。喜び。 そんなことばの意味を、実感をもってわたしに理解させてくれました。 #twkai

2012-08-24 03:23:27
詩舞澤沙衣@セルフ夏休み @Confeito_Dragee

彼は、寺子屋で一番教えるのが上手だと評判でした。言葉遣いも丁寧で、身分が低かろうと身なりさえ整えばそれらしい振る舞いもできる。父からすれば、この上ない人材であったでしょう。幼い頃から彼のことばを聞いているので、きっと言葉遣いも彼の言い回しに似ているかもしれません。 #twkai

2012-08-24 03:22:57
詩舞澤沙衣@セルフ夏休み @Confeito_Dragee

そうそう。彼がどんな人物であったのか、を語ることを失念しておりました。わたしが貴族の娘として大切に育てられていた頃、彼と出会ったのでした。わたしは産まれながらのめくらでしたから、この世についてほとんど知らなかった。父はわたしのために家庭教師として彼を雇いました。 #twkai

2012-08-24 03:21:40
詩舞澤沙衣@セルフ夏休み @Confeito_Dragee

わたしは、あれらの言葉たちを他の誰にも言おうとは思いません。 わたしの記憶の中で閉じ込めて仕舞いたい。 わたしだけの宝物としてしまいたい。 心というのは、この世のどこよりも密閉された空間なのです。 そう、密室です。 #twkai

2012-08-24 03:20:36
詩舞澤沙衣@セルフ夏休み @Confeito_Dragee

例えば、赤。夕焼けの赤。林檎の赤。炎の赤。それらの違いを、巧みに表現してみせたのは彼だけでした。唄うように、軽やかに言い放った言葉たちは、わたしの中で沈殿します。 〈夕焼け〉〈林檎〉〈炎〉などという単語を聞くと、ふっと思い起こすのです。 #twkai

2012-08-24 03:19:55
1 ・・ 7 次へ