【シューニャリアーナ日記】今日の会話で

難題の預言者、悉若無＠いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

郷印象に残った友達との会話での話とは、都会の時間と心のすがたについてだ。

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ベルリン展を観に行った後、秋葉原でご飯を食べ、歩行者天国を遊々と歩く。そして感じる、秋葉原の異質さ。それは、同じ東京のほとんどの街が持たない特殊な気質｡

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この気質のなかに生きているオタクたち…否人々は、新宿や原宿の街並みをせわしく歩く人々と明らかに違う。

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私の友達は言った。『新宿や原宿を歩くとすごく嫌な気分になる、なぜならぶつかっても人はすみませんも言ってくれないし、お辞儀もしてくれないことが多い』…｡せわしくうごめく人々は、他人に構ういとまがない。

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いい方が過ぎてはいるものの、合理的な在り方ではある。たくさんの人が歩道なり道路なりを歩き、渋滞する。ぶつかることは前提だ。そこで、お互いにいちいち謝礼などしていたら時間の無駄。仕事に遅れたらどうしよう、電車に遅れたらどうしよう。そのほうが大事なのだ。

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秋葉原にはこのような空気がない。

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どこかあけっぴろげで、暇そうで、無駄をしていて、何かが抜けている。そして、時間もゆっくりだ。さながら田舎の道を歩いている気分が、なぜかする。歩行者天国の時間は、猶更。

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皆が悠々自適に歩き、そして見たいものを気ままに見て歩く。そしてお店に入っても、商品の渦のなか、狭い道を通るお互いが気配りあっている。アニメイトではエレベーターのなかで気遣いを忘れないし、待っていてもあまり腹を立てない｡

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ラジオ会館等のお店で、狭いフィギュアの通路を通るときも、自ずと気を配って道を開けたり、ぶつかったらすみません、と頭を下げることがとってもしやすい。

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無駄の為に与えられた場所と時間のおかげで、人はそこに心の余裕を見せる。楽しみのための場所は、人に余裕を与えるのだろう。

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今という時代は速度と情報の時代｡そのたんびに失われていく、犠牲になるものがある。

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それは妄想力、想像力だ。なにか、余計なことを考える時間がない。そこで彼らが頼りにするのがラベルである。情報にやってくる、規定されたもの。即ちラベルだ。そのラベルを以て、コンテンツを「消費」する。

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ボードリヤールの言う「消費」とはまさに、そのようなラベルの存在によるかりそめの満足のことを言うのだ。…そのラベルは対象それ自体を差しているわけではない。が、人はそんな中身を探る暇を持たないから、心が動かない。動く暇がないから、気配りも生まれない｡

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情報ラベル消費社会が奪っていく、思考の隙間｡これが戻ってこれる数少ない場所の一つとして、僕の友達は、秋葉原を感じた、らしい。…逆に言えば。あの街は、それが判らない人にとっては、「何がしたいの?」な街にしか見えないのだろうけど。彼は、その存在意義をちゃんと嗅ぎ取っている。

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こちらの図を見てほしい。東京とそこに住む人たちの簡易的で比喩的な分類表だ。見よ、この悲しいまでのラベルの数々。そしてラベリングから逃げ続ける秋葉原は皮肉られている｡「何がしたいの?」と。それは現代日本の悲劇の影であるようにも思う。 http://t.co/46fbQLyU

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しかし今こそ、このような空間が与えられて、然るべきなのではないだろうか。人は心の満足、身体の＜穴＞からくる全身全霊の満足なしには、生きていけないんだから｡そのための場所、は与えられるべき価値がある。それを理解しなきゃいけない。

難題の預言者、悉若無＠いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

秋葉原に学ぶものは多いのではないだろうか。秋葉原と、あとアメ横｡暇と見世物のために造られた場所｡買うか買わないかよりも、歩くだけで、訪ねるだけで楽しい場所、時間が静止する場所、というものの意味を。

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…そこはその点では、本当の意味で、『聖地』なのかもしれない。