「ヒー・コールズ・イット・”ニンキョ”」♯3
醜い言い争いを続ける2人をよそに、ブラックヘイズはIRCモニタを睨んでいた。なるほど、非ニンジャにしては異様な強さだ。老人はイアイドーのタツジン、グレーターコンビは強烈なヤクザカラテとサイバネ散弾銃、もう1人は熟練ショウギプレイヤーめいたサポート…盤石のパーティだ。21
2012-08-24 22:30:32これでは指揮官不在のクローンヤクザなど何体居ようとカカシと同じ事。彼はヤクザに対する認識を改めた。非ニンジャとしては最強…だが、ニンジャの前では?「オラー!」「稟議!」「ドラー!」「上司!」「ソラー!」「予算!」ブラックヘイズが装備を点検する。程なくして出番だ。22
2012-08-24 22:36:04「イアイ!」SLASH!「「チェラッコラー!」」ZZDDOOMM!「…」BLAM!「イアイ!」SLASH!「「ヴォラッケラー!」」ZZDDOOMM!「…」BLAM!クローンヤクザは全滅、対する4人は無傷…ではないものの致命傷は皆無!ゴウランガ、ヤクザは強い!24
2012-08-24 22:44:31酸化し赤くなったバイオ血液が、オレンジの照明に紛れた。ボスパンダは間も無く逃走するだろう。その前に追い詰め、セプクを強いる。「ホレ行くぞォ…ボサッとしてんじゃねェや」「「「ヘイ!」」」返事をした瞬間、マゲヒサとサゲヒサが宙を舞い、アメリカンクラッカーめいて頭蓋を衝突させた。25
2012-08-24 22:49:36「何だァ…!?」リュージがタイゾウの驚愕を見たのは、これが初めてであった。人の形をした影が腕を振ると、マゲヒサ・サゲヒサが左右に吹き飛ばされ、壁に激突!「ご老体。大層なワザマエ、実際感服いたしました。…ドーモはじめまして。傭兵ニンジャ、ブラックヘイズです」26
2012-08-24 22:54:52「ニンジャナンデ…?」声を上げたリュージの頭を、タイゾウがカタナの鞘で叩いた。「アホッ!…ご丁寧なるお言葉、痛み入りヤス。オヒケーナスッテ、タイガーファング・ニクタベルクランゴッドファザー、タイゾウです。この粗忽者はリュージです。…テメエ、何しやがったァ?」27
2012-08-24 22:59:54ブラックヘイズは答えず、「イヤーッ!」右手を前に突き出す!「イアイ!」咄嗟に抜いたカタナに手応え、何かを切断!これは…黒い網!マゲヒサとサゲヒサを捕らえたのはこの網だ!「ヘイズネットを切断…実際恐るべきワザマエですな。これは骨が折れそうだ」「ナマッコラァ…」28
2012-08-24 23:06:56「イヤーッ!」「イアイ!」「イヤーッ!」「イアイ!」「イヤーッ!」「イアイ!」「イヤーッ!」「イアイ!」「イヤーッ!」「イアイ!」「イヤーッ!」「イアイ!」「イヤーッ!」「…!?」フェイントか!?黒い網が飛んで来ない!タイゾウはカタナを振らなかったが…その判断は間違っていた!29
2012-08-24 23:11:44「ヌゥーッ!?」体が動かない、動こうとすると激痛が走る!ブラックヘイズが最後に放った透明不可視のヘイズネットが、タイゾウを絡め取ったのだ!「やりやがったなア…」「ご観念を、ご老体。悪いようにはしません…ムッ!イヤーッ!」30
2012-08-24 23:15:50「スッゾスッゾスッゾコラーッ!」ドスを腰だめに構えたリュージがブラックヘイズに突進!ヤクザカラテの象徴にして奥義、カミカゼ突撃だ!命を賭した攻撃を、しかしブラックヘイズは後ろ回し蹴りで阻止!「グワーッ!」顔面に直撃!サイバーサングラスが割れ、リュージは地に伏す!31
2012-08-24 23:21:44「クローン…?なかなかの根性だが、貴様の捕獲は契約外だ。殺すぞ」「ス…ス…スッゾコラー!」立ち上がり、再度突撃!「イヤーッ!」ストマックにサイドキックが直撃!「グワーッ!」吹き飛び、再び地に付す!「ゲボッ…スッ…スッゾ…スッゾコラー!」立ち上がる!おぼつかない足取りで突撃!32
2012-08-24 23:26:41何たるタフネスか、ZBRも無しにニンジャのカラテを2度受けてまだ立ち上がる!だが、「くどい!イヤーッ!」ブラックヘイズはトゥーキックでドス・ダガーを弾き飛ばし、その蹴り足でカカト落とし!直撃!「グワーッ!」叩き伏せられた衝撃でバウンド、リュージの体がゴロゴロと転がる!33
2012-08-24 23:31:28仰向けのリュージは、ヒビ割れた視界の中、弾かれたドス・ダガーが振り子時計に突き刺さるのを見た。はるか彼方のドスに手を伸ばす。届かない。困る。武器が無ければ戦えない。オヤジを守れない。銃、ヤクザガン…アウトオブアモー。ドスだ。ドスが要る。34
2012-08-24 23:36:54「ドスが…」彼が血と共に吐き出したその言葉が意味する物は、刃渡り1フィートの短刀ではない。戦うべく生まれた人間、ヤクザ…その意志、それこそがドスだ。キィィィィィン…。耳鳴り、鼓膜に重篤なダメージか。何にせよドスがなくては戦えない。ドスが…!35
2012-08-24 23:43:12「BOOOOOOOM…BOOOOOOOM…」ドスにによって機構が破壊されたのか、振り子時計が狂ったように鳴る。キィィィィィン…。耳鳴りは止まない。視界の端、ブラックヘイズが警戒姿勢を取っている。何だ?「BOOOOOOOM…BOOOOM…BOM…BOM…BMBMBMBMBM!」36
2012-08-24 23:49:39加速する振り子。キィィィィィン…。耳鳴りが止まない。ギリギリギリ…不吉な音を立て、長針が有り得ない動きををする。まず「8」を、次に「9」を、最後に「3」を指す。8、9、3。ヤクザの勝利を暗示する獣の数字だ。キィィィィィン…耳鳴りはいよいよ大きい!37
2012-08-24 23:52:55CRAAASH!!「コンダッボッガーーッ!!」振り子時計が突如壁ごと破砕!同時に、何かが…名状し難い何者かが、疾風の如き速度で飛び込んできた!その場に居合わせた誰もが、歴戦の傭兵ニンジャであるブラックヘイズまでもが、狂気的ヤクザスラングに一瞬竦み上がる!コワイ!38
2012-08-24 23:57:00「ダッコラーッ!」飛び込んで来た何者かのヤクザキック・トビゲリがブラックヘイズに炸裂!実際炸裂としか言い様の無いインパクトなのだ!何とか腕で受けたもののその加速度までは殺し切れず、「グワーッ!?」吹き飛ぶ!背中から壁に激突!この何者かは、一体何者だ!?ニンジャ?それとも!?39
2012-08-25 00:02:55ヤクザスーツ!ヤクザシューズ!背負い式ジェットエンジン!そしてその顔面は、憤怒の形相も禍々しい、紅のテング・オメーン!読者諸賢はこの男をご存知だろうか?是であればそれは不幸であり、非であればそれはさらなる不幸!そう、この男こそは…「神々の使者、そして調停者…ヤクザ天狗参上!」40
2012-08-25 00:06:17「ヤ…ヤクザ?」「天狗ゥ…?」「ヤクザ天狗参上!スッゾコラーッ!」疑問とも驚愕とも付かぬ声を後ろに、ヤクザ天狗が2丁の赤漆塗りオートマチック・ヤクザガンを抜き放つ!ヤクザ天狗の意思…あるいは狂気その物が、生体LAN直結された論理トリガを引いた!ブラックヘイズ目掛け全弾斉射!41
2012-08-25 00:09:27「ヌゥッ!」ブラックヘイズは残るヘイズネットを全て展開、黒いマユめいてバラージからその身を守る!予算超過…実際前金分は使い果たした…彼は瞬時に思考を振り払う。この男、ヤクザ天狗の前では、僅かな油断が死を招く。弾幕が止むや否やヘイズネットを解除、カラテで片を付けるべく駆け出す!42
2012-08-25 00:14:12「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」ソバット、裏拳、身を沈めての足払い!流れるような攻撃をヤクザ天狗はバックステップを繰り返し回避、直後ジェットパック作動!空中で1回転し「ダッコラーッ!」逆サマーソルトキック!?ブラックヘイズはブリッジ回避!上昇するヤクザ天狗にスリケン投擲!43
2012-08-25 00:16:27ヤクザ天狗のサイバーアイがスリケン軌道を瞬時に計算、ジェットパックに信号を送りランダム機動を指示!上下左右に揺さぶられる身体を驚異的な平衡感覚で姿勢維持し、2枚のスリケンを完全回避!浮遊したまま腕を組み、天狗オメーンが威圧的にブラックヘイズを見下ろす。ニンジャが気圧される…!44
2012-08-25 00:20:12「ドーモ、実際にお目にかかるのは初めてですな、ヤクザ天狗=サン」「王は死したニンジャを葬らず、ナイルワニの貪るままにした」「非ニンジャとは聞いていたが…実際信じられん。何が貴様をそうさせる?」「大地は枯れ、麦は実らず…王国は消えた。だがその遺産は残った」「…」45
2012-08-25 00:24:11