- Sucha_Para
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◆2012年11月4日追加
核のゴミ処分/まずは問題意識の共有を
手詰まり状態にある「核のゴミ」の最終処分問題の解決に向け、さび付いていた歯車が動きだした。政府は核燃料サイクルのバックエンド(後処理)事業を強化するため、具体的な検討に着手。さらに国の原子力委員会が、日本学術会議がまとめた現行の進め方を大幅に見直す提言の実現性について議論を始めた。
焦点は▽取り組む体制をどうするか▽最終処分地選定や技術開発をどう進めるか—の2点だ。
体制については、現在役目を担っている原子力発電環境整備機構(NUMO)の限界を指摘する声が少なくない。NUMOは2000年、電力業界が出資して設立。02年から選定作業を始めたが、一向に進展していない。
ポイントは「国の関与の強化」に尽きる。NUMOは国の法律に基づく組織であり、国は一定の責任を負っている、との意見はある。ただ、これまでの取り組みで国が前面に立つことはなく、関係自治体から「国の姿が見えない」と不満の声が上がっている。
経済産業省資源エネルギー庁の幹部は先月の原子力委員会会合で「政府の本気度が不十分だった」と、最終処分に対する対応の甘さを認めた。この難題は、国が主体的に取り組まなければ決して解決できない。政府はそのことを肝に銘じるべきだろう。
今後の進め方に関しては、学術会議が提案した高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)や使用済み核燃料の「暫定保管」「総量管理」という考え方が、議論の軸になる可能性が高い。
提言は、数万年にわたる核のゴミの地層処分を「安全」とするには限界があると指摘。数十〜数百年の暫定保管期間を設け、総量の上限を確定した上で、国民の合意形成を段階的に進めて処分地を決めようとの内容だ。
六ケ所村にはガラス固化体が一時保管されている。むつ市では使用済み核燃料中間貯蔵施設の建設が進む。暫定保管という定義と密接に関わってくるだけに、議論の行方に関心を持ちたい。
核のゴミの処分は国外でも難航している。実現可能な政策をどう立案していくか。政府や事業者はまず、国民の問題意識の共有化を図るべきだろう。
今夏の新エネルギー戦略をめぐる国民的議論では、原発比率に関心が集中。核のゴミに関する意見は少なく、最終処分地問題を共有することができなかった。
今、原発を全てストップしても核のゴミは消えない。賛成、反対にかかわらず、向き合わなくてはならない課題なのだ。
最終処分の解決は、次世代に先送りしないことを国民の間で共有し、知恵を絞りたい。
◆2012年10月1日放送「クローズアップ現代」
◆2012年10月24日(リンク切れ▸https://www.facebook.com/sucha.para/posts/209458765853245)
◆2012年10月18日追加
◆2012年10月16日
◆2012年10月3日追加