neck_movie お気に入り 舞城王太郎Twitter連載小説「NECK the seventh」第25話~第36話
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(25)どんな飛び道具を仕込んでいるか判らないし、例えば床に落ちている石をアームの指先からピンと撥ねるだけで弾丸に変えることができるかもしれない。カートの移動速度だって俺の想像を超えてるかもしれないのだ。逃げられない。 #neckthe7th
2010-07-22 12:00:39(28)俺から気を逸らしている今しかない。そしてその選択肢を選ぼうとするならば、今あるこの二十メートルほどの距離は余計だ。ゼロ距離からの不意を突いた一撃で仕留めるしかない。 #neckthe7th
2010-07-22 21:00:17(29)金魚鉢の上の頭を一瞬の隙に叩くのだ。どの管でもいいから横溝の頭から外れればダメージは大きいに違いない。血液が止まれば脳は死ぬ。 #neckthe7th
2010-07-23 12:02:20(31)と周囲の壁や機材と同じ程度に汚された偽の《消火器入れ》の前で向こうを向いてるはずの横溝虫が言う。その機械音を組むまでに時間がかかったはずで、もうずっと俺の気配に気がついていたんだろう。 #neckthe7th
2010-07-23 18:00:17(32)「へ」と俺は笑ってみせる。「お前、鼻が犬並みに利くのか?」 横溝がスクリーンボードに視線を落として動かすので俺は待つ。 #neckthe7th
2010-07-23 21:00:32(33)「化学物質を検出できるんだよ。人間の感情も化学反応だからな」 単語の羅列じゃなくて文章に仕立ててくるところが横溝の生来の生真面目さだろう。ともかく奇襲はできないということだ。 #neckthe7th
2010-07-24 12:00:16(34)「で?この場合俺の報酬はどこから払われるんだ?」 またしばらく待つ。 「娘には犯人が牛場だったとだけ伝えろ。でもすんでのところで逃げられたとな。娘からの報酬は断れ。俺が払う」 未来の話が出てきたが、信用はできない。 #neckthe7th
2010-07-24 15:00:14(36)俺は撮影所を後にして大泉学園駅に向かい、電車に乗り、池袋と新宿を経由して調布に帰る。事務所兼自宅に着く頃には俺の興奮も落ち着いてきて、やはり全てはあの暗いスタジオで終わったんだと思う。 #neckthe7th
2010-07-24 21:00:08