- aoyama_kobe
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朝稽古だん。今日のテーマは「同機」。「石火之機」「啐啄之機」といった禅家の言葉はよく知られていますけれど、これを具体的な身体技法としてとらえ返す企てです。別に理屈はそれほどむずかしくないです。拍手するとき右手と左手は同機します。
2012-10-04 09:09:37右手が左手を探しにゆくとか、左手が右手を待ち受けるとか、そういうことはありません。拍手というイベントがあって、事後的にそれにかかわった身体部位が「右手と左手」というふうに分節される。「石火之機」もそうです。燧石をこすると火花が散る。接触と発火の間に隙間がない。
2012-10-04 09:11:35でも、火花が出ない石ってそもそも燧石じゃないですよね。発火した後に事後的・遡及的に「これ燧石だったんだ」ということがわかる。「啐啄之機」も同じ。卵の殻を内側からひな鳥がつつくのが「啐」、外側から母取りがつつくのが「啄」。でも、これもよく考えると変ですよね。
2012-10-04 09:14:27卵の中にいるうちはまだ「ひな鳥」じゃないし、「子ども」が生まれるまで、そこにいるのは「母」じゃない。殻が割れたあとに「ひな鳥と母鳥が殻をつついていた」という分節が可能になる。そういうことです。まず「イベント」がある。そのあとイベントの「参加者」が遡及的に名づけられる。
2012-10-04 09:16:23身体的同機も原理は同じです。まず技がある。技を「かける人」と「かけられる人」の差別化は技の成就以前には存在しない。ですよね。技が成立するより前に存在する「技をかける人」というのは「源頼朝三歳のときの頭蓋骨」というのと同じような不条理です。
2012-10-04 09:19:31だから、技術的ポイントは「技が成立するより前の段階」で、どうやって主客の差別化を消すか、ということになります。なんだか循環論法みたいですけど、「同機が成立するためには、同機に先立って同機していなければならない」ということです。あ、やっぱり説明できないや。ごめん。
2012-10-04 09:21:23朝稽古は相半身。今研究してることを一番実験しやすいのが相半身なので昨日の高砂も相半身でした。なんか進んだo(^-^)o
2012-10-04 09:52:48前RT。内田さんの「同機」のTweet。外国人から能について質問されて、上手に答えられないことのヒントがありました。ゆっくり考えます。「同機が成立するためには、同機に先立って同機していなければならない」。言葉にすると矛盾するけど、現実には起こっている。う~ん、森田さんの出番かも。
2012-10-04 09:53:25元・一ノ矢さんとワークショップをしたときに参加者に取組をしてもらったことがあります。その前に相撲の四股・テッポウ、そして能の立ち方、歩き方をして。詳細は省略しますが、すると取組というのが勝負ではなく、全く新しい「ちから(霊力を発生させる場)」を生み出す行為だという事がわかります。
2012-10-04 10:02:30取組で時間が経てば経つほど、そこに強い「ちから」が生じてくる。長い時間をかけて取られる大相撲が、非常に歓迎されるのは、それが勝負としての面白さだけではなく、それによって生じるなんともすごいエネルギーを周囲の人にも与えるからではないかと思ったのです。そこに主客はなくなっています。
2012-10-04 10:04:32前に見た映画の話。自衛隊の下士官(真田広之)が敵にむけてためらわず銃撃する少年兵をたしなめて言う。「撃つ前にためらうのが人間だろう。撃つ前に考えろ」その忠告を受け容れて、動作に一瞬の「ためらい」を挟んだ少年兵は、こんどは「ためらわない」テロリストに撃ち殺されてしまいます。
2012-10-04 10:14:10「考える」のと「考える前に考える」のは違うことです。池谷裕二さんの本によるとある行為を「しよう」と思う前にすでに脳は活動を始めている。「しよう」という意図が生じるより前に、無意識は「意図の原型」を生み出している。
2012-10-04 10:18:51この「意思の原型」は無意識的で反射的です。そしてここが池谷さんの話のかんどころですが、「正しい反射をしてくれるか否かは、本人が過去にどれほどよい経験をしてきているかに依存しています」(『脳には妙なクセがある』260頁)。適切な反射は「よい経験」の蓄積がもたらすんだそうですよ。
2012-10-04 10:24:17それは「ほんもの」を見続けてきた人が難なく美術品の真贋鑑定ができるのと同じことだそうです。だから、合気道のお稽古でも「よい稽古」を繰り返していると、「正しい反射」ができるようになるわけですね。さて、「よい稽古」とは何のことでしょう。美術品の「ほんもの」に類するような稽古とは・・・
2012-10-04 10:26:56