夏の≪虹色ポエム≫
以前架けた一橋目
二橋目の始まり
青い空 抜けて、突然に、 降り出した、溜息の結晶が、 ガラスの破片の様な、 音を立てる。 地より湧き出し、萌いずる、黒い 蝙蝠の葬列。 服す喪は、開けたと誰かが嘯いたが、 首を項垂れ、行進は続く。 行き先はきっと、海だろう。 殖え過ぎた憂鬱は、海、鈍色に。 色を染め変えた、4時。
2012-07-21 16:01:46暁に塗り潰され、消されゆく星屑のように。暈される存在。溶けてゆくアイデンティティ。選ばれなかった選択肢たちの葬列。さよならミライ。其の色彩、悪くなかったわ。
2012-07-30 05:20:48漂白された夢をフラスコに注いだ。黄昏に染まる理科室。かたん、と白骨標本が笑った。ホルマリン漬けの鳥の子が、白濁した目でこちらを見ている。硬質な輝きが感覚を塞ぐ。試験管に色とりどりの液体を満たせば、醒めない夢の底に辿りつく方法も見つかるだろうか。鉱石箱から、柘榴石を選んで噛み砕く。
2012-06-14 18:56:34ピンク色のリトマス紙がたちまちかなしみブルーに染まる。きみの涙はアルカリ性。世界まで溶かしてしまう雨にはならないから安心して泣けばいいよ。思う存分泣けばいいよ。
2012-08-05 22:18:53悲しいこともあったろう。 苦しいこともあったろう。 悲しいとか、苦しいとか そう簡単には言わずに。 涙は出ちまったんだろうけど 頑張ってきたじゃないか。 頑張ってこれたじゃないか。 一生懸命生きてきたから 迷って苦しみ涙したんだろう。 だから たまには自分を褒めなさい。
2012-08-10 23:22:08瞳の奥に星の煌めきがあるのなら、そこまで届けばいいと僕は言葉を紡ぐ。 闇の中に溶かし込んだ虹色は誰の瞳にも写らないのかもしれない。 もしもそうであるなら、どんな言葉も色を失くしていくんだろう。 それでも僕は沈黙の枯れ木ではいられないのさ。 ねぇ、深緑のこの葉もまた君へ散っていく。
2012-08-09 03:53:14冷たいコーヒーに入れた砂糖。量が多かった、溶けきれない。 不満げに、哀しげに暗いコップの底に沈んでいったきり動きを見せない。 冷気の籠もる夏の寝室に擦れた想い、夜の闇に、溶けきれない。 不満げに、哀しげに暗い部屋の底、沈んで、もう二度と動かない。
2012-08-22 03:20:07渇ききった瞳は透明に美しい。潜水した君の藍色と、離陸した僕の白がきっとまっすぐに夏を作るから。香る蜃気楼、ゆらぐ輪郭、目指した水平線の向こうに、僕らだけの終わりが待っている。ねえしあわせな絶望が、やさしい顔して抱き締めてくれるんだろう。炭酸水とエンドロール この夏を迎えに行くよ。
2012-06-13 00:24:21私がゆっくりと抱きしめたつもりでも、 ひょっとしたらあなたには息が苦しいくらいの抱擁かもしれない。 私がきつく抱きしめたつもりでも、 ひょっとしたらあなたにはあるかどうかもわからない薄布のような抱擁かもしれない。 加減はひとそれぞれで、痛みもひとそれぞれだわ。 だから、教えて。
2012-08-08 00:14:54世界が色を失った時 君の目が見たものを辿る 閉じた瞼に炭酸色の街が揺れる 幾億の悲鳴を燃やし輝く その灯火を 深く昏い航海の海は 粘液質な後悔を 巻き込んで 伝えたかった言葉を 瞑らせる 頬に痕を残した 怯えながら 開くと 抜ける様に青い名残の空が 「ただいま」を告げた 4時
2012-08-26 16:02:10黎明の薄桃は幸せの色。黎明の薄蒼は悲しみの色。こんじきの雲の端で繋ぎ混ぜ、君想う故の総てを封じ込めた。朝焼けにひとり放り投げ。輝いて、真珠 #IJINsjewel
2012-08-04 06:21:34愛用のスケッチブック。お気に入りの色鉛筆。古びた懐中時計。使い込んだラジヲ。詰め込んだセンチメンタルと願い事。片道切符の行き先は聞いたこともない場所。夜汽車に乗って、振り返ることのない旅を。
2012-08-20 02:28:53白のトゥシューズを履いた。アスファルトの上、虹色のフレアスカートを風に靡かせくるりくるり。踊る、明日へワンステップ。たん、と地面を蹴って風船を掴むの。どこまでも止まらない。メリーゴーランドを彷彿とさせるメロディーと、明日へ、未来へ。
2012-08-14 22:59:21地球儀を抱きかかえて眠る。持ち上げただけで空っぽと知れる軽さ。それでも、僕が抱きかかえるには大きすぎて、重すぎた。泣いてしまいそう。このまま落としてしまったら、きっと簡単にこなごなだ。捨ててしまいたい。捨てたくない。破片だらけの道を歩きたくない。僕ごと壊して欲しかった。引き摺る。
2012-08-24 21:33:58夏の情熱を覆う様に降り始めた雨が窓をノックする─絶えることなく─我を失い小さな身体で明日を待つ過去とのコラージュ、歪な音を立てて崩れる。背中にキリリと痛みが走る。立ち上がるのは未だ、いや、今だ。ノックが止んだ、今一歩、外へ。雨上がり、晴れて七色の橋架かる夕下がり。#r_poem
2012-08-06 16:36:05屈折した深藍になら溶けてもいい。輪郭が失われて僕だけが残っていくのを、透明な瞳でじっと見ていたい。いつだって終わりに似合うのはソーダみたいな青。指先をほんの一秒、微炭酸の中へ。
2012-08-28 10:14:23夏は太陽が一番身近で見守ってくれる季節。 それが良いことか、悪いことか、私たちにはわからない。 それを嘆く人がたくさんいることは確かだもんね。 自分にとって心地よい距離を見つけなくっちゃいけないね。 私は秋が好き。遠すぎないで、近すぎないで。
2012-08-03 18:28:09この声が、届きませんように。願いながら、惰弱なあたしは夜に堪えきれず。だからこの声が、届きませんように。
2012-08-25 01:51:06